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12.共和国・人探し

二百五十四話 迎えられる死

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254話 自滅的な終わり・・・

互いに有効打が無さそうだからこのままだと痛み分けで終わりそうな気がしてきた
こっちはこのまま時間を掛けているだけでも奴を餓死まで追い込めるかもしれない
が・・・そんなに時間も掛けていられないし砂嵐が終わってくれればもういいんだが
外の砂嵐は弱まっているもののまだまだ強風は止んではいない、奴を殺しきらない
と砂嵐は止まないのだろう、落下していると真下から砂礫を飛ばして来た・・・大剣
を盾にして防げば問題は無いと判っている、衝撃で落下速度が緩くなった所にまた
尾による叩き落としがやってくる、避ける事が出来る訳も居なく・・・等とさっきと
また同じ事になる気は無い、対処出来なければまた同じことを繰り返されるだけだ
振り下ろされる尾をなんとか大剣で弾き威力を相殺して、その衝撃で落下速度を
上げないように滞空にも気をつけ体勢と共に維持する、そしてすぐさま弾いたもの
のそのまま同じ場所に留まっている尾を体を半回転させながら斬りつける、十分に
めりこむ位の威力はあったようで半ばまで剣が刺さる・・・だが流石に今回は距離も
あって五分の一入っているかどうかだろうが、こんな事で両断まで出来るとは当然
だが思っていない、逆にこれだけ刺さったのに自分ながら驚いたほどだ・・・そこで
刺さった剣を起点に体を捻じって大剣の上に乗る、尾が元の位置へと戻っていく中
で次は尾を足場とするために移動し、そのまま足場となっている尾の部位・・・真下
へと殴りつける、メシャリと甲殻を砕きながら拳が埋まる程にめり込み、拳の威力
なのか地面に向かって勢いよく尾の裏側を叩きつける事になった、その結果として
尾に近い脚の幾つかが地面に刺さったりひしゃげたりしている・・・地面にぶつかる
衝撃で抜けかけた大剣を引き抜き砕いた場所に振り下ろす、そこから頭部の方へと
突き刺した大剣を甲殻を割りながら引き摺るようにして向かう、半ばまで進んだ所
で次の甲殻に引っ掛かって止まった・・・どうやらここから甲殻が別れているようだ
大剣を引き抜いて甲殻の間へ斬りつけようとした所で、砂の塊が右から来てその砂
に呑まれて押し流された、今の砂はなんだったんだ?砂を払い奴の動きを見ている
と体を引き摺る様にして少しづつ距離を取り出した、幾つかの脚や後ろ半身を潰す
事が出来たから移動速度はかなり低下しているようだが・・・このまま離れて遠距離
戦をしてくる気か?大剣を担いで近づこうとした所で左腕が視界に入った、それに
何か違和感を感じて眼を向けると左腕の凹んでいた部分近くが僅かに膨張している
元に戻っている訳では無く腫れているような状態だ、それに良く見ると肘から下が
不規則に少し震え続けているし、思えばいつのまにか感覚も完全に無くなっている
事に今更気付いた・・・戦いに集中しすぎていたか、距離を取った奴はこっちを見な
がらゆっくりと後退を始めている、逃げる気か?確かにそれもおかしくないか・・・
奴ももう空腹が限界なんだろうし戦闘より食事を優先したいのだろう、だが周囲の
砂嵐が少し強まったか?するとその砂嵐の一部が奴の頭部付近に収束し始めていく
砂嵐は槍の形となり先端は鋭くこっちに向いている、あれに当たったら流石に耐え
られるわけも無く一撃で終わるだろう、それにあの大量の砂が傷を広げ更に回復を
阻害する役目も担っていると思っていい・・・その大きな槍が射出される、だが速度
は大して速くは無い、ゴウゴウと嵐の音を出しながら避ける事も難しくない速度の
槍が向かってきたそれを前に走りながら避ける、後ろで地面に当たるが大した威力
は無いのか砂を巻き上げただけで弾けるように風を散らして消えた、その風に背を
押され少し体勢を崩すもののそれだけだ、走りながら距離を詰める・・・流石に飛び
掛かると空中で叩き落とされるだけだろうから出来ない、大剣を構えて近付くと
こっちへ砂礫や砂の壁を出しながらどんどん後ろへ下がっていく、あの動きは・・・
誘われている訳では無いから気にしなくてもいいと思うが、このままだと本当に
逃げられかねない以上こっちから近付いて行くしかない事は変わってない、それに
弱っている今の内ならまだしも回復されるとそれだけで勝ち目が無くなっていく
奴へ向かってさっきまで居た場所を越えた所で急に足が砂にとられて転びかける
右足が砂に呑み込まれて動けなくなってしまった、そこに来るだろう攻撃を防ぐ
ために構えた・・・が何も来ない、奴は逃げているままこっちへ見向きもしていない
これはただの事故・・・ではないだろう、恐らく奴の魔法だと思うが完全に足止めと
して使ってきたと思われる、力を入れてなんとか抜ける事に成功したが更に一歩
踏み出したところで今度は左足が呑み込まれた・・・むぅ、まんまと引っ掛かって
しまった、どうやら奴の通った場所に仕掛ける事が出来る罠系の魔法なのだろう
少し横に逸れれば問題は無いと思われる、それに奴の移動速度ももう随分低下して
いるし追いつく事は難しくなさそうだ、そして流れている血と言うか体液も線に
なっているし隠れる事もしなさそうだから砂嵐以外で見失う事もないだろう、だが
奴はさっきから何処へ向かっているんだ?あっちの方はさっきの死体の山から離れ
ていっているが・・・本当に逃げる事だけを選んだのか?背を向けている奴へ飛び掛
かりその背に大剣を振り下ろして乗る、2つに分かれていた部分より上の甲殻へと
めり込み甲殻に斬り込みを入れる、そこから振り上げて亀裂を大きくしながら大剣
を抜いて頭部の方へと進む、さっきより揺れる背を走り近い右の頭部へと上から
大剣を叩き付ける、やはり頭部の甲殻は他の場所より硬いのか弾かれてしまった
しかし奴はこっちを振り払おうとするだけで攻撃してこない・・・随分必死に逃げて
いるがもしかして他に凶悪な魔物が近くに存在するとでも言うのか?そう言った
気配は一切感じないが、取り敢えず今は背に大剣を突き刺して落とされないように
する・・・ん?左腕の様子がおかしい、ぷるぷると大きく震えている、いつの間にか
体が硬直して動かなくなった、途端に左腕が破裂し黒い粘体がまき散らされる・・・
そこに振り向いた右の頭部が口から砂を含まない嵐の槍を飛ばして来た、まだ動け
ない以上避ける事等出来る筈も無く腹部に直撃し、たやすく貫いて通り過ぎていく
腹部に大穴が開いて体から・・・主に下半身から力が抜けて、脚に力が入らなくなり
膝を着くとそのまま前へと倒れる、握っている大剣にもたれる様な体勢になる
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