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5.帝国と言う国
百一話 亡霊と湖の調査4
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101話 交渉の結果次第
アマネがポーチから取り出した布で髪や顔を拭きながら近付いてきた
「オォ···ソノトオリ、ナゼココニキタ」
「依頼です貴女の捜索及びここ一帯の異変の調査で来ました」
「ワタシハモウイイ、イヘンハオソラクワタシガゲンインダロウ」
「もし成仏したいのであれば私達が出来る限り協力しますよ?」
アマネが協力を申し出た、霊に対しては彼女の方が慣れているだろう
「フム···スコシマテ」
ルシェラが頭をひねっている間にアマネが隣まで来て顔を近付けてくる
「霊ってのは精神や感情が諸に出てくるの、基本は下手にでて正解よ
まだ随分自我が残ってるみたいだけど、魂は肉体って鎧が無いと簡単に
周囲にある意思や自身が持つ強い感情による影響を受けるの、よく言われる
霊は思考じゃなく感情で動くってのもこれが理由、だから暴走もしやすい」
成程出来る限り相手の意思を汲んで、尚且つ怒らせないようにするのか
「ソウダナ···デハサガシモノヲシテホシイ、ギンイロノユビワダ」
頭をひねっていたのは思考していたのではなく、感情による判断だろうか?
よく判らないがそう言うものなのだろう、慣れた対応をしているアマネを見る
「えぇ銀色の指輪ね、解りましたどこにあるか分かりますか?」
「コノミズウミのチカクカ、ココカラムラノアイダマデニアルハズダ」
「解りました探して来ますね···ほらいくわよ」
こっちに向きなおして言ってくる、これで交渉はもう終わりらしい
一先ず村の方へと向かって進む事にした、霊からはもう十分離れたため
取り敢えずさっきの交渉で気になったことを聞いてみる事にした
「細かい事は聞かないのか?どういう思い入れのある物なのかとか」
「聞かないわ、聞いた方が確かに繋がりが分かりやすく感じとれるようになるし
情報だって詳細がわかった方がその分見つけ安くはなるんだけど···それはそれで
難点があってね、そう言う質問をすると大抵の場合霊が凶暴化するのよ」
成程それで聞かなかったのか、確かにそれは困るからな仕方無いか
しかし指輪か小さく見つけにくい物だ、草の中から探すのは大変だな
いやそもそももうこの落ちてない可能性もある、拾う人は居ないだろうが···
「魔物に回収されていかもしれん、そうなると探すのは更に難しいぞ」
「···そうね光り物を収拾する癖のある魔物だって居るだろうし、困ったわね
でもまず普通に探してみましょ、落ちたままかもしれないしね」
「分かった無かったらそっちの線で新たに探すことにしよう」
恐らくルシェラは湖の中で死んだと思われる、遺体は底に沈んでいるんだろう
だとしたら指輪を無くして湖に身を投げた?若しくは指輪は遺体と一緒に?
まずは湖の近くを探し回っていたが、ふと浮かんだ気になった事を聞いてみる
「なぁ、もしかしたら指輪は遺体と一緒にある可能性はないか?」
「···無いことは無いと思うけど、遺体は湖の底にあると考えてるんでしょ?」
「あぁ霊が居るのは基本的に躯のある場所だろう?なら霊の出てきた場所
しかも本人の物らしき服の残骸もあったんだ、底に沈んでいると考えるだろう」
「そうねでもだとすると自身の躯に指輪があること位は判ると思うんだけど」
「自身の躯に近付けないか、それによって見えてないとかは?」
「それはあるかも、何度か経験はあるけど···死ぬ寸前までもってた物、それも
思い入れのある物なら、流石に持ってるか判ると思うわよ···そうなると」
「死んでから無くなった?誰かが取っていったと言うのはないだろうし」
「うーん一回遺体を確認するのが手っ取り早いんだけど、霊がずっと居るし
それに底まで多分潜れないわ、視界も悪いし視認出来るかどうか···」
「潜れるとしたら、遺体を湖から引き上げるのはどうだ?」
「ダメね気付かれるし、遺体を漁るような物だから敵対される可能性が高いし
そうなると離れてる隙を突いたとしても直ぐに戻ってくるだろうから
それにもし水中で襲われたら終わりよ?掴まれたらもう溺死するまで離されない」
夜になると村までの間をさ迷っている隙を突くと言うことだろう、そうなると
「だが隙を突けば潜って近付き、遺体を確認するまでなら問題無いのだろう?」
「そうねでも私は無理よ、こんな深い潜水した事ないし息も持たないだろうし」
「私がするから問題ない、無理なら別の策を考えればいい」
夜目も少しは利くし、呼吸も殆ど要らないしまさに私にうってつけの役目だろう
