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14.それは成長か退化か

二百七十二話 鍛練・戦いの準備

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272話 基本的な能力差の戦い

「そうですね、ですが今回は危険そうだったので」
「まぁその時次第なのはそうだな、だがそっちも攻撃してきていいんだぞ?」
「簡単に反撃あいそうなので難しいですかね」
「そうかァ、それが判るたァやっぱ戦闘センスは高いな」
そう言って見えない程の速度で近づいて来ると、腕が届くかどうかと言った距離で
止まった、そこから真っ直ぐに右手の拳が向かって来て、それに右手で合わせる様
に殴りつけた・・・拳がぶつかり合うと同時に鈍い音と共にミシリと骨が軋むような
音が聞こえてくる、そして押し込み合うまでもなく当然の如く力負けして後ろへと
押し飛ばされた、右手を軽く見れば親指以外握られたまま指が凹んでいる
「やるなァ!筋力にゃ随分差があるだろってのによォ!」
あっちも自分の右手を見て何やら嬉しそうにしている、軽く振る様な腕の動きに合
わせて曲がった指がプラプラと揺れている、あっちは指が折れたのだろうか?
「いいぞォ、骨が折れるなんざ随分感じて無かった感覚だァ!」
そのプラプラと揺れた指は直ぐに正常な位置へと戻っていく、もう治ったのか・・・
特に魔法も使った様子もないし、あれは吸血鬼としてのただの再生能力だろう
こっちはまだ砕けたまま少しも治っていないのに、なんとも便利なものだ
「ハッハァ!久しく血が滾るゥ!もっと激しくいくぞォ!」
動きだしが見えない殆どノーモーションで走りだし、大して無い距離を疾走し動き
出してから1秒も掛らず後ろへ回られた、後ろをとられたことが頭で判っていも体が
追いつかず反応が遅れる、振り向く事が出来ず何とか膝を曲げ前へと上半身を低く
沈める、音からすると頭や首があった場所へと攻撃しているか?それによって千切
れた髪が前に飛ばされているのが僅かに見えた、直ぐに前へと跳び込み距離を取る
「さっきから動きが単一的ぞ、距離を取ろうとするばかりではなあァ!」
着地時に足より手が先に着いた所で腹部を横から蹴り飛ばされた、流石に速すぎる
圧倒的な速度差があって常に先手は取られるし、こっちの後手は潰されてしまう
真っ直ぐに来た左の拳を左腕で外へと逸らす様に凌いで、がら空きになった左腹部
へと右腕で殴りつけるように振ると、そのまま左側を通り抜ける様に少し後ろまで
進むと左腕を振り抜いて来た・・・構えたままの左腕を盾にして防ぐが吹き飛ばされる
着地してその勢いで少し下がって停まる前に、斬り裂く様に指を構えた右腕が振る
われた、左足を少し後ろに下げ無理矢理体を捻ってその攻撃を左側を通過させる事
でなんとか避けその腕を左腕で抑え背中側へと右腕を振り下ろす、すると横になる
様に跳躍し軽く前に進んでいった、その背に僅かに掠る様にして右腕を地面へと叩
き付ける、地面には僅かに亀裂が入った・・・こっちには僅かに掠っていたようで左腕
に切り傷が出来ているし胸部の布が少し切れている、そして右腕を戻すよりも速く
背中へと攻撃されたのを感じ、前へと地面に倒れ込んで避ける、直ぐ上を通過して
いく脚を見送り左脚を上へと跳ね上げ蹴り上げる、恐らく踵が当たる位の場所には
居る筈だが・・・当たらなかったか、脚を引こうとした所で足首辺りで掴まれたのか持
ち上げられた、そこで拳が胸部と腹部の間辺りへと向かって来る、上体を起こして
右足を脇腹へと蹴り込むが脚で防がれた、拳はなんとか腕で防ぐも大きく後ろへと
揺れて掴まれているからか左膝の辺りからミシミシと軋む音が聞こえてきた・・・
骨格は人間と同じ様だから、恐らく間接が曲がらない無理な角度になった事で限界
が来たんだろう、脚が終わったらどうしようもないのは事実だが、このまま掴まれ
たままでも良いようにされて終わるだけだ・・・どうしたものか、カウンターを狙うに
してもあっちの方が戦いに慣れているのもあって、狙っているのが判っているのか
速度や角度をずらされていなされる、時には反撃する前に既に距離を取られて攻撃
が届く距離から離れられている、互いに防ぎ避け合い直撃は避けれているがこっち
の方が圧倒的に攻撃を受けており不利なのは予想通り変わってない・・・
「反応は流石だと言える、攻撃に対する直感も良い・・・ただちぃと動き自体が遅い
速度が足りとらん、だがお前さんが反応出来る速度は越えたと思っておったが反応
して対応出来とるのはいいぞ」
言い終わる前に距離を詰めて来て言い終えると同時に、右手の爪による切り上げに
よる初撃を後ろに躱したら、一歩踏み込んで振り上げた右腕をそのまま振り下ろし
ながら同時に左脚による蹴り上げをやってきた・・・その手足を受けて押される様に
して後ろへと飛んで距離を取る、しかし着地する前に目前にまで迫って来ていた
「言ったろう速度が足りとらんと、それでは常に一手遅いぞ」
向かって来る右の蹴りへと右足で蹴りつけ勢いを着けて後ろに跳ぶ
「さっきも自分で後ろに跳んでいれば間に合ったかもしれんが・・・あれには反応し
きれなかったか?いや対処法が追いつかなかった・・・が正しいか?」
「えぇ、速くてなんとか反応出来ているだけです」
「極限と言える戦いの中では思考なぞ大した意味は無い、重要なのは直感や反射
と言った即応性、無意識による対処とも言えるモノだ・・・お前さんは戦いの時に
考え過ぎ、思考に頼り過ぎなんじゃ」
「む・・・ならどうしたら?」
「獣に成れ、思考を抑え感覚に依る戦いをするのだ・・・ではその訓練と行こうか」
姿がブレたかと思うと真横まで来ていた、今までよりも速すぎる移動でいつの間
にか右側に居た彼による無造作な殴り、防ごうと右腕を胸部の前まで上げた所で
眼の前から姿を消し、そして後ろから背中が何かに押される様にして前へと飛ば
された、そのためか今までよりも長い距離を飛んでいるし、痛みも殆どないが着地
までに何度追撃が来るか・・・このまま着地するまで待ってくれる訳は無い
「その警戒悪くないぞ!」
飛ばされている最中その姿を見失っていたが、飛ばして直ぐにでも移動したのか
彼は既に横に居た、視界だけでは役に立たないが気配を察知するだけでも彼の速度
では認識が追いつけない、横を見ればそこに居る筈の彼の姿は既になくなっていて
気配を探ってもどこにいるのか判断出来ない、着地しようと後ろへ状態を倒して曲
げた脚を伸ばす、地面へとあと少しと言ったところで強大な気配を真上から感じた
頭部を両腕で守る様にして体を捻る、左腕を削る様に何かが過ぎ去り地面を砕いて
土煙を撒き上がらせた・・・左腕は肘から下の左半分が無くなっているし腹部も右側
を少し削られたようだ、もう左腕は動かし辛いし力が入らず役に立たなくなった
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