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11.皇族の指名と継承

二百三十四話 ドレイク種との邂逅

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234話 エサ場が近くにあるんだから居るよね

視られている?空にも周囲にも姿は見えない・・・この視線の先は木々の多く茂る
森とはまだ言えない木々や草の密集地帯・・・その奥か?ふと視線を空に向け速度を
更に押さえる、先の少し離れた場所にはワイバーンの群れが飛び回っているし
後ろの方でも200M程の離れた場所でワイバーンが飛び回っている・・・あれは警戒の
見回り行動だったか、だがこの上には居ないし1匹も近づいてこない・・・良く見れば
僅かに血の跡らしきものが木々の方へと続いているように伸びている、このまま
速度を上げて走れば多分追いつかれはしないと思うが・・・ワイバーンに気付かれた
さっきのあの威圧の様なものでワイバーン達の意識がこっちに向いたのかこっちを
見ている個体が幾らかいる、このままここを抜けても奴らに上から狙われそうだ
面倒なことになったな・・・と、そうやって上に意識を向けていると右から何かが
近付いて来る音が聞こえた、力強く地面を打つ音と木々にぶつかり軋ませる2つの
音が聞こえてそっちへ意識を向けて直ぐその姿が見えた、その5M近くありそうな
巨体に翼が一体化した腕、龍のような頭部に鱗と甲殻で覆われた体・・・ドレイクだ
その頭部や腕には乾いた血がこびり付いている、そのままこちらへと突き進んで
くるその体を躱した、と思ったが腕に巻き込まれてしまい少し吹き飛ばされた
そしてすぐに尾による薙ぎ払いが飛んでくる、跳んで躱したもののそのまま回転し
こっちを向いたドレイクの腕が着地前に向かって来る、大剣で何とか防ごうとした
が途中から跳ね上げる様にしてぶつけられたため、また空中へと戻されより高い
場所まで上がる・・・成程こいつはかなり戦いに慣れている、地上で活動する相手に
は空中で戦えば有利になると判っている訳だ、これがドラゴンやドレイクが強い
種だとされる理由だな、身体能力自体が高く空と地どちらでも戦える強みがある
空中ではまともに身動きが出来ない相手なら一方的に狩る事が出来るという訳だ
そして残念な事に自己加速と自己減速では落下速度は変わらないから、現状空中で
行動するための技能は何も持っていない、威力を幾らか減らせたおかげかあまり
上へと飛ばされる事は無く直ぐに上昇が止まった、打ち上げられて直ぐに体勢を
整えていたためドレイクへ向き直しながら防御態勢を取れば、既に追撃として地面
を穿つように強く蹴りつけたように跳び上がってきた、飛行ではなく跳躍だから
初速が早く飛び上がるよりも圧倒的に速く、叩きつけられた腕を防ぐことは出来た
がまたより上へと押し飛ばされてしまった・・・これは完全に空中戦を行う気だ
ドレイク系は全体的に高めの知能を持つドラゴンとは違い種や個体によって大きく
異なり、ドラゴン以上の知能を持つ個体も居れば殆ど知能の無い個体も存在する
こいつはそれなりに知能があるのだろう、飛ばされる中なんとか鑑定を試みる
[ワイバーンイーター]これが奴の名前か?称号のようにも見えるがこれが名前と
して使われているのだろう、ワイバーンイーターはその名の通りワイバーンを
好んで喰らうとされる種で、ワイバーンの棲みかの近くに棲み着いている事が多い
とされる・・・そこは確かに情報と一致している、ワイバーンイーターは丸みを帯びた
鱗や甲殻を持つ空中機動に長けた姿をしているとの事だが、こいつは刺々しい外皮
に先端が尖った鱗に所々鋭い棘の様な形状をした甲殻をしている、ここだけ情報が
違うな・・・まぁそれ位は個体差による違いなだけかもしれない、もしくは変異した
存在かだが、そこは気にしても仕方がない空中戦を行って来るなら風魔法を習得
しておけば対策も幾らか出来たんだろうが・・・スクロールならあるが使った場合
短期決戦が出来ず長引いてしまえばこっちが先に手詰まりになって削られてしまう
そうなれば後はもう何も出来ない可能性がある、長期戦を前提として動くか?
ワイバーン程長くは飛んでいられないとの事だから、防ぎ切れれば勝ち目は十分
あると言える・・・顔に当たりそうなくらいの高さから振るわれた右腕の爪を体を捻り
避ければ、目の前には大きく開かれまだ血で濡れている牙が並んだ口が迫っていた
体をまた捻り左腕を下から跳ね上げる様にして顎をかち上げる、ザラザラした皮膚
に手の甲が当たり鱗で覆われた部分に腕がぶつかる、そのまま地上へと加速し始めた
とすぐに下から殴られた勢いをそのままに、後ろへ回転しその勢いを乗せて今度は
こっちが細くも先端が広い甲殻で包まれ鱗が棘の様になって横に範囲を広げている
尾によってまた跳ね上げられる、この感触からさっきも受けたのは上の方だったか
流石に棘を喰らうと突き刺さるだろう、恐らく毒等は無いようだが刺されて空中で
動けなくなったらなぶり殺しにされるだけだ・・・大剣以外では防ぎにくいし出来る
限り受けてはいけない攻撃の1つだと認識、上に吹き飛ばされる私を追って1度身を
翻し体勢を整えたワイバーンイーターが向かって来るが、最初とは違いこっちも
体勢を整えて待ち受ける準備が出来る位には余裕があった、そこに強い闘争本能や
敵意とも取れる威圧感が全身に浴びる様に叩き付けられるが、その眼は高揚による
充血や集中による視野の狭まりのようなモノは無い・・・戦いに慣れているのと自身が
優位な空中戦の状況というのもあってか比較的落ち着いている、これではこの状況
で隙を突くのは難しい、戦いに酔い始めてくれれば少しは楽になるモノを・・・
「ヴォオオロァ!」
まだ少し離れた場所から口を開き噛み付きに来るかと思えば、口内から火が溢れて
火の玉が飛んでくる、大きさ的には私の上半身を呑み込むには十分な大きさだろう
直撃を喰らえば速戦闘不可にはならないだろうがかなりの痛手を受けるのは間違い
ない威力はあると思っていい、大剣のマガセビを盾にして防ぐが下から向かって
来るのもあって角度的に逸らしにくい・・・そしてまた上に追いやられ地上からまた
少し離れてしまう、これは防ぐより斬り払った方が良かっただろう・・・またしても
飛ばして来た火の玉を下から斬り上げ両断する、それ以上近付いて来る事は無く
一定の距離を取ったまま胸部を膨らませ次に喉が最後に口へと移ったのかと閉じた
口が少し膨らむ、さっきまでと様子が違うし火の子も漏れていない・・・火じゃない?
こっちに遠距離戦の手段が無いと判断したのか、距離を取って一方的に攻撃しよう
と言うのだろう、このままでは一方的に攻撃され削られるままである以上こっちの
遠距離攻撃である魔法を撃って少し様子を見るとしよう、これで上手くいけば接近
戦も混じるかもしれない・・・上手くいかなければこのまま遠距離戦になるだろうが
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