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14.それは成長か退化か
二百七十三話 死へのカウトダウン?
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273話 攻勢への誘導?
細かな土が降り僅かな風がゆるやかに土煙を流していく、その衝撃で勢いが完全に
殺されたのかその場で地面に着地する、左腕からはドロドロと粘性を持った黒い水
が流れ出て来ている・・・それが傷口部分を覆って硬化したかと思えば噴出が止まる
これで悪化する事は無いだろう、見た目は表面が滑らかで黒い水の様にしか見えな
いが触ってみると弾力があり、僅かだが泥のように指の形が残った
「ふぅむ、コレはイケると思ったんだがのォ、あそこから避けるか・・・殺りきれる
とはいかんでも無力化位出来ると思っとったんだがなァ」
「完全に殺す気だったでしょうに」
「いやあれで殺せるとは思っとらん、それよりそれに驚きじゃ、黒い血・・・と言う
訳でも無いようじゃが初めて見るぞ、その悼ましくも悍ましいモノは」
「さぁ?自分でも判りませんよ、私の血の様な物としか認識していませんので」
「ふむ・・・そうか、まぁそれもしゃーなしよな・・・しかしイカンな、お前さん」
「何です?」
「まだまだ理ィ性が過ぎる、もっと本能をォ!衝ォ動を呼び起こせェ!慣れとらん
敬語を使えとる時点でまだまだ余裕があるってぇこったなァ!」
そして瞬時に彼の周囲に6本の赤い槍が生成される・・・あれは血で出来ているのか?
光に照らされて渦を巻く様な波打つ表面を輝かせ、展開された杭の様な形状の赤い
槍がこっちへとその矛先を向けている、空に固定されたように浮かんでいるそれは
まるで解き放たれたように急激な加速をして飛んで来た、左肩と右脇腹に右太腿へ
と突き刺さり、その勢いで後ろに引き摺られるように後退すれば、槍が全て貫通し
後方へとつき抜けて行った・・・立つためのバランスが取りにくくなり後ろに倒れる
「ふぅむ、そうか・・・死がないから本能が引き出されず、生がないから衝動が無い
と言う訳だな?いやそれとも我が希薄なせいか?」
何か言っているようだが声が小さくて全ては聞き取れない、ただの独り言だろうか
「いや違うな・・・未熟と言えど魔人である以上破壊や殺戮の死たる性質、それに類す
る衝動や本能のようなモノがあるはずなのだ・・・事実先程から死の気配は強くなって
いる、戦いの中で目覚めてはいるのだからな」
今度はしっかり聞こえてきた、だが何故か頭がクラクラする・・・本当に彼が言った事
なのか?今聞こえたのは声と言うより脳に直接入ってきたような感覚だし・・・
「ふん?どうした、嬉しそうじゃないか」
「嬉し・・・そう?特にそう言った事は無いが」
「そうか?無表情だったのが今では軽い笑みが浮かんでおるぞ」
顔を触ってみると確かに口角が上がっていた、無意識に戦いを愉しんでいるのか?
「いい傾向・・・って訳でも無いか?無意識って事は魔人の性質が出てるって事だな」
確かにそうなのかもしれない、戦いに関して成長しているような感覚がある訳でも
無いし、戦いを好むようになると戦闘スタイルが変化するだろうし面倒になる
「そぉら、考え事なんぞしとる暇は無いぞォ?!」
大きく振りかぶった手足が絶え間なく向かって来る、速くは無いどころか今までよ
りも遅く避けるのは難しくない・・・が避けると途中で向きを変えて向かって来たり次
の攻撃に繋げる様に体を捻ったり回転させたりと動きが複雑になり読めなくなった
その攻撃の合間に見える口元はさっきまでの浅い笑みではなく、戦いを楽しんでいる
のか口や目元が歪んでいる笑みのような表情になっている・・・そしてどこかあの攻撃
から敵意を感じるようになった、これからは今までと違うと言う事か
「クククッ、楽しいなァ?お前さんとの戦いは何故か昂る、これでも我慢しておるん
だがなァ?その気配が・・・ワシを血と闘争に駆りたてるゥ!」
頭が僅かに痛むと脳裏に何かのおぼろげな姿が幾つも浮かんでは消えていく、どれも
魔物の様だったがなんだったんだろうか?そこそこ長かった気がしたが目の前の彼が
こっちへと向かって来るさっきの所で意識が戻った、時間は経っていないようだ
「ファー!ッハ!」
届きそうにない距離で右手を掌底の様にして突きだしてきた、またしても距離が当て
にならない攻撃か?そのままの体勢で止まっているが・・・しかし攻撃が届いて来ない
何かあるかもしれないし取り敢えず横に避けておこう、左に少し横跳びし左手が届か
ない位の距離を取っておく、どうしたんだろうか、さっきから動いていない・・・いや
表情は変化している?睨むようで額に皺を寄せて悩んでいるようにも見える、よく分
からない表情をしてそれが何度も繰り返し入れ替わっている、ここは隙・・・なのか?
