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9.新たな一歩

二百話 教国へ向かって

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200話 人探しを兼ねて人探し

部屋に戻って合流まで待機しかない…が問題がある、頭部が腐るから置けないし
毛皮も放置しているのは良くなさそうだ…なんとか保存処理しておきたい所だが
取り敢えず待っている間に毛皮の処理を少しでもやっておくとしよう、処理は確か
まず毛皮に残っている脂肪や肉を削ぎ落し血を洗い落とすんだよな?ここでは
出来ないから外に持ちだして…後水も要るがどうするか、近くに川も湖もないし
家の中に水の出る奴があったか、水はあれから取れるとして…何か使えそうな
空の容器はあったか?うーん、こんな事でニアの家に邪魔する訳にもいかないし
なんとかするしかない、入れ物は…そう言えばあったな、色々書かれていた水の
入っていた金属製っぽい容器が、まだ亜空間倉庫の中にあったのを取り出す
とは言え中に入っている水は半分もないため、家の中に戻って水を入れる
ん?なんかちょっと違うのか少し分離している?まぁ水である事には変わりない
人目につかない、なおかつ日当たりのいい場所となれば上しかないよな
最早大した苦労もなく跳躍すれば登れるようになった、バランスには気を使うが
皮を置いて短剣で邪魔な物を削ぎ落していく、取り敢えず最初は練習として
ナー・カラムの毛皮を使おう、柔らかい部分と硬い部分が分かれているから
練習には最適だろう、あと片手しかない今で1番やりやすいのがこれだろうって
だけなんだけど、うーむそろそろ生えてくれないだろうか?やはり不便だ
水を掛けて軽く洗い流して削ぎ落してまた洗い流してを繰り返し、付着している
物が確認できない程綺麗になるまで繰り返す、じゃないと毛皮の保存性が下がり
質が悪くなって痛みやすくなるらしい、まぁこいつは脂肪部分が少ないからまだ
楽だったな、血を洗い流す方がめんどくさいぞ…最後に内側を外にして木に掛け
干す、この乾かす作業も重要だ…まぁ天気もいいし今なら問題ないだろう
次はナンリーピュの毛皮だ、もう日が暮れ始めているし今日はこれが最後だな
こっちは少し柔軟性がありながら頑強性もある、柔らかめのせいで形が崩れる
なんとかそぎ落とし最後に洗う、ちょっと血の跡が残ってしまったが頑丈だった
おかげか穴も大きくなってなかったし傷つき難くて気楽に出来た、とは言えもう
暗くなってしまった、ナー・カラムの方を今よくみると傷の穴が広がっていた
もう少し繊細にやらないといけなかったな、これも掛けて風で飛ばされないように
木に縛りつけておく、強はもう陽はあたらないが風で乾いてくれると思う
部屋に戻ると2人が待っていた、優雅にどこからか持ってきた紅茶を飲みながら
「おお帰って来たか、待っていたぞ」
「10分程な」
「悪かったな?それでもう行けるのか?」
「あぁ、そもそも我らが持っていく物は王冠位だ」
「そもそも自分の所持品以外まともに動かせんからなぁ」
「まぁ霊体だしそんなものなのか、じゃぁ行くか」
「あぁそうだ向かう道中だが、一部の魔物が活性化していると言う話だ」
「なんでもワイバーン共も活動範囲を広げているとか、もしかしたら街道
でも襲われるかもしれん」
「街道?」
「簡単に言えば都市間や村を繋ぐ手入れされている道路だ」
「そこにくる魔物を追い払うのも冒険者の仕事の1つだったりする」
なるほど…常駐依頼の1つにあるのがそれなのだろうか、常駐依頼は人気で直ぐ
無くなる依頼だからその内の1つなら見た事も無いのも頷ける
街道とやらに沿って移動する、繋がっているなら無理に道を外れる必要は無い
何せ迷う可能性が出てくるからな、今は無駄な冒険は出来ない
「ん?右腕はどうした?」
「そう言えばさっきも左手だったが、右利きだろう?」
「あぁ無くした」
「…無くした?腕とは無くすものだったか?だとすると見つかるのか?」
「兄者までポンコツにならんでくれ…取り敢えず腕を探しに行くか」
「なんでわざわざ判ってて乗るんだ、まぁ時間が経てば生えるさ」
「腕とは生える物だったか?うーん?いや生える魔物もいるしそんなものか」
「人類の腕は普通は生えんが…まぁ見た目が人間なだけな種なら生えもするか」
2人してぶつくさ言いだした、声が小さめだからこっちに聞こえないように
言っているのかただの独り言なのかどうか判らない、反応しない方がいいだろう
「そう言えばまだ帝国の領土だし、道中の村に寄るか?」
「ん?そうだな…まぁ別に寄る必要は無いが」
「情報収集としても今欲しい情報も無さそうだからな」
「まぁ村の様子を見ると言うならありなんだが…」
「特に問題が起きていると言う情報もなかったから大丈夫だろう」
「こういった領土の境には騎士や冒険者がそれなりに居るからな」
「機能しているのであれば問題ないと言う事だ」
「そうかなら教国に直行だな」
「うむ、まぁ我等は引っ張られるだけでいいから楽なもんだ」
「…そうか、霊体って便利なんだな」
「いや憑依なりしていれば確かにそうだが、していなければ自我が薄くなっていき
最後には悪霊化して魔物になって暴走だぞ?」
「だから小さな村だろうが大都市であろうが葬儀は重要なのだ」
「まぁ地上に魂が残るのは、そう良くある事じゃないがな」
「確か強い意思や何かへの執着がある場合に…だっけ?」
「うむ、我等のような別の要因で残っている者もいるだろうがな」
「対処法としては願いを叶えるか、浄化魔法などでどうにかするかだな」
「霊なら浄化が効くのか?」
「いやそれは悪霊や魔物化した場合だな、ただの霊なら浄化でも系統が違う」
「使用できるのは高位の神官なり神に仕える者だけだからな、当てにするな」
成程…聞く限りだと私と相性が悪そうだ、取得しても性能は低くなる気がする
その後はどうでもいい事を喋りながら周囲の景色を確認しすれ違う商隊や集団の
邪魔にならないように道の端を歩く、そう言えば最近少し暑くなってきたか?
照りつける日差しも少し強くなったような…気がしないでもない、いやないか?
特に何もない平原や遠くに山の見える景色を楽しめばいいのだろうが…うーむ
何がいいのか判らん、そんなものを眺めているだけで楽しいのか?まぁそもそも
道路から少し逸れれば魔物が居るからそこまで気も抜けないし気楽ではない
遠くで何かが羽ばたいているのが見える、その方向は飛竜の渓谷だからあれは
遠目で見えにくいが姿からしてワイバーンかな、こっち側に向かって来ているのか
「ふむワイバーン共か、少々増えすぎて活動範囲を拡大しているようだな」
「近くにエサが無くなったのやもしれんな、大した知能も持たんから間引き位
大したことではないと言うのに冒険者や騎士共はなにをやっとるんだか…」
「ワイバーンの間引き依頼は見た事は無いが、あるのか?」
「今は判らんな、昔はその依頼を国が出していたが当時ワイバーンの数もかなり
減ってから取り消して以来無いままなのかもしれん」
「内部も政も混乱していたからな…致し方あるまい」
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