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13.皇族の帰還・再動

二百六十三話 皇族という存在

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263話 紡がれし皇族と言う存在

「皇族だけが特別だって?世界を見たらそんなこと言え無いわよ兄さん?」
「世界?ふっお前が世界の何を知っている?」
「気に入らないけど教国や法国でいろんなことを知ったわ、世界は広いって」
「その色んな事とはどのようなものだ?」
「物事ってのは多角的なものって事、だから私達が皇族だからって特別なんかじゃ
ない、皇族が特別だっていうんなら他の王達もまた特別だって事」
「クククッ、ハハハッやはり何も知らない分かっていない、遍くを知るよりも何も
知らぬ方が幸福である・・・まさにその通りだ、何も知らなければ悩む事も無いか」
「なんだってのよ、人を呼んでおいて馬鹿にするだけ?ったく皇族ってこんな頭
お花畑の選民思想持ちだったの?これならまだ法国の方がマシじゃない」
「残念ながらお前にもうそんな希望は無い、それに法国も教国もとっくに消えたの
でな・・・それにしてもまだ洗脳が解けている訳では無いか、困ったものだ」
「は・・・?消えた?いや戦争だって起きてないし、それだけ強大な魔物の活動報告
だって無いわよ、冗談じゃない、こんな事で呼んだのなら帰らせてもらうわ」
「何処に帰るのだ?」
「教国か法国どっちか、取り敢えず拠点をどうにかしなきゃなんないし」
「もう既に存在しないと言うのにか?」
「あのねぇ・・・だったらどうやって消えたっての?!なんで知ってるって話だよ!」
「何故知っているか?無論この眼で見たからだが?」
「は?ここに居たのに?どうやって判るってんだよ」
「何故ここにずっと居たと思っているんだ?流石に我々も単独では長距離移動が
出来ないのは確かだが・・・憑りつける先があるなら別だろう?」
「・・・もしかしてずっとこいつに憑いてたって事?」
「そうだ、少しは物分かりがいいじゃないか」
「亡霊らしくロクでもないわね」
「依頼が後で憑いたのが先だがな」
「そんなの関係ないでしょ、もう関係ないこいつにいつまで付き纏うのやら」
「関係ない?大ありだ、お前にもな」
「?もう依頼も終わったでしょ」
「彼は・・・いや、そのお方こそが実質的に皇冠と皇剣を継いだ現皇帝なのだ」
「は・・・?」
「そして我ら皇族の唯一たる主君でもあらせられる、元から我等皇族よりも偉い
お方と言う事だ・・・」
「その割に随分と扱いが悪そうだけど」
「彼が崇拝されるのを好まないから、敬語も使わんようにしているだけだ」
「ふーん神様って事?」
「ふむ?知らなかったか?我等皇族は神の下に無い、基本的に立場は神と同位だ」
「思えば確かに父上が神々に頭を下げている事は殆ど無かったけど・・・」
「まぁだから皇族には神の加護も無いのだがな・・・父上が頭を下げていたのは感謝
を示している時だけだ、他の者達の様に普段から頭を下げる事は無い」
「・・・じゃあなんで皇族が特別なの?他国の王族だって偉いけど神様の下なのに」
「皇族の発祥だろうな、初代は神々と契約して皇帝になったとされている」
「他の王達は人間同士で決定しているだけだから皇族だけが特別って事?」
「そうだ・・・とは言えそう伝わっているものの実際の事は判らん、神達も語らんし
残している情報も意図的に改変されているだろうからな」
「・・・?なんで判るの?」
「簡単な事、所々情報が抜けているからだ、神の名も契約の内容も理由すらも何
1つとして書かれていないのだからな」
「それ本当なの?それじゃもう創作と変わんないじゃん」
「それだけだと確かにそうだな、だが神達のこっちの扱いを考えれば普通の人間
とは大きく扱いが違うのは事実だろう?それに契約通り我等には役目があり特別な
扱いはされている・・・それが良いかどうかは判らんが」
「その事についての話って訳ね」
「そうだ、そう言えばお前は皇族の墓を知らなかったな」
「えぇ、でもあそこでしょ、立ち入り禁止って言われてた庭にある庭園の奥」
「いや違う、あそこは少々危ないから立ち入りを制限しているだけだ、歴代皇族の
墓は城の地下にある」
「地下?」
「そうだ、この城の下にある」
「皇族の墓が地下って・・・なんか立場と合わなくない?」
「言っただろう、皇族には役目があると・・・まぁ地下に埋葬されるが影響を受ける
のは歴代の皇帝だけだ、他の者には影響は無い」
「何それ?死んでも何かあるって事?」
「あぁ、それには墓の場所・・・いや城の地下が関わっている、見た方が早いだろう」
バーゼスクライトは話を区切ると直ぐに椅子から立ち上がり、扉へ向かって行く
・・・バルゼリットはずっと黙って扉の側に居たが、話をする気は無いのだろうか?
「では行くとしよう・・・すまないが私は一旦消える、案内をお願いします主」
それに頷くと掻き消える様にして一瞬で姿が消えた、扉を開きそのまま後ろについ
て来ようとしている2人に目線を送るとバルゼリットが反応した
「ここで俺まで出てくると色々面倒だろうよ、まぁ地下までのお預けですかね」
「別にここで出てきても構わなかったが・・・だが情報処理のためには良かったか」
情報を制限することで判り易くさせていた・・・でいいんだろうか?
「・・・どうして兄は貴方の事を主と呼ぶの?さっき言っていた皇位継承だとかじゃ
なくて神だのうんぬんの事が関係あるんだろうけど」
「それに関しては下で教えてくれるんじゃないか?そもそも私だってそこら辺の事
は殆ど知らないから私から言える事は無いぞ」
「そう・・・地下は外から周るしか無いのよね?行きましょうか」
先程までの兄との会話はいつもと違っていたが、さっきのが素だったのだろうか?
途中で異様に感情的になったのはバーゼスクライトの言っていた通り、まだ完全に
は洗脳が解けていないからなのだろう・・・流石に何年間も洗脳されていたとなれば
直ぐに解ける訳も無いか、それでも関係のない事であれば影響しないのか大人しい
ままなんだが・・・何かできる訳でも無いし暫くは経過観察しかないさそうだ、ただ
これに関しては時間次第でどうとでもなりそうな気がするから放っておいても問題
なさそうだ、法国の事を意識する事が無くなればそれだけで問題無くなりそうだし
取り敢えず思考も纏まったためそこで意識を切り替えて外に向かう・・・人気の殆ど
なくなった通路を進んで外に出る、そして地下へ続く階段へ向かうと前とは少し
雰囲気が変わっているように感じた、空気が少し重くなったような重圧感を感じる
と同時に安らぐような感覚を覚えて他の3人を見るが、特に違和感を感じている様
な様子は無くいつも通りだった、実際彼女はためらう事無く中に入っていく
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