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14.それは成長か退化か

二百七十九話 自作装備の準備

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279話 取り敢えず機能すればいい

甲殻はシクルは柔軟でサソリはしなりが弱い、靴底の部分はサソリ甲殻を使えば靴
として機能するか、ワニ革は腕に使えば少しはしっかりしたものになりそうだ・・・
くっつける物は蔦なり紐なりでいいだろう、だいたい合わせて縛ればなんとかなる
懸念点としてはフランバニーの皮の耐久力がある、普段使用すら耐えれない可能が
十分にあるから・・・まぁそこら辺は作ってからでいいか、ハウンドの皮もあるが靴に
使うには少し大きすぎて扱いずらい・・・いや半分で折って使えば耐久力の確保に使え
るか?少し分厚くなってしまうがそこは耐久性を優先すべきだろう、ハウンドの皮と
サソリ甲殻の端に曲刀の先端で小さな穴を開ける、蔦を通そうと軽く捻じると千切れ
てしまった、この蔦では脆すぎたか・・・ならハウンドの牙で留めれるか?捻じ込んで
押し込んでから軽く動かして外れないか確認する・・・これならいけるか?いけそうだ
それを繰り返し前半分をハウンド皮を使い3か所、後ろ半分をフランバニー皮を使い
2か所で留める、ハウンドの牙がもう1本しかない・・・が出来た、初めて作ったにして
は悪くない出来だと言える、突き出た牙の先端部分を少し余裕を持って切り落とせば
完成だ、次は腕装備だが・・・ワニ革にシクル甲殻を着ければもう完成なんだが、それ
だけだと防具としては脆いだろう、とは言えサソリ甲殻を重ねるとなるとどうやって
補強するかが問題になって来る、取り敢えず革とシクル甲殻の重ねる部分に穴を開け
長すぎて邪魔な部分を断ち切って確認する、それにも穴を開けて更に装甲として甲殻
の上に重ねて防御性能の上昇を期待する、重ねた穴に通した蔦を1つづつ縛っていく
蔦は捻じらなければ大丈夫そうか?千切れずに済んだ、その蔦を覆う様に上から木の
皮を巻き付けて保護する、そして完成したのが左右不揃いでどこか不出来な腕や脚に
巻けばどっちでも使える防具だ、まぁサイズからして腕用として使うのがいいだろう
片方だけだから脚に装備した所で・・・と言うのもあるからな、どっちも装備して軽く
感覚を確かめてみよう、靴は少し大きかったがちゃんと縛っておけば大丈夫そうだし
底の方も平らで問題は無い、腕の方は少し不安定なのが問題だがそこはもう仕方ない
そして両方とも耐久性だけでなく安定性にも欠けている、少しでも無理をする使い方
をすれば直ぐに壊れてしまうだろう、とは言え日常生活で使う分には見た目が不出来
なだけで冒険者らしくは見えるだろう・・・見えるか?まぁ最初の様な冒険者か不審者
かを疑うような目で見られる事は無くなると思う、とは言えその時すらも僅かしか無
かったが・・・今は仲間の様な存在が居る以上彼女達の為にもあまり奇異な目で見られる
のは良くないから、取り敢えず最低限見える程度には装備・・・と言うより見た目は整え
ておかないといけない、偶に浮浪者と間違われている事もあるようだし・・・見た目は
確かにそうなんだからどうとも言えない、さて見た目はもうこれで十分かな?城に顔
を出すとしよう、その次はダンジョン探索であちこちのダンジョンに行けばついでに
依頼の人探しを兼ねる事も出来るだろう、居るとしたら何日も滞在する場合流石に何
処かの村を拠点として活動するだろうし、そうじゃなければダンジョンに籠って活動
しているのが可能性としては高い、単独活動が出来ると言う事は実力が十分にあるか
生存か逃走の能力が優れているかのどっちかだ、それなら並大抵の魔物相手には遅れ
を取ったりしないだろうし既にやられている可能性は低く見積もるとして・・・何処か
の魔物の棲家とかに突っ込んだとしたら・・・生きていたとしても怪我をして動けないか
捉えられている?魔物が生きたまま捕える事はあるのか?食料の新鮮さを保つため?
うーむ、ちょっと考えにくいがあり得はするか?ん?まだ生きているなら死者が探知
出来る・・・となるとあの兄弟を連れて行けば近くに誰か居る場合探知出来るか?一応
自分でも生命体の感知は僅かだが出来るし、合流したらダンジョン巡りでもするか?
ポーチを着け直し少しボロくなったローブを被って準備完了、割れたビンは一応中に
入れたままにしておこう、外に出たら家の鍵を掛けて城へ向かう、2日も連絡無しに
待たせてしまったからな・・・流石に怒られるか、自分が悪いのもあるから仕方ない
「昨日すごかったな!」
「あぁ吸血鬼領だろ?前の姉弟喧嘩と違ったし本気だったのかねぇ」
「あの威圧感・・・もしかしたら親子喧嘩だったりしてな」
「それもありそうだな、それでもあれってかなり本気だよな?」
「いつもと違って殺意とかは無かったしな、親子の方が可能性高そうだが・・・」
「でもよ、あの方相手に殺意無しで挑む姉弟は無くねぇ?」
「確かにな・・・ただの喧嘩にしちゃ長かったしあの威圧感は異常だ」
都市内のあちこちで昨日の事が広まっているようで話されている、どうやら外にも
あの時の戦っている気配が漏れていたようだ、結界で防ぎ切れていなかったのか
しかし姉弟喧嘩はよくあるのかまず先にその話題が上がっている、吸血鬼だし血の気
が多いのだろうか?取り敢えず城に急ぐとしよう・・・やはりまだ少しだが全身が硬く
なっている気がする、膝関節部分が思ったより上手く動かず曲げる度に少しガクつく
上半身は既に大丈夫そうだが下半身はまだ休みきれてないようだ、家でもう少し休ん
でおけば良かったか?まぁこれ位ならもう少しで治るだろうから別にいいか、なんて
不調を気にしていると移動速度が落ちていたため急ぎ足で向かう事にする・・・ふむ?
道中見かける冒険者の姿が少なかったが、大勢でどこかに出払っているんだろうか?
城の門を抜け前と同じように正門から入る・・・やはり鍵は掛かっていない、安全性の
問題としてこれでいいのか?玉座の部屋へ向かっていると使用人達の姿が見えた・・・
どうやら話が通っているのかこっちを見てもこれと言った反応が無い、それに今も
忙しそうに動き回っている、ちらちらと見える部屋の中に貴族らしき者の姿も見える
「えぇい!ここはどうなっておる!全然詰めておらんではないか」
「これはなんだ?晩餐会の予算と進行の計画書はどこにある?」
何処も忙しそうだ、しかし何かあったのだろうか・・・あぁ皇位継承があったか、それが
終わったのか?それとも今そのための準備をしているんだろうか?来るタイミングが
悪かったかもしれない、早めに用事を終わらせるとしよう
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