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8.転輪
百五十八話 青き火と烈火の意志
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158話 落ちた先には堕ちた者
狂気をはらんだ笑い声が部屋中に響き渡り、正面にあるこの体に叩きつけられる
その声に衝撃や何かしらの効果等は無いようで、それによる異常は感じないが
今まであちこちに飛んでいた彼の意志が全てこちらに向けられているのか
重厚な気配と言うか存在感を浴びせられる、体勢をさっきの構え状態に戻すと
担いでいた剣と視線を下ろし一旦前に向け床を擦るとそこから振り上げる
前傾姿勢であるためその格好はなんとも言いがたく、不気味さすら感じる
そこから顔を上げ視線がぶつかる、そこにはさっきまでの感情が感じられず
死んだような顔には無表情を張り付け、しかし眼は鋭く殺意が籠っている
当然その攻撃体勢に警戒を強める、やってくるのは突撃か斬撃飛ばしだろうか
勢いよく降りおろしガンっと床を叩くと同時に予想通り斬撃が飛んでくる
斬撃に集中していると左で音が聞こえた、壁を蹴ったのか床を蹴ったのかは
判らないがこっちに突っ込んできているのがなんとか見えた、少し斬撃に集中
しすぎたのかもしれない、そして向かってくる斬撃が行動を僅かでも制限する
斬撃を飛ばして囮にし回り込んで来たのはこのためでもあるのか
前には行けない事もないが斬撃の威力が不明のため、まだ無理をする理由はない
攻撃をそのまま受けるとなると勢いのついた攻撃を防ぎきれるか?
後ろか右に逃げる?後ろは一方通行の通路で逃げ場もないし、相手の攻撃手段に
魔法があると対処できなくなる、なにより武器を振れるだけの十分な横幅も無い
だめだ考えている時間がない、ならばいっそ向かっていって勢いが乗り切る前に
当たれば幾らかの威力を殺させる筈だ、直ぐ様左に向かって体勢を低くしながら
床を擦るようにスレスレを···といきたかったが、やったことの無い初めての事を
一発で出来るわけもなく最早擦りながら無理矢理跳ぶようにして向かっていく
そして相手へ真正面から向かうだけの余裕がなかったせいで体勢も整えれず
無理に横とびをしたせいか、勢いをつけきれず速度が思ったよりも出なかった
そこからそのまま長刀を横凪ぎに振るう、そこに相手の剣が叩き付けられる
思ったよりも相手の力が強いのか···それとも勢いを殺せていなかったのか
直ぐに地面を蹴って低さを意識し後ろに跳ぶ、これで良かったのかもしれない
もし体勢を整え向かい合った状態で突っ込んでいく事になっていたら
高めに跳んでしまっていた可能性が高い、そうなると足が床に着く前に
吹き飛ばされていただろう、後ろに引くと直ぐに此方へ向いて突っ込んで来る
技術など要らないとばかりにただ勢いを着けただけの直線的な動きと攻撃
だがまともに当たれば一撃で行動不能になるだろう、恐らくそれを優先している
取り敢えず大振りの一撃を当て流れを引き寄せる戦闘スタイルなのだろうか?
それともただ暴走しているからこんな戦い方になっているだけか?
攻撃をなんとか防いで幾度か打ち合う、直線的だが動きも思ったより機敏だ
まぁどんな戦い方にせよ危険な事に変わりはないのだが、少し距離を取り
武器のリーチ差で一方的に攻撃出来る距離を常に維持するように戦う
初撃は必ず大振りで、そこから回避されると小振りの速度を優先した攻撃をして
防がれると大振りを繰り返すといった動きを固定した戦闘スタイルのようだ
大まかに把握できたため距離を縮め、右から来た大振りを避け胴へと斬りつける
盾を持っていないし、剣も振りきっているから防げないと思うが
反応し相手もバックステップをして後ろに回避されたが、甲高い音が少し出た
鎧に少し傷を付けれたようだ、ただあれではダメージはないだろう
そしてまた突っ込んでくる、今度は縦で真上からの降りおろし、防げないな
これは横に避けるべきか···ガヅンと床を叩き衝撃波が発生し正面を吹き飛ばす
横への回避を選んで良かった、降りおろした体勢で止まっている所に斬りかかる
首は鎧で守られているため狙えない、胴は鎧を斬れない以上攻撃する意味はない
となればまずは腕を狙う、少しでも力が入らなくなってくれると嬉しいが
関節部分を狙ったが、そううまくいくはずもなく鎧に傷をつけるも弾かれる
うーむ効果は無さそうだな、武器を変えるか?衝撃重視で大剣にしたほうが?
