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7.必然の転機
百四十七話 森の主/虚ろな気配
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147話 自然と共にある者
強大なようでいて幻のように虚ろで感覚を掴みにくい気配を僅かに感じた
2人の方を見るも変わりはなく気付いてはいないようだ、どうすべきか···
敵対している訳でないとしてもこの気配について当然教えるべきではある
最近噂になっている森の主だとか言われている魔物かもしれない、それなら
敵対していないだろう、しかし他の魔物だった場合···しかも知性があったら?
もしこっちを既に、又は常に把握していて、自身の存在が気付かれたと判断した
もしくはそれを条件に襲ってくる魔物の可能性もある、たしか噂の魔物は
こっちから攻撃しなければ攻撃してこない、との事だから問題無いが···
だが本当にそうか?噂は所詮噂でしかない、情報に確実性が欠ける
そもそも出会って帰ってきた者の証言であり、警告として出てきて姿を消した
との事からその条件では問題なく見逃して貰えるだけで、他の状況では不明だ
実際遭遇したと思われる複数の冒険者が、行方不明となっているのに安全だと?
その魔物にとって今の状況が敵対化する条件かもしれないのだ···
この存在を感じ取れない霧のような気配、噂とその魔物の情報と一致する
知性があると言うが、人間に友好的な訳でもない魔物を相手に安全などない
それにダンジョンの魔物と違い基本的な魔物は、それぞれテリトリーを持ちその
テリトリーを守るものだ、そうなれば中立の魔物は普通に敵に回るし
少し友好的な位でも当然のように敵になるのだから、この森自体がテリトリー
だとしたら?普通の魔物なら敵対だ、ならば森そのものはテリトリーではない?
いや妖精や精霊に近い存在だとするなら森を荒らさなければ敵対はしない?
噂だと何かから遠ざけている、ならそこへ近付かなければいいだけ?
ならばなぜさっき気配を感じた?今はもう感じとれないが、近くまで来ていたはず
いやまだ近くにいる気がする、見られているような気もするが···
周囲全体から···気のせいか?しかし接触してこないのなら教えないべきか?
2人はやはり違和感を感じていないのか変化はない···ん?手が止まっている?
と言うか2人共もう食べ終わったようでお茶を飲んで待っている
いつの間に···っと魚が焦げそうだった、少し考えるのに集中しすぎたか
まぁ森の中に行かなければ問題ないか?今回は行く用事もないし
「ねぇそろそろいいんじゃない?」
「あっあんたも飲み物いる?」
「そうだな貰おう、焼き終わったし」
喉はそれなりに渇くんだよな、飲まなくても問題は無いが少しずつ声が枯れていく
最後の焼いた身を皿にのせて渡す、受け取ったお茶を飲んで喉を潤す、悪くない
味は薄めだが香りはいいしさっぱりしている、こう言った食事に合うのだろうな
取り敢えずもう使わない鉄板を下ろし台を片付けようとしたが、当然まだ熱い
「火はもう要らないか?」
「いいんじゃない?もう使う事も無いし」
土をかぶせ火を消してそのまま置いておく、水をカップに入れ鉄板に掛ける
軽く水で流し幾らか冷ますとさっと洗い、水はまだ少し赤熱している薪に掛け
最後の火消しと水の処理をする、また隠せる位の土を被せてから踏んで整える
台に水を掛けて冷やし鉄板も水気を拭き取り袋に戻す、片付けは終わったな
「おっありがとね、でも置いとけば私達がやったのに」
「買うのは網でも良かったかもね、網のほうが軽いし」
「そこ分長く使えないし鉄板は他にも使い道があるからオススメなんだってさ」
ふむ···確かに鉄板なら簡易的な盾にもなるし、他にも使い道があるかもしれない
「ふぅ···食べた食べた、なかなかよかったわね」
「素焼きよりは全然ましよね、さて食べたしゆっくりしたい所だけど」
「安全だったけどいつ魔物が来るか判んないからね、油断できない」
「食べてる途中殆ど周り警戒してなかったけど···」
まぁ周囲に魔物は居なさそうだ、逃げ遅れたと言うより移動の遅い魔物や
一部の魔物はもしかしたら逃げれずに残っているかもしれないが、此処等の
魔物は危険度も低いし大丈夫だろう、そもそも臆病な魔物ばかりだしこっちに
近付いてくる事すらないだろうけど、用は済んだが次はどうするんだろうか?
