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8.転輪
百六十二話 霊峰に行きたいが
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162話 今そんな余裕は無い
「行くにしても時間に余裕がある時にしておくんだな」
「俺も行ってみたかったなぁ、死者は登れないからなぁ霊峰は」
「成る程····それにしてもまだ用がありませんでしたっけ?」
「?おぉ?そうだったか?···おぉ!そうだった兄者、今この国と法国が戦争状態に
なっていたのは知っているか?更に妖精も参戦するとの事でな」
「戦争状態になっているにはなんとなく分かっていたが、そうか妖精がな···
となると妖精から下がるように言われ、王が不在の今は対応出来んと言った所か」
「まぁ妖精と関わりがあったのは皇族だけですからな、仕方ないでしょう」
「現状魂だけの霊体とは言え復帰出来ないので?」
「既に死者の身だからな、世俗に関わるべきではないと思っている」
「ですが今は王を必要としています、民も国も···しかし死者が表に出るのは
色々な問題が出るでしょう、たとえ蘇生されたとしても他国がどう見るか···」
「そうだ故に出るべきでは無いと思っている、思っているのだが···」
「どうかしたので?」
「兄者、直感に従ってみるのもいいと思いますが」
「そうだな···直感というか思考が出るべきだと言っているのだ」
「なら尚更です、兄者のそれはよく当たりますからな」
「そうかもしれんな···なにより今回の戦いは帝国も出なければなるまい
報復のため力の証明のため、そして兵や民の願いでもあるが故に」
「そうです!戦うべきです!俺も最前線に出ますぞ!いやー仕方ないな!」
「お前は戦いたいだけだろう···まぁいい、ならば先ず妖精と協議せねば」
「行きましょう!今ならまだ間に合うでしょうが急ぐべきです」
「そうだな、だがこのままでは私はここから出られないのだ」
「なんと···いや死者なのだから当然ですね、埋葬されてしまえば魂はそこに
縛られるのは道理···?そう言えば兄者の墓は何れなのだ?遺骨や遺品等を媒介
にして取りつけば出れるでしょう、よくあるレイス種の出現法です」
「私の墓は無い、躯も無ければ当然何も埋まってない···」
「なんと!しかし何故です?まさか法国の者共に奪われたのですか?」
「いや死後直ぐに私の魂は此処に送られ、肉体は深淵に引きずり込まれた」
「それでは直接他者に取りつくしか無いのでは?王冠には無理でしょうし
躯を回収するのも不可能でしょう、そも深淵などまともに探索出来ません」
「とは言え取りつく対象がな···」
「そうですな···俺の体があればいけたかもしれんのですが」
「仕方あるまい、他の方法となると契約か?ただスキルも道具も無いな」
「私に取りつくのは無理なので?」
「恐らくな、気質とでも言うのか···貴公は純粋な人間種ではあるまい?」
「えぇ、よくわかりましたね?」
「この眼は普通よりもよく見えるのだ、良くも悪くも色々とな」
「確かに両方色が違いますが、普通の目とはなにか違うので?」
「兄者の眼は我等一族に伝わる特殊な眼なのだ」
「そう言うことだ、詳細に関してはこれも全て把握できている訳ではない、でだ
種族が違うと憑くのが難しくなるようでな、魔物に取り憑くのがいるが
奴等ですら姿が大きく離れていると対象に憑けない事があるようだしな」
「そうですか···どうしましょうか」
「霊や魂と相性の良いものであれば、いけるかもしれんがな···」
「そんな物は珍しくそう見つかるものでもない」
「霊や魂と相性の良いもの···あぁ」
「どうした?あったのか?」
「あるにはありましたがあれはダメです、呪詛の塊のような物ですから」
「そうか···だが危険物と言えどあるにはあるのだな?」
「兄者!?まさかそれに憑くと言うのですか!危険すぎます!」
「しかし何も成せず死した私が国のために出来ることがまだあるのなら
危険であってもこれしか方法がないのと言うならやるしかあるまい?」
「兄者、本気なのだな···解りました、そこまで本気なのなら止めません
それなら俺も動きに制限がある以上同じようにした法がいいのでしょうな
何より兄者だけにさせるわけにもいかん、王の騎士たるもの着いていかねば!」
なんだか話が勝手に進んでいく、私も当事者でないのか?···違うのか?