でもリーチの有利が無くなるし、早い攻撃は防げなくなるかもしれない
ギン、互いに正面からぶつかり合う、ギン、大上段の隙に斬りつける
ギン、振り上げたのを弾き構え直す、ギン、凪ぎ払いを弾いて反らす
ギン、腕へ攻撃し相手の攻撃を止め、ギン、鎧に弾かれ有効打は無い
一向に削れないまま幾度か打ち合い、一撃喰らうだけで大きく流れは変わる
しかしこっちの攻撃は効いていない、やはり大剣に変えるしかないか
じゃないとひたすら不利な状況で打ち合うだけになってしまう
それにもう何れだけ戦っているのか···今までで一番長いんじゃないか?
互いに近付き斜めの降りおろしでぶつかり合う、押し合い···同時に後ろに跳ぶ
着地と同時に横凪ぎの構えにし、直ぐ様大剣に変えると、互いに走り出す
さっきまでよりも近くまで踏み込んで、体をひねり大きく薙ぎ払う
相手の剣が振りきられるより早く打ち込み、吹き飛ばしそのまま壁にぶつかる
どうやら剣で防いでいたようだ、が衝撃は大きかったのか動きが鈍っている
長期戦になっても、不利になることは無いだろうが有利にもならないだろう
既にもう2時間以上戦っていると思うが、相手に疲労している様子は見られない
もし相手に疲労がないなら、こっちだけが蓄積していき不利になる
となると早く決着を着けたいのだが···壁に当たったあと膝を着いている所にした
上段からの降りおろしは剣で滑るようにそらされ凌がれた···ん?なんか違和感
技術的な動きなど今まで無かったと言うのに、これで更に厄介になったか···
大剣が床に当たる前に止め後ろに下がって観察する、見た目に変化は無さそうだ
いや剣の赤く光っていた部分が暗くなって明滅している、がそれ以外には無いな
うつむいたまま立ち上がり構えもせずにつったている、どういう事だ?
構えもしないし体勢も今までと違う、戦う気を無くした?···まさかな
「クックック、ハァッハッハァッ!やはり闘争とはこうでなくてはなぁ!」
理性を取り戻したのか、眼には光があるように見え表情が戻っている
狂気をはらんだ笑い声が部屋中に響き渡り、正面にあるこの体に叩きつけられる
その声に衝撃や何かしらの効果等は無いようで、それによる異常は感じないが
今まであちこちに飛んでいた彼の意志が全てこちらに向けられているのか
重厚な気配と言うか存在感を浴びせられる、体勢をさっきの構え状態に戻すと
担いでいた剣と視線を下ろし一旦前に向け床を擦るとそこから振り上げる
前傾姿勢であるためその格好はなんとも言いがたく、不気味さすら感じる
そこから顔を上げ視線がぶつかる、そこにはさっきまでの感情が感じられず
死んだような顔には無表情を張り付け、しかし眼は鋭く殺意が籠っている
当然その攻撃体勢に警戒を強める、やってくるのは突撃か斬撃飛ばしだろうか
勢いよく降りおろしガンっと床を叩くと同時に予想通り斬撃が飛んでくる
斬撃に集中していると左で音が聞こえた、壁を蹴ったのか床を蹴ったのかは
判らないがこっちに突っ込んできているのがなんとか見えた、少し斬撃に集中
しすぎたのかもしれない、そして向かってくる斬撃が行動を僅かでも制限する
斬撃を飛ばして囮にし回り込んで来たのはこのためでもあるのか
前には行けない事もないが斬撃の威力が不明のため、まだ無理をする理由はない
攻撃をそのまま受けるとなると勢いのついた攻撃を防ぎきれるか?