「魔力よ今求めるは邪、汝に定めしは呪いの時間、終わりへと誘う時計の針は進む」
魔法の詠唱・・・最初の部分は簡略化しているが間違いない、邪属性の魔法と来たか
即死や呪いが多い属性だし詠唱からもそうだろうが・・・ここは妨害すべき場所だな
「その時の最中汝は弱りゆく、定めし時を刻んだ時汝に死を」
直ぐに近づいて首を狙った右手を近くまで突きだした瞬間、止まっていた右手が急
加速し振り下ろされ下に弾かれた、もう詠唱は止められないか?一応次の手は・・・
「刻め死への数刻を、カウントダウン開始、ヘルカウント!」
最後は魔法名か、結局大人しく詠唱が終わるまで待つしかなかった、いつの間にか
向けられていた左手が一瞬黒く光ったかと思えば、自分の体に黒い光が宿った
「ワシは教えるの向いとらんし正~直どうすればいいか悩んでいてな?」
ん?さっきまでと違って普段通りの様子だ、だが敵意自体は残っている?
「この魔法は死へと近づく魔法でな、魔法を掛けてから時間の経過毎に対象は少し
弱体化するんだが、この状態で生命力を一定以上失えば即死するって魔法だ・・・
まぁお前さんに即死は効かんだろうが弱体化は効きそうなんでな、これでちょいと
試させてもらうぞ?まぁ死んだら死んだだ、気にする事もあるまい」
まぁそれもそうなんだが・・・殺しに掛かっている側がそれを言うのは違くないか?
む?体が少し重い?正直言ってなんとなくそう感じる程度で、誤差の様なものだが
これがさっきの魔法の効果か・・・今の所特に気にすべき事は無い
「さァ行くぞォ!あぁそれと、30分程休んでいれば治る魔法だから解除も容易だ」
成程・・・だから掛けたのか?だが戦いの中で30分も休息出来る時間など取れる訳が
ない、それはもう勝つしかないと同義ではないか
「1時間程で死ぬんだがな!ガハハ!」
あと30分以内で終わらせろと?もしかして今まで防いだり逃げてばかりだったから
こっちから攻めさせる為にやったのか?可能性はあるか
細かな土が降り僅かな風がゆるやかに土煙を流していく、その衝撃で勢いが完全に
殺されたのかその場で地面に着地する、左腕からはドロドロと粘性を持った黒い水
が流れ出て来ている・・・それが傷口部分を覆って硬化したかと思えば噴出が止まる
これで悪化する事は無いだろう、見た目は表面が滑らかで黒い水の様にしか見えな
いが触ってみると弾力があり、僅かだが泥のように指の形が残った
「ふぅむ、コレはイケると思ったんだがのォ、あそこから避けるか・・・殺りきれる
とはいかんでも無力化位出来ると思っとったんだがなァ」
「完全に殺す気だったでしょうに」
「いやあれで殺せるとは思っとらん、それよりそれに驚きじゃ、黒い血・・・と言う
訳でも無いようじゃが初めて見るぞ、その悼ましくも悍ましいモノは」
「さぁ?自分でも判りませんよ、私の血の様な物としか認識していませんので」
「ふむ・・・そうか、まぁそれもしゃーなしよな・・・しかしイカンな、お前さん」
「何です?」
「まだまだ理ィ性が過ぎる、もっと本能をォ!衝ォ動を呼び起こせェ!慣れとらん
敬語を使えとる時点でまだまだ余裕があるってぇこったなァ!」
そして瞬時に彼の周囲に6本の赤い槍が生成される・・・あれは血で出来ているのか?
光に照らされて渦を巻く様な波打つ表面を輝かせ、展開された杭の様な形状の赤い
槍がこっちへとその矛先を向けている、空に固定されたように浮かんでいるそれは
まるで解き放たれたように急激な加速をして飛んで来た、左肩と右脇腹に右太腿へ
と突き刺さり、その勢いで後ろに引き摺られるように後退すれば、槍が全て貫通し
後方へとつき抜けて行った・・・立つためのバランスが取りにくくなり後ろに倒れる
「ふぅむ、そうか・・・死がないから本能が引き出されず、生がないから衝動が無い
と言う訳だな?いやそれとも我が希薄なせいか?」
何か言っているようだが声が小さくて全ては聞き取れない、ただの独り言だろうか
「いや違うな・・・未熟と言えど魔人である以上破壊や殺戮の死たる性質、それに類す
る衝動や本能のようなモノがあるはずなのだ・・・事実先程から死の気配は強くなって
いる、戦いの中で目覚めてはいるのだからな」
今度はしっかり聞こえてきた、だが何故か頭がクラクラする・・・本当に彼が言った事
なのか?今聞こえたのは声と言うより脳に直接入ってきたような感覚だし・・・
「ふん?どうした、嬉しそうじゃないか」
「嬉し・・・そう?特にそう言った事は無いが」
「そうか?無表情だったのが今では軽い笑みが浮かんでおるぞ」
顔を触ってみると確かに口角が上がっていた、無意識に戦いを愉しんでいるのか?
