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12.共和国・人探し

二百五十七話 帝国への帰還準備

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257話 共和国を離れる

帰り道の道標となる血の跡は殆どが砂に隠れてしまっていたが、道中に落ちている
脚や甲殻の破片のお蔭でなんとか辿り続ける事が出来、そうして迷う事も時間を
掛ける事も無く最初に奴を戦闘をしていた場所へ帰って来れた、するとあちこちに
散らばっていた兵士達の死骸が荒らされたのか、より四散しており血が無くなって
干からびた様な物も見える、私達がここから離れた後に死骸漁りにでも来た魔物に
荒されたのだろう、少々変わってしまっているが砂地の形状から来た場所はなんと
なくだが覚えている、周囲を探ってみたがどうやら兵士達は来ていないようだし
魔物も既に離れていったのだろう、何の姿も気配もない事を確認した・・・帰り道を
進んでいると、空からは日の光が強く照りつけており時々強めの乾いた突風が吹き
つけてくる・・・これは砂嵐が無くなった影響だけだと思われる、恐らくこれが元の
環境なのだろう、もしかしたらこの砂漠に棲む多くの魔物は基本的に地上に出ない
種の方が多いのかもしれない、遠くに魔物らしき姿が見えたが地上を確認している
だけなのか地中と地上を行き来しているだけで、地上に出ても直ぐに地下に潜って
いて地上には殆ど顔を出している様なものだ・・・こうなると地上への警戒は大して
意味が無いのかもしれない、基本的に地中への警戒をしなければならないが・・・
地中や施設内等の途中に何か挟んでいる場所への警戒や探知ははなかなか難しい
だからこそ地中が主な活動領域だと考えれば納得もいく、それに合理的だし魔物も
環境への適用や生存しやすくなるように変化や進化をしているんだろう・・・それが
特異個体や変異個体と呼ばれるものなのだろうか?特に意味も無い事を考えながら
戻っていただけだが道中危険も無く街に戻る事が出来た、流石に門はまだ簡易では
あるが封鎖されているから入れそうにないから、降りてきた壁の方へと門の警備兵
たちに見られないように少し遠回りして近付く、砂を防ぐ機能が完全に戻っている
のか壁の外にまで防壁が僅かにある、マガセビを亜空間倉庫に戻し壁の側で腰布や
ボロボロになったローブに付着している砂を払い落して登り中を覗いてみる、出て
行った時から特に変化は見られないし視界内には誰も居ない、巡回している警備兵
が居るかもしれないから念のため気をつけて壁を降り静かに拠点に近付く、すると
扉の前に知らない人物が見えた、ドワーフとドラゴニュートの2人のようだが・・・
彼女が対処していたのだろうか?それとも無視しているのか、元々の住人に会いに
来たが誰も居ないからただ扉の前に立っているだけなのか?そのまま2人共どこと
なく不機嫌な様子で扉を睨みつけているだけで移動する様子が無い・・・後ろの窓
から入れるか試してみるか、家の後ろに回って外開きの上に開く細い窓を開ける
少し小さいがいけない事はないか・・・音を発てない様にするのは着地時の床やこの
隙間から考えるとどうやっても無理そうなので、音を消す魔道具である静寂の玉を
亜空間倉庫から取り出してポーチに入れ、窓を壊さないように意識しながら上半身
から入り押し込むようにして滑り込ませる、着地時の床の軋みは静寂の玉の効果で
消えているが少し離れた場所で音が鳴ってしまった、これぐらいならそこまで意識
しないと思うが・・・さっきので少しローブの穴が大きくなったか、扉の前にいた2人
は今の音に反応していなさそうだ、問題無さそうだし上に行って確認しないと・・・
もしかしたら何かあって移動している可能性もあるからな、上がっても荒れたり
している様子は無い、使っていた手前の部屋を見るも彼女の姿は無かった・・・が
ベッドの上に座っているバルゼリットの姿がある、彼がここに居ると言う事は彼女
もこの部屋か隣の部屋には居るのだろう、流石に彼女から離れるとは思えないし
「ふむ、彼女は隣の部屋に居るのか?出て行ったら流石に着いて行くだろう?」
「あの子ならベッドの裏に隠れているぞ、先程訪問客が来てな・・・出てはいないし
関係も無さそうだが出る必要も特にないからな」
「あぁまだ居るだろう、隠れているのに出る意味も無いしここは前から無人のよう
だから、出る方が不法侵入でマズイからな」
ベッドに近付き後ろを覗くと、彼女がベッドと壁の間に挟まる様に隠れていた・・・
確かに隠れるにはいいが逃げ道が無いし、挟まっているからまともに身動きも出来
ないだろうに、まぁ今回は入って来る事も無かったからそれでも良かったようだが
「今誰かと話してたわよね?」
「・・・そうだな、霊と話していただけだ私以外には居ないぞ」
さっきのが聞かれていた以上誤魔化す事など出来ないからな、これ位なら言っても
問題は無いだろう、流石に君の兄達などとは言えないが・・・
「霊使いだったの?まぁそんなことはいいのよ、砂嵐は収まったようだけど討伐隊
が討伐できたの?それなりに時間が掛かってたけど」
「着いたときにはもう討伐隊は全滅していた、だが魔物も飢餓と疲労で随分弱って
いたからなんとかトドメを差す事が出来た」
「そっか砂嵐はやっぱり魔物のせいだったんだね、思ったより時間が掛かったよう
だけど怪我も無いようだし良かったよ」
「硬かったし途中逃げられたからな・・・だがこれで帝国に向かう事が出来る」
「んー、今から行ける?」
「そうだな・・・行けない事はないと思うが着くのは無休息でも夜になるだろうな」
「別にいいんじゃない?途中で野宿してもいいんだし、あんまり長時間この国に
残っていると面倒事が起きる気がしてね・・・」
「まぁ確かに今色々起きているからな」
「それに私は前に色々やっていたみたいで追われる可能性が高いから・・・あんまり
活動を覚えてないんだけど、指名手配されかねないし早めに離れたいかな」
「分かったじゃあ行くとしよう、砂嵐は無いが少し風は強めだったから最低限砂漠
を越えるための装備はしていった方がいだろう」
「大丈夫装備はもう整えてある、使えそうなものは回収もしておいたし」
そう言うとベッドの下に手を入れて薄い木の板を引き摺り出した、その上には装備
が置かれており簡素な杖や細身の剣に軽量の金属鎧と薄い布製の服と揃っている
装備は一式揃っているようだがアクセサリー系は無いようだ、それに装備はどれも
量産品の様で集めやすく処分もしやすい物しかない、やはり暗躍するとなるとこう
いった装備ばかりになるのだろう、じゃないと装備を集める時点で怪しまれる・・・
恐らく私が行ってから、拠点に隠してあった物を回収しに行ってたんだろう
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