「もう終わったが、次の目的は何か有るのか?」
「特にないわね、ただこの状況はギルドに報告した方がいいかもね」
「そう言えば2日前位から冒険者も近くまで来なくなったんだっけ」
そうだったのか、まぁ噂の魔物は随分昔からいるみたいだが話題になって···
いや人前に出てこないから忘れられていくのか、驚異でないなら誰も気にしない
だろうしそうなると、存在すら不確かなものになっていくわけか
もしかしたら長命種は普通に覚えているのかもしれないが···
残念ながら帝国に異種族では殆ど見かけない、それは別に排斥しているとか
あの吸血鬼が関わっているとかではなく、ただ単に来る事が余り無いだけだ
帝国は最大の国家であり最大の面積を所有しているが、国は通路の果てだ
都市の大きさや通商としては共和国の方が大きいし重要だ、それ故の多種族国家
いや元々部族単位でいたのが、纏まり国家になったのだからそれは関係無いのか?
そんなこんなで暫く食休みでゆっくりしている、私はただの暇潰しだが
最後に少し周りを眺めていると、2人が立ち上がり食器を洗いにいき
袋に戻して帰る準備を始めた、もう少しゆっくりしていっても問題ないのだが
ただいるだけの私を気遣ったのか、それともこの違和感のありすぎる状況に
焦りっているのか警戒しているのか···まぁいつまでも安全とは言えないしな
もしかしたら魔物達がもう戻り始めているかもしれないし、他の所から魔物が
こっちへ向かっているかもしれない、生態系が変化し始めるとその大小によらず
何が起きるか判らない··異常個体や変異個体なんてのも誕生しやすくなるようだし
「終わったわよ、帰りましょ」
「様子も良くないしね、なんだか不安になってくるし」
ん?焦ってる?腰の布を払い灰を落とし2人へと振り向いた、その後ろには
噂の魔物が音も気配もなく、静かに微動だにせず、いつの間にかごく自然に居た
強大なようでいて幻のように虚ろで感覚を掴みにくい気配を僅かに感じた
2人の方を見るも変わりはなく気付いてはいないようだ、どうすべきか···
敵対している訳でないとしてもこの気配について当然教えるべきではある
最近噂になっている森の主だとか言われている魔物かもしれない、それなら
敵対していないだろう、しかし他の魔物だった場合···しかも知性があったら?
もしこっちを既に、又は常に把握していて、自身の存在が気付かれたと判断した
もしくはそれを条件に襲ってくる魔物の可能性もある、たしか噂の魔物は
こっちから攻撃しなければ攻撃してこない、との事だから問題無いが···
だが本当にそうか?噂は所詮噂でしかない、情報に確実性が欠ける
そもそも出会って帰ってきた者の証言であり、警告として出てきて姿を消した
との事からその条件では問題なく見逃して貰えるだけで、他の状況では不明だ
実際遭遇したと思われる複数の冒険者が、行方不明となっているのに安全だと?
その魔物にとって今の状況が敵対化する条件かもしれないのだ···
この存在を感じ取れない霧のような気配、噂とその魔物の情報と一致する
知性があると言うが、人間に友好的な訳でもない魔物を相手に安全などない
それにダンジョンの魔物と違い基本的な魔物は、それぞれテリトリーを持ちその
テリトリーを守るものだ、そうなれば中立の魔物は普通に敵に回るし
少し友好的な位でも当然のように敵になるのだから、この森自体がテリトリー
だとしたら?普通の魔物なら敵対だ、ならば森そのものはテリトリーではない?
いや妖精や精霊に近い存在だとするなら森を荒らさなければ敵対はしない?
噂だと何かから遠ざけている、ならそこへ近付かなければいいだけ?
ならばなぜさっき気配を感じた?今はもう感じとれないが、近くまで来ていたはず
いやまだ近くにいる気がする、見られているような気もするが···
周囲全体から···気のせいか?しかし接触してこないのなら教えないべきか?
2人はやはり違和感を感じていないのか変化はない···ん?手が止まっている?
