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9.新たな一歩

百八十九話 古代の森ー採取開始

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189話 薬草と鉱石の採取だけでいい

奥に進むほど日は差さなくなっていき、暗くなって視界が通らなくなる
時間の感覚すら狂わされる・・・まだ日も高い朝だろうに、日の落ちてきた時間
より暗いか?ところどころ木が倒れたり丸い穴が出来て光が差す場所があるから
外の時間は判るが、視界の確保としては大して役に立つ程の明かりは無い
これは夜目が効くか明かりになる物がないと進むだけでも厄介で危険だ
ぐにゃりと何か柔らかさのある物を踏んでしまい足が滑って倒れそうになった
強引に上体を起こし体勢を整える、どうやら植物型の魔物の一部だったようで
地面近くに口?と思わしき部位のある本体だろう部分があった、もしあのまま
倒れていたら右腕か腹部が噛まれていたかもしれない、あっちは既に交戦状態に
入ったのかこのまま通してくれそうにない・・・マガセビを取り出しながら右腕を
引きこっちに向け起き上がったその口の部分へ突き刺す、同時に何かが口から
飛んできたそれに剣先にあたり弾け周囲に散らばる、流石に何かしらの間接攻撃
の1つは持っているか、口に突き刺さると抵抗も殆どなく貫き通し勢いのままに
地面へと剣先が刺さる、すると弾けた液体が草や木にかかり少しづつ溶かしていく
痛みを感じているのかうごめきグネグネと動き出した、酸を吐くようだが・・・
貫いた場所からそれとは違う色の液体がまき散らされる、直ぐに右へと切り払う
が場所が悪くそのまま刃が木へとぶつかり切り込むと引き抜きながら距離を取る
直ぐに引き抜いてよかった、思ったより簡単に刃が通っていたが木が脆いのか?
噴き出た液体は体に付着していないな・・・触れている草も武器にも特に異常は
無さそうだが毒の類か?何か起きるかわからないし早くここから離れておくか
少し距離を取って奥へ進む、さっきと同じようなのがあちこちに見えた
ここら辺はさっきの魔物の縄張りか?所々に他の魔物の死骸が散らばっている
溶かされたような死骸は奴らにやられたとすると、食い散らかされた方は
別の魔物の仕業か?共生?なら他の魔物の食事場にもなっているか?
今までより早めに進む、すると今まで見なかった果物のなる木があった
ふむ木の状態も比較的綺麗で、枯れたり傷ついてる部分が少ないのが多い
だからと言ってこの付近が安全だとは言えない、しかしこういった植生なら
今迄と違って薬草なども生えていそうだ、このあたりで探してみるか
やはりここも魔物の縄張りなのか、寝床らしき土がさらされている場所がある
今は居ないようだし今のうちに探すか、木の近くや草の密集している所を
探してみる・・・[キンバイカ]と言う黒い実を見つけた、これは香辛料だな
少しだけキンバイカがあったがそれだけだ、珍しくもないし金にならないな
一応回収してポーチに入れておく、潰れても問題ない実だしこれでいいだろう
薬草は無かったな・・・もっと荒れた場所か肥沃な場所じゃないと駄目なのか?
取り敢えずこの辺りには無いようだしもっと奥に進むか…それとも横に行くか
ただ鉱石の取れる場所はもっと奥だし、今は鉱石が優先だから進むしかない
進むと少し木が細いものになっている、周囲には所々大きな石があり
どれも苔に覆われたり木に取り込まれたりしていて、赤い葉の木もある
境界があるかのごとくきっちり植生が変わるな、横の方はどうなっているのか
と言うかこういう変化があるなら迷うような気はしないが・・・確かに変わるまで
そこそこ距離はあるが、ほぼ真っ直ぐ進み続けていれば問題無い程度でしかない
進んでいるとぽつんと1つだけ実のついた植物があった・・・魔物化か?
[剛体の実]ふむ?食べたら強くなれそうな実だが、一時的な物でしかないなら
今食べるのもなんだし、採って亜空間倉庫に入れておくか
周りを見渡してみるも・・・ん?何か茂みにあるな…折れた剣の刀身があった
特に珍しくもない直剣の物と思う、売れもしないだろうし価値はなさそうだが
刃物ではあるし投げても使えるだろうから一応拾っておくとしよう
しかしどうしてこんなものが?そこまで硬い魔物が居たのか?
見てみる限り刃が潰れていたり欠けている部分は見えないし、折れている面も
比較的綺麗に折れているし・・・斬られてその負荷のせいで折れたのか?
他には何も見当たらないな・・・時間が経っているのか血も見当たらないし
ポーチに入れて進むことにする、進んでいけば一面埋め尽くしていた草が
少なくなり湿り気のある土が覗く、木は今までよりも疎らになり1本1本が
大きく太い物に変わり、周囲には石や岩が増えて足場が不安定になる
見える魔物もかなり少なくなってきた、今までいた魔物はインセクト種と
ネイチャー種しか見かけていなかったが、ここからはビースト種も居るようだ
もしかしたら他の種族も居るかもしれない・・・どの魔物もまだ遠くにいるが
既にこっちに気付いていてもおかしくないが、反応は好戦的かそうでないか
見る限りこれといった異常は無さそうだが・・・生態なんか判らないしな
ん?岩山?棲家かどうか判らないが、大きめのビースト種と思われる魔物の
寝っころがっている所は鉱石らしき物が含まれているのか、今までよりも
差す光の量が多いその光が反射し小さな輝きを放っている、採取するなら
居ない間を狙うかあれを殺して採るしかないが・・・あれに勝てるか?
あれが居なくなった隙に取りに行くか、他の場所に行くかしかないとすると
前者は流石に現実的ではないよな、縄張りっぽいし距離を取らないと危険か
あの魔物体毛が茶色のせいで最初地面だと思ったぞ・・・距離があるとはいえ
擬態や色には気を付けないと、気付かない内にいつの間にか近づいていたり
近づかれているなんてこともありそうだ、だがこの森の魔物はそこまで活発的
ではなさそうだな、ここまで1回しか戦闘していないし、さてこの付近に
鉱石らしき物がある事が判っただけでも収穫だ、ここより前でも掘ったりすれば
見つかるのかもしれないが・・・とりあえずこの帯で探してみるとするか
薬草には期待でき無さそうだから鉱石と魔物への警戒に集中するとしよう
どっちに行くかとなると・・・まぁ右でいいか、あの魔物の視界も岩で防げるし
足音を発てないように気を付けながら進む、草をかき分けたり枝を踏んだり
といった音が出る事は少なくなったが、土を踏む音が少し響くようになったか
気付かれても追われるとは限らないからな・・・きっとこのあたりの魔物は
大人しいのだ・・・うむ・・・ん?何となく後ろから何かを感じて振り向く
すると岩の上に顔を乗せこちらを睨むさっきの魔物と視線が重なり目が合う
だがそれ以上動くことはなくこっちを見ているだけ・・・いや警戒か?
もしかしたら人型の存在を見た事がなくどうすべきか迷っているのか?
なら今の内に距離を取らせてもらおう、離れてしまえば関心も無くなるだろう
大きく動かないように視線を合わせながら地面を擦る様に後ろに探す
背中を見せるのは危険だからな・・・ん?視線が逸れた?見逃してくれるか
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