「まさか道具に憑くので?やめたほうがいいと思いますが」
「とりあえず見てからだな、問題なさそうならそのまま憑く」
「危険そうならそれを仲介してお前に憑く、と言う手段もとれるのだ」
「成る程では取り出しますが···ここで出して大丈夫ですかね?」
「ここで出す以外にどこで出すと言うのだ?外で出しても意味はなかろう」
「まぁそうなんですけど、何か起きても知りませんよ?」
「構わん、呪詛が溢れる位ならここでは何の問題もない」
「言ったろう?ここは特別な場所だからな、頑丈な空間なのだ」
「だからここでは空間魔法すら阻害される、転移や歪曲などもな」
「...空間倉庫開けますかね?」
「それくらいなら問題あるまい、いつもより消耗するだろうがな」
亜空間倉庫を開き目的の物を探す、確かに何時もより少し疲れるがそれだけだ
でかいから見つけやすいはず、大きいものが少ないから直ぐに見つけれた
それに前と違って殆ど嫌な感じがしない、もしかして呪いが減ったのだろうか?
直接掴んでも何の反応も来ない、いや少しは呪いの影響か触った部分がゾワゾワ
いやジワジワと僅かな痛みのようなこそばゆさを感じるようになっている
これならば特に問題もなさそうなので引き出す、すると途端に体が重くなった
この感覚は前にもあった、これは呪いによるせいではない
そう···魔力の大量消費による脱力感だ、取り出すさいに魔力が異常に持ってかれ
急激な消耗によって発生するものだ、場合によっては気絶や失神するらしい
気絶と失神の違いは判らないが、安全圏でなければ危険なのは同じだ
意識が何かに引っ張られるような、内の奥底に沈むような寝るときの感覚に近い
「行くにしても時間に余裕がある時にしておくんだな」
「俺も行ってみたかったなぁ、死者は登れないからなぁ霊峰は」
「成る程····それにしてもまだ用がありませんでしたっけ?」
「?おぉ?そうだったか?···おぉ!そうだった兄者、今この国と法国が戦争状態に
なっていたのは知っているか?更に妖精も参戦するとの事でな」
「戦争状態になっているにはなんとなく分かっていたが、そうか妖精がな···
となると妖精から下がるように言われ、王が不在の今は対応出来んと言った所か」
「まぁ妖精と関わりがあったのは皇族だけですからな、仕方ないでしょう」
「現状魂だけの霊体とは言え復帰出来ないので?」
「既に死者の身だからな、世俗に関わるべきではないと思っている」
「ですが今は王を必要としています、民も国も···しかし死者が表に出るのは
色々な問題が出るでしょう、たとえ蘇生されたとしても他国がどう見るか···」
「そうだ故に出るべきでは無いと思っている、思っているのだが···」
「どうかしたので?」
「兄者、直感に従ってみるのもいいと思いますが」
「そうだな···直感というか思考が出るべきだと言っているのだ」
「なら尚更です、兄者のそれはよく当たりますからな」
「そうかもしれんな···なにより今回の戦いは帝国も出なければなるまい
報復のため力の証明のため、そして兵や民の願いでもあるが故に」
「そうです!戦うべきです!俺も最前線に出ますぞ!いやー仕方ないな!」
「お前は戦いたいだけだろう···まぁいい、ならば先ず妖精と協議せねば」
「行きましょう!今ならまだ間に合うでしょうが急ぐべきです」
「そうだな、だがこのままでは私はここから出られないのだ」
「なんと···いや死者なのだから当然ですね、埋葬されてしまえば魂はそこに
縛られるのは道理···?そう言えば兄者の墓は何れなのだ?遺骨や遺品等を媒介
にして取りつけば出れるでしょう、よくあるレイス種の出現法です」
「私の墓は無い、躯も無ければ当然何も埋まってない···」
「なんと!しかし何故です?まさか法国の者共に奪われたのですか?」
