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12.共和国・人探し

二百三十九話 共和国到着

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239話 砂漠のど真ん中の国・当然砂まみれ

周囲を刺激しないように警戒しながら、たまに近付いて来る魔物を軽く追い払い
夜が明けるのを待っていると、少し離れた所から大きな咆哮が聞こえてきた・・・
ワイバーンよりも大きかったがこれはドレイクに近いのか?流石に距離が離れて
いるのもあって判別しにくいが、ワイバーンイーターに似ているような気がした
となるとドレイク系か?どちらにせよ類似種の可能性が高いだろう、まぁこれだけ
広く余裕のある場所なら自由に動き回れるから居てもおかしくない、それに魔物の
種類も数も多く食料の確保がしやすいだろうから、良い狩場として居着く可能性は
高い・・・沢山食う必要があるかもしれないし、と少し考えを横に逸らしていると急に
木に何かぶつかってミシリと音を発て小さく揺れる、落ちる程の揺れではなかった
揺れが収まると同時にどちゃりと何か水音のような音と地面に落ちる音が聞こえた
覗いてみれば木の下には小型とは言えない魔物の死骸がある、周囲の魔物はさっき
ので逃げたようで1体も近くに居なかった、死骸を良く見てみれば前半身しか無く
後ろ半身は引き千切られたかのように無くなっている、もしかしたらこいつを食い
に魔物が集まってくるかもしれないし、殺った奴がやってくる可能性だってある
ここはもう離れた方がいいかな、近づいて来ている気配は感じないが聞こえてくる
争いの音はさっきよりも少し近い気がする、近くの木を跳び移り20M程だろうか?
7本ほど移動して止まる、これ以上砂漠に近い木が無くこれが最後の木だ・・・それに
奥の木までとなると今移動した距離と同じくらいの距離が開いている、流石にそこ
まで行こうとは思わないな・・・とは言え奴が近づいてきた場合、今は無駄に争う事を
避けておきたいから移動するのは仕方ないが、追いかけ回されられる事に比べれば
断然ましだからな、にしても暇と言うか・・・朝までが長いな、今まではなんだかんだ
意識を落とす事が出来たから短く感じていたが、日が昇るまでずっと起きていると
なるとこんなにも長いのか・・・やることも出来る事も無く大人しく周囲を警戒しいる
だけなんて・・・冒険者たちは野宿の際にこれをやっているんだろ?いくら必要な事
だとしてもすごいな、冒険者や騎士団の偵察者なんて丸3日はやっていると聞いた
ことがあるが・・・よく平気でいられるものだ、落ち着けないのにやれる事が無い・・・
ん?音が近づいて来る、さっき居た方からだしさっきの魔物を殺った奴が回収しに
来たのが1番可能性がある、移動している音からしてそれなりの大きさと重量がある
だろうと判る、ただ声は聞こえてこない、警戒しているのか興奮状態なのか冷静な
状態なのか判別できない、それに足音も音を殺し小さくしている訳でも別に強くし
音を発てている訳でもなさそうだ、音にこれと言った乱れがなく規則的に聞こえる
この暗さと距離が見つかりはしないと思うが・・・臭いや温度に生体感知なんかされた
・・・そう言えば私は生態感知に引っかかるのか?体温や臭いもどうなんだろうか・・・
体温に関しては体感的に人間に近いものと思っているが実際どうなのか、どっちも
今の所判ってないし・・・臭いなら多分自然やら野生の臭いだと思うが・・・周囲と違う
臭いがあればどうせ気付かれるだろうから無臭でないなら気にしても仕方ない事か
こっちからもあっちは見えない以上音等気配で感じるしかない、騒がしくなった?
複数の甲高い鳴き声が聞こえてきたかと思うと、何かが少し上から飛んで来ていた
それは1体の小型らしき魔物の死骸で、近くの地面にぶつかって血をまき散らす
既に気付かれてるんじゃないかとすら思ってしまうが・・・偶然だと思いたい、そして
既に先程までの鳴き声は無くなっているようで静けさが戻って来た、風が木々を叩き
草葉を撫でる音くらいしか聞こえない・・・先ほどまでのが嘘のように穏やかなものだ
安全とは言えないがこのまま大人しく身を潜めていれば問題はないだろう、恐らく
奴は今食事中だろうから、刺激さえしなければ大人しく食う事に集中してくれると
思いたい・・・?なんだまた騒がしくなって来たぞ、どうなっているんだこの場所は?
どうやら奴が殺った死骸を求めて魔物があそこに向かって行って集まり始めている
ようだが・・・そんなにここの
魔物達は飢えているのか?奴の元へ向かって行っては悲鳴のような鳴き声が響く・・・
そして幾つもの叫びと咆哮が響き戦いの音が激しくなり、何かの魔物の肉片や植物の
枝などが吹き飛んでくる、ここの魔物ってそんな好戦的なのか?さっきちょっかいを
かけてきたそこまで好戦意欲の高くない魔物すら向かっていたが・・・いや・・・死骸を
漁りに行ったと言うより、強力な魔物を森の魔物達が群れて討伐しに行ったのか?
向かっている時さっきは敵対していたはずの魔物が一緒に移動していたし、うーむ?
何か異常でもあったのか?それとも元からこんなものなのか・・・それが判らない以上
取り敢えずここは何もせず静観するべきだな、無暗に関わらない方が良いだろう・・・
そのせいで新しい異常が起きて問題事が起きたら困る、今はただ大人しく日が昇るの
を待つだけでいい、近くを通った魔物達は私の事を認識していたはずだが何も反応
しなかったと言う事は、今は大人しくしていれば敵対行動はとってこないと思われる
先程よりも大きな幾つもの鳴き声と戦闘音が響いたかと思うと、敵意や闘争の意志が
感じられなくなり戦いの気配が薄まっていく、そのまま待っていればさっき向かって
行った魔物達が来た時と同じように戻っていく、見える範囲だけでも傷だらけの個体
が多く見られるし数自体も少なくなっている気がする、どうやら捕食していた魔物が
殺られたようだ、数の暴力かそれとも他に強力な魔物が居たのか・・・そんなに時間も
掛かって無かったし幾ら数が居てもそんな直ぐに終わらないだろうから強力な魔物が
他にもいると思った方が良いな、見に行くのもやめておこう・・・そこからは特に何も
起きる事も無く日が昇るまで静かなものだった、直ぐに砂漠へ入り進む事にした
昼位になると砂漠の魔物が活発化するようだから、今大人しい内に行くのが1番良い
硬めであるもののサラサラした砂に少し足を取られながら走り抜ける、少し進めば
砂を運ぶ風に遮られてはいるものの共和国らしき場所が僅かに見えた、そこを目印に
走り続ける・・・途中で何度か魔物を見かけたが特に襲われることも無く入口の近く
までたどり着いた、兵士も入口の前に居るしどうやらもう入る事が出来そうだ
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