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7.必然の転機

百三十四話 祭り/始まりを告げる

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134話 帰還したけど休息出来ない

結果暗くなりはしたが、余裕を持って日を跨ぐ前に帰ってこれた
検問を通り中央広場へ向かうと何やら騒がしい、音楽···だろうか?
好き勝手に弾いているのか色んな音が混ざってめちゃくちゃになっている
「祭りでもやってるのかしら?」
大通りを見れば何時もより出店が出ているようだし、民間人も多く出歩いている
普段この時間帯に民間人は出歩かないから何かあるのだろう
「出店もあるし民間人も出歩いてるし、多分祭りなんじゃない?」
広場に着くと中央には大きな篝火が焚かれていた、その周りでは楽器を持った
音楽家や詩人達だろうか、各々が手に持ったリュートを弾き笛を吹き
奥では普段は無いピアノが2つ出され、装飾が多く派手めな青い服を着た···
見た目的に貴族だろうか?が静かな音で弾いている、もう片方は無人だ
距離があって人も多くよく見えないが厳つい顔で細身だというのは分かった
周囲は盛り上がっているのか中々に騒がしい、煩すぎない位の賑やかさだ
「ねぇねぇ愛歌ちゃんも連れてこない?せっかくのお祭りなんだしさ
流石にずっと宿屋に1人で待たせるのも悪いし、最近放れる事も多いし」
「そうね、寂しがってそうだし呼んでこよっか、治安も良さそうだし」
言い終わると同時に周囲が一層騒がしくなる、奥から誰か着たようだ
派手な赤いシャツに黒い金の装飾のあるロングコートに黒い革のズボンと靴
コートと共に銀の長い髪を風になびかせ、口回りには暗い銀の髭を蓄えた
威圧的な空気を纏う壮麗とでも言うのか、若さと老いが混ざったような男が
両手を広げ階段を降りてくる、威圧感がありながら親しみやすさを感じる気配
威厳?ある空気を纏いながらもその顔には硬くも男らしい笑みが浮かんでいる
「クドラク様ーッ!」
多くの人間がその言葉を放つ、彼も貴族なのだろうか?服装的にはそう見える
しかしなにやら違和感を感じる、普通の人間とは違うような気がするのだが···
階段を降りた彼に周囲の騎士や貴族達が揃って彼に跪き頭を垂れる、ん?
城の上に同じ銀の髪をした人影が同じ様な黒いコートをなびかせ立っている
「諸君···既に知っているものもいるだろうが法国が教国を支配下に置き
他国を侵略し、最近では共和国と皇国を相手に実質の戦争状態となっている事を」
彼が話を始めると誰もが黙りこみ熱が消え失せたかのように静かになる
そして音楽も静かなものに変わると当時に皆が合わせ1つとなり演奏する
「奴らの野蛮さを醜さを皆が知っていると思う···何よりも笑わせてくれるのが
法国の王は神から洗脳の力を与えられ選ばれし人間だと豪語している事だ
そしその野蛮人に幾人も洗脳された、そうだこの国も例外ではない」
集まった人達を見回して一息おき、そして眼を鋭くし空気をはりつめさせる
「我が友たるガルドレプト王は洗脳を無効にする力を持つ王位を示す王冠を
第一皇子へ託し洗脳されぬよう自害した、その妻アルドノーラ王妃は洗脳されし
貴族に捕らえられこちらも自害したそして第一皇子バーゼスクライト···
聡明にして覇者の気質持つ孤高の王者、王冠を継承した彼に洗脳は通じず
故に洗脳された兵達によって殺された、第二皇子バルゼリットは皇子にして王の剣
死にゆく兄より王冠を託された、が···彼の臣下たる兵達が洗脳されてしまい
逃げること叶わず強者とも言える彼もその手に掛かり命を散らした」
その静かに語りかけるように話すその言葉に熱は無い、ただの報告のように話す
聞き手達は静かに熱意をたぎらせているようだが、次の言葉を待っている
「彼らの無念が憤怒が憎悪が今もこの帝国にて渦巻いていることだろう
故にここにガーディンハイトの始まりよりの盟友たる吸血鬼が始祖
我が名クドラク・ヴォドモーン・ドラクリア・ヴラドの名において
汝等の望みでもある···法国への宣戦布告を行う!と言うか粛正だぁ!」
「うぉぉーーー!!」
急に盛り上がりが最高潮になったように皆が騒ぎ立てる···うるさい···
「まぁ今すぐ攻める訳じゃないぞ?」
口調が厳しく硬めのから軽いものに変わりニヤリとした、これが素なのだろうか?
「場合によっては妖精も参加するかもしれんからな、奴等も森を焼かれてるし
···まぁしかしこれで終わったらつまらんよなぁ!?もちろんまだあるぞぉ?!
あるにはあるが最後だ!ん?もうこの宴も最後なのか?なんと言うことだ!
まだ始まって30分も経って無いと言うのに、くぅーだが仕方ないし仕方なくない
宴の最後はド派手にやって終わらせるのがいいと歴代王も言ってたしな!
人間は派手なのが好きだろう?いいぞやってやろうじゃないか、ワシにまかせろぉ
どっはっでに殺りに殺って殺ぁるからなぁ?嬉しいだるぉぉん!うぉーん
ヒャーッハッハッゲギャッハ!···ゴホッ持ってこい!我が息子よぉ!」
ニヤリとしてから異様なテンションになっているが、周りの誰も気にしてはいない
呼ばれて城門から出てきたのは恐らく先程まで城の上に立っていた人物であろう
銀髪黒コートの男、白いシャツと銀のチェーンを着けた灰色のズボンに暗い赤の靴
「おいおい親父悪い癖が出てきてんぞ、ちったぁ落ち着けよ」
そう言いながら布を被せた大きな荷車?を引っ張りながら階段を降りてくる
車輪を含めずとも高さ2Mはあり幅も2M程、長さ6Mは有るだろう大型で鉄製だ
「キャー!ヴィルヘルム様ー!」
今回は圧倒的に女性達が多い、親子揃っての深紅の瞳が月の光で淡く光って見える
ヴィルヘルムと呼ばれた彼は片手で荷車を持ち階段を降りながら軽く手を振り返す
「毎度毎度よー騒ぐなぁ、お前ら」
結構重量が有るだろう荷車を軽々と持つあの力、流石の吸血鬼だと言うべきか
それとも単にレベルが高いかもしくは種族の特性で力があるのだろうか?
「あっ!愛歌呼んでくるの忘れてた!」
そう言えば呼んでくると言ったと同時に始まったんだったか
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