「いや死後直ぐに私の魂は此処に送られ、肉体は深淵に引きずり込まれた」
「それでは直接他者に取りつくしか無いのでは?王冠には無理でしょうし
躯を回収するのも不可能でしょう、そも深淵などまともに探索出来ません」
「とは言え取りつく対象がな···」
「そうですな···俺の体があればいけたかもしれんのですが」
「仕方あるまい、他の方法となると契約か?ただスキルも道具も無いな」
「私に取りつくのは無理なので?」
「恐らくな、気質とでも言うのか···貴公は純粋な人間種ではあるまい?」
「えぇ、よくわかりましたね?」
「この眼は普通よりもよく見えるのだ、良くも悪くも色々とな」
「確かに両方色が違いますが、普通の目とはなにか違うので?」
「兄者の眼は我等一族に伝わる特殊な眼なのだ」
「そう言うことだ、詳細に関してはこれも全て把握できている訳ではない、でだ
種族が違うと憑くのが難しくなるようでな、魔物に取り憑くのがいるが
奴等ですら姿が大きく離れていると対象に憑けない事があるようだしな」
「そうですか···どうしましょうか」
「霊や魂と相性の良いものであれば、いけるかもしれんがな···」
「そんな物は珍しくそう見つかるものでもない」
「霊や魂と相性の良いもの···あぁ」
「どうした?あったのか?」
「あるにはありましたがあれはダメです、呪詛の塊のような物ですから」
「そうか···だが危険物と言えどあるにはあるのだな?」
「兄者!?まさかそれに憑くと言うのですか!危険すぎます!」
「しかし何も成せず死した私が国のために出来ることがまだあるのなら
危険であってもこれしか方法がないのと言うならやるしかあるまい?」
「兄者、本気なのだな···解りました、そこまで本気なのなら止めません
それなら俺も動きに制限がある以上同じようにした法がいいのでしょうな
何より兄者だけにさせるわけにもいかん、王の騎士たるもの着いていかねば!」
なんだか話が勝手に進んでいく、私も当事者でないのか?···違うのか?
「まさか道具に憑くので?やめたほうがいいと思いますが」
「とりあえず見てからだな、問題なさそうならそのまま憑く」
「危険そうならそれを仲介してお前に憑く、と言う手段もとれるのだ」
「成る程では取り出しますが···ここで出して大丈夫ですかね?」
「ここで出す以外にどこで出すと言うのだ?外で出しても意味はなかろう」
「まぁそうなんですけど、何か起きても知りませんよ?」
「構わん、呪詛が溢れる位ならここでは何の問題もない」
「言ったろう?ここは特別な場所だからな、頑丈な空間なのだ」
「だからここでは空間魔法すら阻害される、転移や歪曲などもな」
「...空間倉庫開けますかね?」
「それくらいなら問題あるまい、いつもより消耗するだろうがな」
亜空間倉庫を開き目的の物を探す、確かに何時もより少し疲れるがそれだけだ
でかいから見つけやすいはず、大きいものが少ないから直ぐに見つけれた
それに前と違って殆ど嫌な感じがしない、もしかして呪いが減ったのだろうか?
直接掴んでも何の反応も来ない、いや少しは呪いの影響か触った部分がゾワゾワ
いやジワジワと僅かな痛みのようなこそばゆさを感じるようになっている
これならば特に問題もなさそうなので引き出す、すると途端に体が重くなった
この感覚は前にもあった、これは呪いによるせいではない
そう···魔力の大量消費による脱力感だ、取り出すさいに魔力が異常に持ってかれ
急激な消耗によって発生するものだ、場合によっては気絶や失神するらしい
気絶と失神の違いは判らないが、安全圏でなければ危険なのは同じだ
意識が何かに引っ張られるような、内の奥底に沈むような寝るときの感覚に近い
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