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13.皇族の帰還・再動

二百七十話 吸血鬼王との会合

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270話 血脈証明書受け取り

中央に置かれていた板の様な物が上がると左右に開きテーブルになった・・・こんな
物は家具店でも見た事が無い、側面や裏側は木材のようだが台の表面部分は透明な
材質で出来ている、その内部で反射する光からしてもガラスでは無さそうだし・・・
テーブルに目が奪われている内に、いつの間にか茶色い液体を注がれていたコップ
を置く時に聞こえた音は低く硬質な物だ、これは鉱石に近い音な気がする、そして
5人分の飲み物が置かれると同時、中央に手のひらサイズの食べ物が乗せられている
皿が置かれた・・・パンのようなクッキーの様な物が数種類混ざっている
「さて皆の分が揃った所で、取り敢えず名乗るとしようかァ」
従者らしき者は一言も喋る事無く、仕事を終えたのか台を壁部分に寄せこちらへと
軽く一礼し静かに去って行った・・・黙し語らず悟らせぬ、これが仕事人って奴か
「取り敢えず好きなように食べて飲んでくれ・・・」
全員が飲み物を飲んで一息つくと、バルゼリットとクマンティナが中央にある物へ
手を伸ばし頬張っている・・・クマンティナは腹が減っていたのだろうと判るが霊で
あるバルゼリットはなぜ食っているんだ?
「お前さんの食い意地は変わらんのォ・・・」
それに対しバルゼリットはハハハと笑ってまた手を伸ばしている
「さて先ずは名乗らんとなァ、我ァが名はクドラク、このヴラド家の祖にして全
吸血鬼の始祖たる存在、クドラク・ヴォドモーン・ドラクリア・ヴラドである」
腕を組んで目を瞑りうんうんと頷く様にしながら名乗られた・・・そこに威厳は無い
「じゃ名乗ったし本題といきたいんじゃがな?」
「何故わざわざ来たと思っていたが・・・やはりそちらにも何か用があって来た訳だ
まぁ彼の事だろう?それ以外に考えられんしな」
「まぁそうだ、と言うかこの気配を感じりゃァ誰だってそう思わな」
「それは判らなくない、貴公の事だから問題はないと思っている、だが・・・」
「それ位分っとるわい、現状何も問題無いんじゃから仕掛けるつもりは無いわ・・・
やったら最悪奴らまで出張って来かねんからな、直ぐ様世に終末来たれりよ」
「私より良く知っている貴方が失敗するとは思いませんが・・・だからこそ判断を
間違いかねないとも言えますのでね」
「そりゃァ、未熟な内にとっとと消滅させるのが正しい対処法よ、出来ればやるさ
出来るんならな・・・そんな方法が無いからこっちから手を出せんのが実情だ、実際に
手ェ出して終わった世界もある、無暗にちょっかい掛けねぇなら奴等は終わるべき
世界以外には手ェ出さねぇんだから、何にせよ関わらねェのが1番の対処法だ」
「まぁもう関わってしまった以上逃げられんがな?自分から関わりに来たのだから
文句は受け付けんぞ?」
「わァっとるわい、さて魔人さんよ何の用があってこの世界に来た?」
「?いや気が付いたらこの世界に飛ばされただけで用や目的は無いです」
「ふん?まぁ力からするとまだ成りたての魔人のようだが・・・それにしちゃ気配が
魔人として純粋すぎるんだよなァ、そりゃまァいいとして、なんでお前さん魔人に
なったんだ?何か目的があったから成ったんだろ?」
「いや私は最初からこの姿ですが?」
「?はァ?マジでか?あァ生まれが魔人ってマジで純粋な魔人かよォ・・・って事ァ
この世界もそろそろ終わりかァ?いつ滅ぼすんだ?」
「そんな予定は無いし役目も持ってないんですが・・・」
「ん?世界の運営側が造った粛清役じゃない純粋魔人って事ァ・・・創造主案件かァ
もうワシ等にゃどうしようもないな、最悪創造主の片割れじゃねェかよォ」
「お前にも判ったか、そういう事である以上これは我らが気にする事では無い」
「そうさな・・・3か所くれェ薄いが魔人の気配を感じるんだがこれァ?」
「彼がこの世界に来る際に分裂し別たれた存在らしい、外に出ずダンジョンに縛ら
れているのは精神的存在であるからだろうし、気にしなくても良かろう」
「ふーむ、それで考えられんのは、放っといて外に出れる様になっちまったら世界
が終るし、肉体の方が負けても肉体が奴等の器になって結局世界が終る?まさかの
まさかで運が良けりゃこの世界を無視してくれる・・・位か?希望的観測過ぎるが」
「そうだな、あえて言うなら他の分裂した魔人精神体は他の存在に対して関心を
持ってないと思われる、を追加しておこう」
「んじゃ世界は終わるで決定じゃな、まぁワシャ長く生きたし寿命も無いから別に
いつ世界終わってもいいんじゃけどな」
「おいおい、貴公には子供達が居るだろうに・・・」
「いやでもマジでどうしようも無いぞ?急に星が消滅するようなもんじゃし」
「それはそう、だがその心配は不要だろう・・・彼がどうにかしてくれるとも」
「そうは言っても別に味方じゃァあるまい?」
「そうだな、だが敵でも無い」
「成程・・・敵に回さず上手く味方に引き込めと?」
「いや敵にさえ回さなければ問題は無い、基本的に味方側に近い」
「確かに魔人らしくはないが、そんな事あるのかァ?」
「法国と教国が一夜にして消えた話は当然知っているだろう」
「そりゃな、幾らゴミだろうと国が消えりゃ・・・あ?」
「そう、想像通り彼がやった」
「マジかい、んじゃ確かに人類側だなァ、放っときゃ勝手に人類同士争うだろうに
わざわざ消してくれるとはありがたいもんだ」
「だから彼は気にしなくて良い・・・と言う事だ、分裂体は完全に彼と対立している
様だからそっちに助力があれば助かるが」
「鍛えるのは問題無い、一応ここの王なんでな着いて行くのは少し難しい」
「まぁいいさ、どうあれ彼も魔人としての性質か無意識だと思うが力を求む傾向は
あるようなんでな」
なんでそんな事が判るんだろうか?私の内側に居るからなのか?しかし力か・・・
確かにそれは合っている、欠けけてしまったそれを求めているのは事実だ、実際に
無意識ながら分裂体を求めているのだろう、あれもまた欠けてしまった自分だから
「・・・ふむ」
コンコンと軽くドアを叩く音がして僅か後に扉が開かれた
「ご用意出来ました」
そう言って従者はヴラド卿へ小さい封筒と紙を差し出した
「ご苦労、さてこれが血脈証明書だ」
何時の間に伝えていたのだろうか?今の今まで話している様子は無かったが・・・
ここに来る前に念話か何かで伝言でもしていたのだろう、この速さで持ってこられ
た証明書に対して、バーゼスクライトは疑問も無いようで顔色一つ変わってないし
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