「それまでは普通に探すとしよう、もしかしたら見付かるかもしれん」
「そう?じゃあ探しても見付ける事が出来なかったらその時はお願いね
まぁその前にどこか草の陰にでも落ちてればそれが一番いいんだけど···」
確かにそうだ、別に湖に潜りたい訳じゃ無いからな
農園の方へと続く道とも呼べない所を辿り、草や木の陰になっている場所を探る
これといって光るものすらなく、人工物すら一切見掛けない
人が来る場所では無いようだから落ちている物などそう無いと言ってもいい、が
随分前には幾度も来ているような跡が幾つか見受けられた
軽く木を切って作られた簡素な木の椅子や脚が折れて崩壊した机が見付かった
既に朽ち果てボロボロになっており、何とか形を保っているだけだ
それらが湖から然程離れていない木々の間に、草や木の陰に隠れるようにあった
触ってみると乾燥のせいかザラザラと劣化した表面にすぐヒビが入っていく
周囲を探すと金属で作られた何かを見付けたが、錆びているし関係の無いものだ
他にも少し盛り上がった土の近くに置いてある石に宝石らしき物も見付けた
石には何か刻まれているし、これは墓石だろうかここは墓になっているようだ
荒らす必要も無いのでそのまま放置する、態々綺麗にするのもいらぬ世話だろう
結局目的の物も無ければ、最近人が来た様子もないため無駄な時間を使ったか
ここに眠る者達は随分昔の人達だろう、それにきちんと埋葬されているのか
アンデッドやゴースト化したりする様子も無い、近くに亡霊が居ると言うのに
既に魂も無く骨も朽ち果てているからだろうか?その可能性が高そうだ
だとするとこの近くにルシェラは来ていない可能性が高いか?
殆ど魔物も近付いてないようだし、あの宝石は魔除けかそれに準じた物か
鑑定して···おくか[死者を眠らせる 魔除けのカーデット]
やはりか、そうするとここは探していないようだが、見つからないし
生前もここに来ているような痕跡もないし関係無かったな、湖からは近いけど
アマネがポーチから取り出した布で髪や顔を拭きながら近付いてきた
「オォ···ソノトオリ、ナゼココニキタ」
「依頼です貴女の捜索及びここ一帯の異変の調査で来ました」
「ワタシハモウイイ、イヘンハオソラクワタシガゲンインダロウ」
「もし成仏したいのであれば私達が出来る限り協力しますよ?」
アマネが協力を申し出た、霊に対しては彼女の方が慣れているだろう
「フム···スコシマテ」
ルシェラが頭をひねっている間にアマネが隣まで来て顔を近付けてくる
「霊ってのは精神や感情が諸に出てくるの、基本は下手にでて正解よ
まだ随分自我が残ってるみたいだけど、魂は肉体って鎧が無いと簡単に
周囲にある意思や自身が持つ強い感情による影響を受けるの、よく言われる
霊は思考じゃなく感情で動くってのもこれが理由、だから暴走もしやすい」
成程出来る限り相手の意思を汲んで、尚且つ怒らせないようにするのか
「ソウダナ···デハサガシモノヲシテホシイ、ギンイロノユビワダ」
頭をひねっていたのは思考していたのではなく、感情による判断だろうか?
よく判らないがそう言うものなのだろう、慣れた対応をしているアマネを見る
「えぇ銀色の指輪ね、解りましたどこにあるか分かりますか?」
「コノミズウミのチカクカ、ココカラムラノアイダマデニアルハズダ」
「解りました探して来ますね···ほらいくわよ」
こっちに向きなおして言ってくる、これで交渉はもう終わりらしい
一先ず村の方へと向かって進む事にした、霊からはもう十分離れたため
取り敢えずさっきの交渉で気になったことを聞いてみる事にした
「細かい事は聞かないのか?どういう思い入れのある物なのかとか」
「聞かないわ、聞いた方が確かに繋がりが分かりやすく感じとれるようになるし
情報だって詳細がわかった方がその分見つけ安くはなるんだけど···それはそれで
難点があってね、そう言う質問をすると大抵の場合霊が凶暴化するのよ」
成程それで聞かなかったのか、確かにそれは困るからな仕方無いか
しかし指輪か小さく見つけにくい物だ、草の中から探すのは大変だな
いやそもそももうこの落ちてない可能性もある、拾う人は居ないだろうが···
「魔物に回収されていかもしれん、そうなると探すのは更に難しいぞ」
「···そうね光り物を収拾する癖のある魔物だって居るだろうし、困ったわね
でもまず普通に探してみましょ、落ちたままかもしれないしね」
「分かった無かったらそっちの線で新たに探すことにしよう」
恐らくルシェラは湖の中で死んだと思われる、遺体は底に沈んでいるんだろう
だとしたら指輪を無くして湖に身を投げた?若しくは指輪は遺体と一緒に?