と言うか2人共もう食べ終わったようでお茶を飲んで待っている
いつの間に···っと魚が焦げそうだった、少し考えるのに集中しすぎたか
まぁ森の中に行かなければ問題ないか?今回は行く用事もないし
「ねぇそろそろいいんじゃない?」
「あっあんたも飲み物いる?」
「そうだな貰おう、焼き終わったし」
喉はそれなりに渇くんだよな、飲まなくても問題は無いが少しずつ声が枯れていく
最後の焼いた身を皿にのせて渡す、受け取ったお茶を飲んで喉を潤す、悪くない
味は薄めだが香りはいいしさっぱりしている、こう言った食事に合うのだろうな
取り敢えずもう使わない鉄板を下ろし台を片付けようとしたが、当然まだ熱い
「火はもう要らないか?」
「いいんじゃない?もう使う事も無いし」
土をかぶせ火を消してそのまま置いておく、水をカップに入れ鉄板に掛ける
軽く水で流し幾らか冷ますとさっと洗い、水はまだ少し赤熱している薪に掛け
最後の火消しと水の処理をする、また隠せる位の土を被せてから踏んで整える
台に水を掛けて冷やし鉄板も水気を拭き取り袋に戻す、片付けは終わったな
「おっありがとね、でも置いとけば私達がやったのに」
「買うのは網でも良かったかもね、網のほうが軽いし」
「そこ分長く使えないし鉄板は他にも使い道があるからオススメなんだってさ」
ふむ···確かに鉄板なら簡易的な盾にもなるし、他にも使い道があるかもしれない
「ふぅ···食べた食べた、なかなかよかったわね」
「素焼きよりは全然ましよね、さて食べたしゆっくりしたい所だけど」
「安全だったけどいつ魔物が来るか判んないからね、油断できない」
「食べてる途中殆ど周り警戒してなかったけど···」
まぁ周囲に魔物は居なさそうだ、逃げ遅れたと言うより移動の遅い魔物や
一部の魔物はもしかしたら逃げれずに残っているかもしれないが、此処等の
魔物は危険度も低いし大丈夫だろう、そもそも臆病な魔物ばかりだしこっちに
近付いてくる事すらないだろうけど、用は済んだが次はどうするんだろうか?
「もう終わったが、次の目的は何か有るのか?」
「特にないわね、ただこの状況はギルドに報告した方がいいかもね」
「そう言えば2日前位から冒険者も近くまで来なくなったんだっけ」
そうだったのか、まぁ噂の魔物は随分昔からいるみたいだが話題になって···
いや人前に出てこないから忘れられていくのか、驚異でないなら誰も気にしない
だろうしそうなると、存在すら不確かなものになっていくわけか
もしかしたら長命種は普通に覚えているのかもしれないが···
残念ながら帝国に異種族では殆ど見かけない、それは別に排斥しているとか
あの吸血鬼が関わっているとかではなく、ただ単に来る事が余り無いだけだ
帝国は最大の国家であり最大の面積を所有しているが、国は通路の果てだ
都市の大きさや通商としては共和国の方が大きいし重要だ、それ故の多種族国家
いや元々部族単位でいたのが、纏まり国家になったのだからそれは関係無いのか?
そんなこんなで暫く食休みでゆっくりしている、私はただの暇潰しだが
最後に少し周りを眺めていると、2人が立ち上がり食器を洗いにいき
袋に戻して帰る準備を始めた、もう少しゆっくりしていっても問題ないのだが
ただいるだけの私を気遣ったのか、それともこの違和感のありすぎる状況に
焦りっているのか警戒しているのか···まぁいつまでも安全とは言えないしな
もしかしたら魔物達がもう戻り始めているかもしれないし、他の所から魔物が
こっちへ向かっているかもしれない、生態系が変化し始めるとその大小によらず
何が起きるか判らない··異常個体や変異個体なんてのも誕生しやすくなるようだし
「終わったわよ、帰りましょ」
「様子も良くないしね、なんだか不安になってくるし」
ん?焦ってる?腰の布を払い灰を落とし2人へと振り向いた、その後ろには
噂の魔物が音も気配もなく、静かに微動だにせず、いつの間にかごく自然に居た
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