後ろか右に逃げる?後ろは一方通行の通路で逃げ場もないし、相手の攻撃手段に
魔法があると対処できなくなる、なにより武器を振れるだけの十分な横幅も無い
だめだ考えている時間がない、ならばいっそ向かっていって勢いが乗り切る前に
当たれば幾らかの威力を殺させる筈だ、直ぐ様左に向かって体勢を低くしながら
床を擦るようにスレスレを···といきたかったが、やったことの無い初めての事を
一発で出来るわけもなく最早擦りながら無理矢理跳ぶようにして向かっていく
そして相手へ真正面から向かうだけの余裕がなかったせいで体勢も整えれず
無理に横とびをしたせいか、勢いをつけきれず速度が思ったよりも出なかった
そこからそのまま長刀を横凪ぎに振るう、そこに相手の剣が叩き付けられる
思ったよりも相手の力が強いのか···それとも勢いを殺せていなかったのか
直ぐに地面を蹴って低さを意識し後ろに跳ぶ、これで良かったのかもしれない
もし体勢を整え向かい合った状態で突っ込んでいく事になっていたら
高めに跳んでしまっていた可能性が高い、そうなると足が床に着く前に
吹き飛ばされていただろう、後ろに引くと直ぐに此方へ向いて突っ込んで来る
技術など要らないとばかりにただ勢いを着けただけの直線的な動きと攻撃
だがまともに当たれば一撃で行動不能になるだろう、恐らくそれを優先している
取り敢えず大振りの一撃を当て流れを引き寄せる戦闘スタイルなのだろうか?
それともただ暴走しているからこんな戦い方になっているだけか?
攻撃をなんとか防いで幾度か打ち合う、直線的だが動きも思ったより機敏だ
まぁどんな戦い方にせよ危険な事に変わりはないのだが、少し距離を取り
武器のリーチ差で一方的に攻撃出来る距離を常に維持するように戦う
初撃は必ず大振りで、そこから回避されると小振りの速度を優先した攻撃をして
防がれると大振りを繰り返すといった動きを固定した戦闘スタイルのようだ
大まかに把握できたため距離を縮め、右から来た大振りを避け胴へと斬りつける
盾を持っていないし、剣も振りきっているから防げないと思うが
反応し相手もバックステップをして後ろに回避されたが、甲高い音が少し出た
鎧に少し傷を付けれたようだ、ただあれではダメージはないだろう
そしてまた突っ込んでくる、今度は縦で真上からの降りおろし、防げないな
これは横に避けるべきか···ガヅンと床を叩き衝撃波が発生し正面を吹き飛ばす
横への回避を選んで良かった、降りおろした体勢で止まっている所に斬りかかる
首は鎧で守られているため狙えない、胴は鎧を斬れない以上攻撃する意味はない
となればまずは腕を狙う、少しでも力が入らなくなってくれると嬉しいが
関節部分を狙ったが、そううまくいくはずもなく鎧に傷をつけるも弾かれる
うーむ効果は無さそうだな、武器を変えるか?衝撃重視で大剣にしたほうが?
でもリーチの有利が無くなるし、早い攻撃は防げなくなるかもしれない
ギン、互いに正面からぶつかり合う、ギン、大上段の隙に斬りつける
ギン、振り上げたのを弾き構え直す、ギン、凪ぎ払いを弾いて反らす
ギン、腕へ攻撃し相手の攻撃を止め、ギン、鎧に弾かれ有効打は無い
一向に削れないまま幾度か打ち合い、一撃喰らうだけで大きく流れは変わる
しかしこっちの攻撃は効いていない、やはり大剣に変えるしかないか
じゃないとひたすら不利な状況で打ち合うだけになってしまう
それにもう何れだけ戦っているのか···今までで一番長いんじゃないか?
互いに近付き斜めの降りおろしでぶつかり合う、押し合い···同時に後ろに跳ぶ
着地と同時に横凪ぎの構えにし、直ぐ様大剣に変えると、互いに走り出す
さっきまでよりも近くまで踏み込んで、体をひねり大きく薙ぎ払う
相手の剣が振りきられるより早く打ち込み、吹き飛ばしそのまま壁にぶつかる
どうやら剣で防いでいたようだ、が衝撃は大きかったのか動きが鈍っている
長期戦になっても、不利になることは無いだろうが有利にもならないだろう
既にもう2時間以上戦っていると思うが、相手に疲労している様子は見られない
もし相手に疲労がないなら、こっちだけが蓄積していき不利になる
となると早く決着を着けたいのだが···壁に当たったあと膝を着いている所にした
上段からの降りおろしは剣で滑るようにそらされ凌がれた···ん?なんか違和感
技術的な動きなど今まで無かったと言うのに、これで更に厄介になったか···
大剣が床に当たる前に止め後ろに下がって観察する、見た目に変化は無さそうだ
いや剣の赤く光っていた部分が暗くなって明滅している、がそれ以外には無いな
うつむいたまま立ち上がり構えもせずにつったている、どういう事だ?
構えもしないし体勢も今までと違う、戦う気を無くした?···まさかな
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