まずは湖の近くを探し回っていたが、ふと浮かんだ気になった事を聞いてみる
「なぁ、もしかしたら指輪は遺体と一緒にある可能性はないか?」
「···無いことは無いと思うけど、遺体は湖の底にあると考えてるんでしょ?」
「あぁ霊が居るのは基本的に躯のある場所だろう?なら霊の出てきた場所
しかも本人の物らしき服の残骸もあったんだ、底に沈んでいると考えるだろう」
「そうねでもだとすると自身の躯に指輪があること位は判ると思うんだけど」
「自身の躯に近付けないか、それによって見えてないとかは?」
「それはあるかも、何度か経験はあるけど···死ぬ寸前までもってた物、それも
思い入れのある物なら、流石に持ってるか判ると思うわよ···そうなると」
「死んでから無くなった?誰かが取っていったと言うのはないだろうし」
「うーん一回遺体を確認するのが手っ取り早いんだけど、霊がずっと居るし
それに底まで多分潜れないわ、視界も悪いし視認出来るかどうか···」
「潜れるとしたら、遺体を湖から引き上げるのはどうだ?」
「ダメね気付かれるし、遺体を漁るような物だから敵対される可能性が高いし
そうなると離れてる隙を突いたとしても直ぐに戻ってくるだろうから
それにもし水中で襲われたら終わりよ?掴まれたらもう溺死するまで離されない」
夜になると村までの間をさ迷っている隙を突くと言うことだろう、そうなると
「だが隙を突けば潜って近付き、遺体を確認するまでなら問題無いのだろう?」
「そうねでも私は無理よ、こんな深い潜水した事ないし息も持たないだろうし」
「私がするから問題ない、無理なら別の策を考えればいい」
夜目も少しは利くし、呼吸も殆ど要らないしまさに私にうってつけの役目だろう
「それまでは普通に探すとしよう、もしかしたら見付かるかもしれん」
「そう?じゃあ探しても見付ける事が出来なかったらその時はお願いね
まぁその前にどこか草の陰にでも落ちてればそれが一番いいんだけど···」
確かにそうだ、別に湖に潜りたい訳じゃ無いからな
農園の方へと続く道とも呼べない所を辿り、草や木の陰になっている場所を探る
これといって光るものすらなく、人工物すら一切見掛けない
人が来る場所では無いようだから落ちている物などそう無いと言ってもいい、が
随分前には幾度も来ているような跡が幾つか見受けられた
軽く木を切って作られた簡素な木の椅子や脚が折れて崩壊した机が見付かった
既に朽ち果てボロボロになっており、何とか形を保っているだけだ
それらが湖から然程離れていない木々の間に、草や木の陰に隠れるようにあった
触ってみると乾燥のせいかザラザラと劣化した表面にすぐヒビが入っていく
周囲を探すと金属で作られた何かを見付けたが、錆びているし関係の無いものだ
他にも少し盛り上がった土の近くに置いてある石に宝石らしき物も見付けた
石には何か刻まれているし、これは墓石だろうかここは墓になっているようだ
荒らす必要も無いのでそのまま放置する、態々綺麗にするのもいらぬ世話だろう
結局目的の物も無ければ、最近人が来た様子もないため無駄な時間を使ったか
ここに眠る者達は随分昔の人達だろう、それにきちんと埋葬されているのか
アンデッドやゴースト化したりする様子も無い、近くに亡霊が居ると言うのに
既に魂も無く骨も朽ち果てているからだろうか?その可能性が高そうだ
だとするとこの近くにルシェラは来ていない可能性が高いか?
殆ど魔物も近付いてないようだし、あの宝石は魔除けかそれに準じた物か
鑑定して···おくか[死者を眠らせる 魔除けのカーデット]
やはりか、そうするとここは探していないようだが、見つからないし
生前もここに来ているような痕跡もないし関係無かったな、湖からは近いけど
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