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15.魔の目覚め/死の律動

三百八話 戦いの愉悦・喜悦の闘争心

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308話 我等の修羅が騒ぐ

「悪いな、今取り出せなくなってるんだ」
引き絞られ向けられた剣先から嫌な予感を感じ、転がる様に右斜め前に向かって跳
んで腕で地面を弾いて跳ぶ、これで更に距離を取りながら脚から落ち体勢を整える
「そうかそれは残念、我は剣で戦いたかったが・・・弓兵か、だがそれだけ動けるなら
ば是非も無し、だが我に矢弾は効かん・・・まぁ今生はそれもよかろう」
腰を落としたかと思えば地面を滑る様にして滑らかな動きで向かって来る
「出来れば剣を用意してくれると助かるね」
体事押し薙ぐ様な薙ぎ払いを、打ち付けるようにして防ぎ反動で少し互いに退がる
「ほぉ、剣を振るえるのか弓兵?動きは確かに剣を振るうのがベースのようだが・・・
剣はこれしかないから渡せぬが、魔力も中々あるようだし別に魔法を使って構わんぞ
全力の死合いこそが闘争の愉悦で喜悦だろう!」
「それはどうも、後で卑怯とか言わんだろうな?」
膝を狙って来る刺突を外側へと弾き、首狙いの刺突をしゃがんで避けて、突き出した
まま下へ振り降ろす追撃には腕を銃口で打ち、ついでに一発撃ってみる
「使える札を使わず手を抜く?そんなモノが死合いと呼べるか!使えるモノは何でも
使え!我は我が誇りたる剣のみ!されど貴公ら挑戦者に制限等掛けぬわ!」
追撃は止めれたものの、弾は服に穴を開ける事は出来たが、腕の表面で壁があるかの
ように停まって落ちた・・・弾の接触による衝撃も殆ど効いている様子は無い
「我はその様な痴れモノではない!」
(それならこの空間系に対する妨害を止めてほしい)
と言いたいところだが、これはダンジョンか部屋の機能であってコイツ自身は関係無
いからそもそもどうにも出来ないだろう、コイツ自身は魔法を使わないようだし何か
特殊な能力を持っている訳でもダンジョンの主らしき感じも無いし、あの言い分的に
戦士と言うか騎士と言うか、そう言った誇りを重視するタイプの魔物っぽいからな・・・
右脚を下げながら振り降ろすそれを奴の左側に回り込む様に避け、伸びて来る左腕に
掴れない様に後ろまで周って蹴りを叩き込もうと右脚を上げた瞬間、予感と共に脚を
地面に強く落とし踏み込む様な勢いで左腕を真横に倒し背中に叩き付ける、押し込む
様にして吹き飛ばせば左腕に何かが当たった感触を感じる、どうやらあっちも左腕で
護っていたようだ・・・あのまま蹴っていたら掴まれていたかもしれない、いや違うな
その可能性の方が高い、右手は剣を持ち攻撃と防御を両立させ、空いた左手は相手の
隙を突き妨害するか逸らせる攻撃に対処する役割なのだろう、片手剣でありながら盾
を持つ訳でも無く両手で振るう事も無い、なら空いている手で魔法も使って来ないと
なるとに他に何らかの役割があるハズなのだ・・・やはり格闘か?流れるような移動方
に攻撃と防御のスムーズさ、動きに隙が見当たらないし緩急が大きいように感じさせ
られ、その速度だけでは無くフェイントも含まれていると思われる動きの緩急に翻弄
させられているのを感じる、自分から動いているのではなく奴に動かされていると言
うべきか、隙を作り攻撃を誘っている訳では無く、ただ動きを誘導しているのだろう
が・・・厄介だな、しかも相手の出来る事を把握する度に行動を読んで動くタイプか?
攻撃を防ぎ無意味だと思わせる事で他の攻撃手段を引き出そうとしている・・・そんな風
に思うのは考え過ぎか?いやそれでいい、そんな事は考えるまでも無い、常に自分に
とって都合の良い様に考えるのは思考能力の無いただの愚物でしかない、そんな畜生
にも劣るようなモノが闘いで勝てるものか、出来うる限りの最悪は想定して動くべき
・・・だとするならどうするべきか、それにこの武器で勝てるように動かねばならない
問題も残っていると言うのに、攻撃を受けても吸収されたり魔力奪われたりする様な
感じはしないし、何かしらの状態異常を付与される事も無いだろう、恐らく目的通り
純粋な戦いを求めている、だからそう言った搦め手は使わず剣と体術のみで戦う・・・
との事なんだろうが、問題はその基礎とも言える技量でどちらも負けている事、一応
身体能力的には同等レベルと思われるが、戦闘経験による経験さは多分負けていると
思われる、奴が本能であれだけ動けているなら関係無くなるが・・・言動からすると多分
何度か出現して闘っている筈、そして望んでいる戦いは満足に出来ていないと言った
ところか?またしても地を滑る様な移動方で近付いて来る、僅かに左右に揺れており
その速度も不安定なもので動きが読み辛く着いて行きにくい、首を狙った突きを横に
避け、狙いを下げ胸部を狙った突きを更に横に大きく動いて避ければ、左腕を下から
跳ね上げる様に振り上げ右腕に当てられた、体が僅かに浮き動きが止まった事で遂に
回避が難しくなった・・・しかも突きと言う点の攻撃は銃では余りにも防ぎ辛く回避以外
での対処が難しい、そして体術での攻撃まで混ぜ込んでくるようになった、右脚で小
さく一歩踏み込んで来てからの胴を狙った突きを横から弾けば、左足で前に出ていた
右脚を払われ体勢を崩される、それと同時に武器を構え直していたのかその直後に又
突きが飛んでくる、それも今回は頭部狙いのようで立て直す事も出来ず又転がる様に
避ける事になる、やはり読まれていたのか動かされていたのか突き出した体勢から更
に追撃の如き押し込みによって左肩を突き刺された、浅いものの関節部分を狙いに来
ているように見えた、そのまま剣を抜く様に下がって距離を取る
「ふむ、この感触・・・肉では無いな?血も流れぬとは人間では無かったか」
突き刺した剣先を眼前まで運び何かやらじっくりと観察している、かと言ってこっち
への警戒が薄れている訳では無い、どっちも見ると言う器用な事をやっているようだ
「表皮は硬いが剣に欠けは無く、内部は水の様・・・いや泥を刺すが如き感触であった
まさか完全に人を模した泥のゴーレムか?汝より生と死、どちらも気配を感じないと
思えばそう言う事であったか」
ふむふむと頷く様に頭部を縦に揺らしこっちを見る
「まぁそんな事はどうでもよいわな、互いに死が無いとなれば・・・壊れるまで闘えば
良いだけの事、何にせよ勝者の席は常にただ1つ!孤高の玉座を勝ち取れイィ!」
今までよりも速い踏み込みと共に剣が突き放たれる・・・奴の顔はまるで笑っているか
の様に見える、そんな表情が出来る筈のない骨だと言うのに
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