「いい傾向・・・って訳でも無いか?無意識って事は魔人の性質が出てるって事だな」
確かにそうなのかもしれない、戦いに関して成長しているような感覚がある訳でも
無いし、戦いを好むようになると戦闘スタイルが変化するだろうし面倒になる
「そぉら、考え事なんぞしとる暇は無いぞォ?!」
大きく振りかぶった手足が絶え間なく向かって来る、速くは無いどころか今までよ
りも遅く避けるのは難しくない・・・が避けると途中で向きを変えて向かって来たり次
の攻撃に繋げる様に体を捻ったり回転させたりと動きが複雑になり読めなくなった
その攻撃の合間に見える口元はさっきまでの浅い笑みではなく、戦いを楽しんでいる
のか口や目元が歪んでいる笑みのような表情になっている・・・そしてどこかあの攻撃
から敵意を感じるようになった、これからは今までと違うと言う事か
「クククッ、楽しいなァ?お前さんとの戦いは何故か昂る、これでも我慢しておるん
だがなァ?その気配が・・・ワシを血と闘争に駆りたてるゥ!」
頭が僅かに痛むと脳裏に何かのおぼろげな姿が幾つも浮かんでは消えていく、どれも
魔物の様だったがなんだったんだろうか?そこそこ長かった気がしたが目の前の彼が
こっちへと向かって来るさっきの所で意識が戻った、時間は経っていないようだ
「ファー!ッハ!」
届きそうにない距離で右手を掌底の様にして突きだしてきた、またしても距離が当て
にならない攻撃か?そのままの体勢で止まっているが・・・しかし攻撃が届いて来ない
何かあるかもしれないし取り敢えず横に避けておこう、左に少し横跳びし左手が届か
ない位の距離を取っておく、どうしたんだろうか、さっきから動いていない・・・いや
表情は変化している?睨むようで額に皺を寄せて悩んでいるようにも見える、よく分
からない表情をしてそれが何度も繰り返し入れ替わっている、ここは隙・・・なのか?
「魔力よ今求めるは邪、汝に定めしは呪いの時間、終わりへと誘う時計の針は進む」
魔法の詠唱・・・最初の部分は簡略化しているが間違いない、邪属性の魔法と来たか
即死や呪いが多い属性だし詠唱からもそうだろうが・・・ここは妨害すべき場所だな
「その時の最中汝は弱りゆく、定めし時を刻んだ時汝に死を」
直ぐに近づいて首を狙った右手を近くまで突きだした瞬間、止まっていた右手が急
加速し振り下ろされ下に弾かれた、もう詠唱は止められないか?一応次の手は・・・
「刻め死への数刻を、カウントダウン開始、ヘルカウント!」
最後は魔法名か、結局大人しく詠唱が終わるまで待つしかなかった、いつの間にか
向けられていた左手が一瞬黒く光ったかと思えば、自分の体に黒い光が宿った
「ワシは教えるの向いとらんし正~直どうすればいいか悩んでいてな?」
ん?さっきまでと違って普段通りの様子だ、だが敵意自体は残っている?
「この魔法は死へと近づく魔法でな、魔法を掛けてから時間の経過毎に対象は少し
弱体化するんだが、この状態で生命力を一定以上失えば即死するって魔法だ・・・
まぁお前さんに即死は効かんだろうが弱体化は効きそうなんでな、これでちょいと
試させてもらうぞ?まぁ死んだら死んだだ、気にする事もあるまい」
まぁそれもそうなんだが・・・殺しに掛かっている側がそれを言うのは違くないか?
む?体が少し重い?正直言ってなんとなくそう感じる程度で、誤差の様なものだが
これがさっきの魔法の効果か・・・今の所特に気にすべき事は無い
「さァ行くぞォ!あぁそれと、30分程休んでいれば治る魔法だから解除も容易だ」
成程・・・だから掛けたのか?だが戦いの中で30分も休息出来る時間など取れる訳が
ない、それはもう勝つしかないと同義ではないか
「1時間程で死ぬんだがな!ガハハ!」
あと30分以内で終わらせろと?もしかして今まで防いだり逃げてばかりだったから
こっちから攻めさせる為にやったのか?可能性はあるか
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