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15.魔の目覚め/死の律動

二百九十六話 喪失の楽園:死の音色響く

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296話 死の楽団が奏でる死の旋律

この黄金剣の魔力に耐性があるのだろうか?これに関してはもう少し試してみない
と判らないか、奴が構えることなく突っ込んでくる・・・今度は奴の攻撃を凌ぐ番か
大剣の大振りを左に避けるとそこに来る右拳に下から左腕をぶつけて跳ね上げ逸ら
し、半回転しての後ろ蹴りを逆方向に半回転しながら避けて、同じ様な後ろ蹴りを
その伸びてきた脚に叩き込み押し飛ばす、そこから体勢を崩しながらも左から横薙
ぎを放って来た・・・それを体を逸らし大剣の側面を蹴って地面を転がりながら大剣の
範囲外まで距離を取る、これでもう1度仕切り直しだな、それに奴の大剣は基本的に
大振りになるようだ・・・だから直剣である黄金剣をその隙を埋めるために使っていた
のだろう、そして黄金剣への攻撃を避けているような気もする、これなら一応盾と
して使えない事も無いか?肩に大剣を担ぎ直した奴が姿勢を低く4足歩行体勢になる
プープー ヒョロロロ プッポープッポー カタカタカタカンカン
今度は何だ?空から音が聞こえて来る、不規則なラッパと笛と何かを叩く音だ・・・
「アヴェゼリーア、ポルカネリエーデ、インモーダレリエ、アウゴーセゼリガ」
そして歌?か、見れば奴が頭を抱えてうずくまっている・・・これは大きな隙だ、だが
今狙っていいのか?この歌の出所が判らないし何か意味があるのかもしれない
「セーゼニネーラス、アンワーダカルエ、キシャニツケッツェデベラルゥ!」
次は何なんだ、ここは異常が起き過ぎだろう?流石にもう何か疲れて来た気がする
この不協和音となんとも言えない不揃いだが綺麗な音が響き渡っている、これは・・・
聖と邪属性の即死効果を持つ音だ、この魔力の籠った音から確かに2つ属性を感じる
相反する属性であり更に聖と邪の複合は難易度が高いと聞くが・・・魔物であってもこ
れが出来るのは高位の魔物と思った方が良いだろう、当然来るのは聞こえてくる上
からだよな?丁度この地と同じ程の範囲に雲のない青空を見上げれば、骨の天使と
でも言えばいいのか白い鳥の様な翼を持つ人型の骸骨が、各々楽器を鳴らしながら
輪を作る様に飛んでいる・・・あそこからとてつもなく嫌な予感がする、だがこの気配
は奴等では無くあの円の中心から感じる、ふと気配が増えた感覚があり顔を下げる
するとうずくまる奴の左右に、2体づつ黒くくすんだ騎士の様な物が現れていた・・・
しかし奴らから気配を感じない、魔物の気配も物理的な気配も魂の存在も感じない
[ガーモイ・コドメント[残影]]
確かに姿は奴に似ている、しかしこっちは簡素ではあるものの全身鎧を着けている
だけではなく色もくすんでいるのもそうだが、鎧の隙間から見える筈の中身・・・肉や
骨が見えない、鎧自体が本体なのかゴースト系が憑りついているタイプなのか?
ヴォーフォー ヴォーフォー パパラリラ パパラリラ
上の楽器の音がうるさい・・・こいつらはあっちに反応しないのか、鈍い灰色をした石
を削って造られた様な大剣を右手に持ち、その剣先をこっちに向け構えを取って来る
その剣を縦に構えた瞬間4体共煙が散る様に消えて、煙が収束するように前方に1体
現れた・・・左右にも1体づつ居るようだ、これだと後ろにも居ると思った方が良いか
四方を囲まれまた剣先を向けてくる、今度はそこから剣を右へと向ければそこに少し
透けている同じ存在が現れた、実体では無く幻影体とみるべきか?他の3体も同じな
のだろう、これで八方が囲まれた訳だ・・・こっちへと剣先を向け直してくる、今度は
突き刺すための構えなのか左脚を後ろへ右脚を前へ、僅かに前傾姿勢となり姿勢を低
くしている、まるで背から火を吹く様に加速し黒い煙をその軌跡に残しながら高速で
四方八方から突っ込んでくる、それを伏せれば頭上で剣先がぶつかり鈍い音が聞こえ
た・・・やはりあの大剣は金属では無かったようだ、実態を持つ4体のぶつかり合った剣
が弾き合いのけ反っていて、幻影体は物理干渉能力を持たないようで大剣の剣先が重
なり合っている状態で止まっている、目の前の奴へ踏み出し左横腹を狙った右の回し
蹴りで飛ばし、脚を戻す勢いのまま右の奴へ黄金剣による斬り上げを喰らわせ胴体へ
と斬りつける、鎧は思ったよりも脆いようで簡単に鎧を斬り裂く事が出来た、そして
空っぽの内側が覗く鎧の裂けた部分に戻した勢いで地面を蹴り右脚を掛ける、左脚を
地面から浮かし半回転するように剣を振り上げている後ろの奴へと蹴ってぶつけ、次
の動きを始める前に止めると同時に転倒させる、そこから離れて警戒のために様子を
見ていると空気が地面に向かって落ちてきている様な、急激に上から押しつぶされる
感覚と共に膝を折り手を地面に着ける、4体の幻影は消えていき実体のある方は膝を
着き崩れ落ちるように両手で体を支えている2体と、倒れたまま起き上がれなくなっ
ている2体が居る・・・そして大して時間も経たない内にその感覚が無くなると、上空
でうるさかった不揃いな演奏が揃い出した、すると幾つか白い光の柱が降り注ぐと辺
りを眩しくは無い程度の光で照らし始める、その光の直撃を受けた奴の残影の1体が
光に焼かれるように塵となって消滅した、奴らが光に弱いのかあの光がやばいのか
幾度も細い光が降り注ぎあちこちに細い光の柱が立っては消えていく、落ちて来る
光を避けてこの攻撃・・・?を凌ぎ続ける、上を見上げれば円を組んで演奏している奴
らの中心にいる光がゆっくりと降りて来る、その最中光が剥がれて行き姿が露わにな
って行く・・・周りの奴等と大きく変わらないが、紫に輝きを放つ骨の馬に乗り純白の
ケープを着てその手には杖の様に見える剣を持っているのが大きな違いで、背中には
他の奴等より一回り大きい純白の鳥の様な一対の翼が生えている、周りの奴らは・・・
[ヘルエンジェルズ]か、一緒に降りて来た6体はいつの間にか楽器から右手は骨の長
杖に左手には骨の直剣へと持ち替えていた、それより上には楽器を構えて演奏を続け
ているのがまだ6体残っている・・・遠すぎて鑑定出来ないが、良く見れば演奏する奴と
武器を持つ奴は骨の体は同じだが服装や装飾が違っている、それに動く様子も無い
中央の奴は・・・名前が確認出来ない、酷いノイズが走り鑑定の結果が表示されない
「おぉ・・・おぉ!我らが同胞か?我等が引き寄せられるはそなたであったか」
同胞?なら奴は魔人なのか
「クハッ!クァハハハッ!」
静まり返ったと思えば喜びを含んだような高笑いが響く・・・その視線が鋭くなる
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