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12.共和国・人探し

二百五十 帰還に向けて

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250話 不透明/困惑など捨てて

「そうだが・・・む?その事を話したか?」
「いえ帝国に行くと言う話でしたが、流石にこの砂嵐の中を進むのは危険ですし
まだ強行突破していない時点で収まるのを待っていたと判断しただけです」
「まぁそうなるか、実際その考えで合っている」
「そう言えばもう1人の彼女はどこにいったので?」
「さぁな何処かへ行ってしまった」
これは間違ってはいないし嘘でもない、今生きているか死んでいるかも判らないし
私にも判っていないあの黒と白の世界へ場所へ行ってしまったからな・・・
「そうですか、逃がしてしまったのですね・・・まぁいいでしょう、大きな行動は
出来ないでしょうし、それより問題なのですが・・・討伐隊が壊滅したとの事です」
「ん?討伐隊の壊滅?しかし砂嵐が収まってきているようだし魔物もどうにか
出来たんじゃないか?」
「先程の連絡で兵士がこぼしていたので壊滅は間違いないかと、ただ魔物の様子は
判りません、しかしまだ残っている兵士達が戦っているとの事なので・・・今も戦闘中
だと思われます、相打ちにもまだいってないでしょう」
「まぁ倒したらその連絡が来るだろうし、相打ちか全滅したのならそもそも専用の
連絡員が居なければ連絡自体無いだろうからな・・・一応対応できているのか?」
「しかし全滅までもう間もなくでしょう、個々での戦闘力は高いのですが人間と
違って戦い方やスキル、属性が画一的になりやすいのが彼らの欠点ですね」
「ふむ、1人に対処出来れば大体の同族相手には対処がしやすくなるのか・・・そして
相手に対し有効打があれば大いに有利がとれるが無ければ必然と長期戦になると」
「そうですね、彼らは基本的に物理攻撃を主体とし火や土と強化の魔法位しか使い
ませんから・・・それに強い相手であれば厳しいでしょう、砂漠で活動する魔物は大体
火や土に対しそれなりに耐性を持っているのが多いんですがね・・・」
「まぁこんな乾燥している環境では水魔法は使い辛いだろうから仕方ないだろうな」
「それでどうされます?新しい討伐隊が出たとして・・・討伐が終わっても直ぐには
出ていけないでしょう、どうやら今は封鎖されているようですし」
「まぁ敵も弱っているなら夜までに終わるだろうが、封鎖はどっちにしろ明日まで
解かれると思えないし待つしかないと思う、砂嵐の中を行きたくないだろう?」
「そうですね・・・しかし出来れば早めに戻りたい、と焦ってしまいます」
ふむ?別段帝国に愛着がある訳でも急いで向かう理由もないだろうが・・・思い出した
事で故郷の事を考えてしまうのだろうか?それとも血筋の影響か皇族の責務か・・・
何処まで思い出しているのか知らないが、言葉づかいも仕草も随分変わっているし
あれが本来の彼女なのだろう、そうなると全て思い出しているとしても帝国の現状
を知っているのだろうか?流石に随分前のことだから皇族がどうなったのか情報は
知っていてもおかしくないが、洗脳されていた時の記憶が全てでは無くても消えて
いる可能性もあるからな・・・まぁそんな記憶なんぞ全て消えて無くなってしまった
方が当人にも良いのかもしれない、それにあまり気楽に聞けるような事でもないし
そもそも聞いても判らない事の方が多そうだから聞く気が起きていないだけだが
だとしても別に聞く必要がある訳でも無い、知らなかったところで困る事なぞ無い
だろうからな・・・後聞いたところで少ししたら自分なら忘れていそうだし・・・
「まぁ明日には帰れるようになっているだろうから砂漠の移動のために体を休めて
おくといい、なんだったら私が運ぶから健康状態だけは維持しておいてくれ」
「えっうん・・・うん?流石に運ばれるのはあれだけど・・・そうならないようにする」
床に座り込んで装備や所持品の確認や点検をしだした、首元で留めていたローブを
外し腰のポーション用ポーチが着いているベルト、ナイフや杖を留めておく留め具
の着いた肩に掛けて支える腰のと1つになっているベルト、どちらも自分でも使え
そうな道具だ・・・あれば便利かもしれないな、ただポーションは逐一確認しておか
ないと使う時に間違えそうだ、それに今使ってるポーションも保持できるポーチ
ベルトですらまともに活用出来ていないのにあれを使いこなせると思えない・・・
あれは6本くらい保持出来そうだ、今使っている奴の倍はあるか?今のは3本の奴
だし、1つはよく分からない卵が入ったままで残りは空いているし何か差しておい
た方が良いかな?と思ったが1つ留め具が壊れていた・・・今まで特に気にしていな
かったがいつの間にか切れてしまっていたようだ、ローブも良く見てみればあち
こちに切れ目や小指が入りそうな程の穴やそれよりも小さな穴がいくつも出来て
いた、気付かない内に砂嵐にやられていたのだろうか?触ってみれば表面も傷んで
いるのかザラザラしている、そしてポロポロと繊維の欠片が落ちていく・・・これは
もう変えた方が良いか?んーまぁ使えなくなるまではいいか、どうせ消耗品だ
ん?バーゼスクライトが帰って来た、ずっと外の兵士達の様子を探っていたのか?
「どうやら討伐隊は全滅し討伐は失敗、対象はまだ活動中とのことだ」
「ふむ・・・しかし新しい討伐隊も向かっているんだろう?」
「いや、救助対象もなく対象も弱っているためか出る様子が無い」
「何故だ?ここで討伐しないとどうせ後で同じような事になるだろうに」
「私には理解も納得も出来ないが・・・それがこの国の在り方で魔物との付き合い方
なのではないか?正直言って討伐や撃退が出来ないなら手を出すべきでは無いが」
「まぁ敵対するだけだからな、それで報復攻撃されたらされたでいいんだろう」
「しかしこれでは、この決着がつくかその魔物が休眠か移動しなければ砂嵐のまま
でしょう、しかしエサが沢山あるときた・・・」
「食って傷を癒したら報復戦・・・もしくはそのまま陣取って居座る可能性があるな」
「後者の方が可能性は高いでしょうね、知能のあるなしに関わらず近くまでエサが
勝手にやってくるとなればいい狩場になるでしょうから・・・もし高い知能があるの
なら警戒したり裏があると思って逃げるかもしれませんが」
「どんな魔物なのか判ってないからな・・・しかしこうなると自分で倒しに行った方が
速く済むだろうからやった方が良いか?」
「力も着けれますし丁度いいのでは?ただ行くならあの子に言っておいてください
勝手に居なくなられると流石にまずいでしょうから」
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