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4.異世界生活の始まり

六十七話 犬の通り道 ダンジョンクリア報酬

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67話 依頼の報酬も

死ぬだろう、しかしこれはこいつには当てはまらなかったようだ
痛みに呻き血を吹き出しながら此方を睨んでいる
最後の足掻きか此方へと血の道を作りながらふらつき走ってくる
戦闘本能とでも言うべき物か、死ぬなら道連れにすると言わんばかりだ
脚の麻痺を強く感じだしている、こっちもさらに機動力が低下している
少女ちゃん人形は振り落とされ武器も失っている、しかしどうやら
敵は少女ちゃんに対しては特に見向きもしていないようだ
危険性が低いと判断したか、それともただの人形だと判断したのか
少女ちゃんは振り落とされた時から動いていない
ただこちらをじっと見つめている、かわゆい、いや隙を窺っているのか?
ならば接触する距離を自ら縮めにいくのがいいか
思うように動かない左足を引き摺るようにして前へ進んでいく
力がうまく入らず姿勢制御が出来ず、何度も転びそうになった
そして踏ん張りが利かないために武器を振るうのも手間取る始末だ
敵との接触間近、だが敵は速度を落とさず向かってくる
これはタックルか?なんにせよ飛び掛かってくることはない
ならばマガセビを大剣に切り替え地面に突き立てる
そこでほぼ同時に敵は急制動を掛けて横へ回り込んでくる
驚いた···というかここまで早い反応、反射行動が出来るとは思っていなかった
そして大剣によって正面の視界が無くなってしまった事で反応が遅れた
自身によって生み出してしまった死角を利用された、それによって
左へと回り込んだ際に左腕を引っ掛かれた、そこそこ深いが問題はない
しかし麻痺の効果を受けたのはかなり厳しい、左腕の感覚が分からなくなった
そのままの勢いで敵は後ろへと回りこみ、追い込みを掛けてくる
そして後ろを自分の大剣によって壁にしてしまい挟まれてしまった
大剣を持ち上げる時間はある、しかり降り下ろすだけの時間はない
持ち上げた時点で敵の攻撃を防げずかわせず、敗北が確定する
きゅむきゅむ
場に似合わぬ可愛らしい音が近づいてくるのが耳に入ってくる
ぽみゅぽみゅ
何かを叩くような音が···大剣の後ろに少女ちゃんが来ていた
そうか、大剣が自分の死角を作ってしまったのと同時に
敵の死角も作り出していたのか、少女ちゃんは敵と私の直線上にいる
それによって死角に入った結果、見られなくなった少女ちゃんが移動してきたと
ならば十分敵の隙は作り出せる、大剣へと手を掛ける···
敵が向かってくる中で持ち上げるのは大剣ではなく···自分の方だ!
大剣を起点に体を持ち上げる、片手片足でやるせいか少しもたついた
しかし十分に間に合ったため接触前で既に私は宙に逆さになっている
このままでは反射によって飛び掛かってくる可能性が高い
だから空中で地面から大剣を引き抜く、ほぼそれと同時に飛び掛かってくる
そこで隠れていた少女ちゃんの出番だ、大剣に掴まって敵の上を取り
そして敵の背中目掛けて飛び掛かり、その背中へとキックを叩き込む
ぽみゅっ
そんな可愛らしい音が出ているが敵は地面へと叩きつけられている
そこへ目掛けて大剣を降り下ろす、今度こそ出来るか?一刀両断···
はまたも出来なかったが頭部と胴体の上半分は2つに別れた、即死だろう
再生系や復活、自己蘇生系のスキルでも持ってない限りはこれで終わりだ
流石にそんなスキル持ってないよな?持ってたら流石に勝てない
死亡してから消えるまでのこの時間が恐ろしく感じる
時間が引き伸ばされたような感覚を覚える、消えるまでは終わりじゃない
そして少しして粒子となって消えていく、終わったか
消滅すれば勝ったと確信出来る、消えなかったら死んで無いわけだし
少女ちゃんを持ち上げもはや定位置となっている肩へと乗せる
ありがとう少女ちゃん、居なかったら勝てなかったよ
敵が完全に消失すると、ガタンと後ろから何かが落ちた音が響いた
宝箱が部屋の中心に出てきたようだ、大剣を長刀に戻し亜空間倉庫に入れる
ダンジョン突破及びボス撃破の報酬宝箱には罠も鍵も掛かって無い
さて何が出るかな、レア物が基本的に1つは確定らしいけど
まぁレア物でも物によるからな、外れも多いらしいし
宝箱を開けると奥からガチンと音がなり扉が開かれた、帰り道か
とはいえ一先ずは報酬だ、んーとスクロールが2つと肩と腕の装備か
あカードもある、これはさっきのボスのカードだな、ボスドロップかな
ん?これは···ネックレスと魔法の杖もある、どれも詳細は不明だけど
全部鑑定に失敗したので回収し扉へ向かう、多分出口になっているはずだ
進んでいくと狭い小部屋の中央に水晶球が置かれている部屋に着いた
これが帰還の水晶か触れて魔力を流せば最初の待機場所に戻れるんだったか
もうすることはないし帰るか、魔力をながせば魔方陣が展開され
部屋に光がみちるとまたあの感覚を味わい待機場所に戻ってきた
ダンジョン入り口に入ったばかりの所にある開けた空間の場所だ
そこから施設へと戻り、入ってきた時のゲートとは違うゲートを潜る
ふぅ···ひとまずギルドで毛皮集めの報告だけでもしておくかな、8枚だったか
外は夜···まる1日居たのか、ギルドにいこう、あぁ宿屋も見つけないとか
ギルドの受付に報告するだけでいいんだったか、袋を取り出しておくか
「すみません、毛皮集めの報告に来たんですが」
「はい回収いたします、此方で全てですか?」
「はいそうです(もしかして1日のわりに少なかったのか?)」
「8枚ですねそれも全て完品ですか···どれも状態は悪くありませんね
1枚25ヴェレですので8枚で合計200ヴェレとなりますね」
「1枚で5ヴェレなのでは?」
「あれは欠品です基本的に欠品の方が多いので、メインに扱っているだけです
依頼書には書かれてはいませんが完品もちゃんと扱っていますよ」
ふむ完品しかなかったのか、欠品は3分の1位の大きさらしい
「依頼お疲れ様でした、こちらが報酬です」
小銀貨2枚を手に入れた、宿屋で消えそうだな
宿屋探すか、個人的にはあんまり人が居ない場所の方がいいかな
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