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乱闘
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私とステーシアは漁村を離れて、南の宿場町に来ていた。冒険者組合に登録をするためだ。
ステーシアは女性にしては珍しく、剣と弓の達人で、道中はアタックラビットやマッドディアを仕留め、獲物をさばいて、料理まで振る舞ってくれた。彼女は女騎士になるのが夢だったとのことで、騎士の訓練を受けていたらしく、サバイバル術も身につけているとのことだった。
私も役に立つことを知って欲しくて、治癒が出来ると言ったら、大喜びしてくれた。ただ、彼女が優秀すぎて、一向に怪我をしないため、私は力を見せることが出来ずにいた。
「ルミ、怪我したときに頼るから、今は私に頼っていいから。そんなに申し訳なさそうな顔しないでよ」
私たちは一緒に旅を続けているうちに、お互いに胸襟を開くとまでは行かなかったが、ある程度お互いを信頼する関係にはなっていた。
「ありがとう。ステイ」
今日は二人で冒険者組合に行くつもりだ。冒険者の七割は男性だ。恐らく女性二人では非常に目立つため、男装して、マスクをして、瞼や目尻にテープを貼って、不細工顔に変身して行くことにした。
お互いテープを貼った顔を見て大笑いした。私は貧乏な男爵家の次女に生まれて、すぐに修道院に預けられ、暗い生活しか経験していなかったため、こんなに笑ったのは生まれて初めてだった。
ステーシアはどうやらかなり高位の貴族の令嬢だったようだ。婚約者と妹にハメられて冤罪で投獄される寸前に逃げ出して来たらしい。私も詳しくは言えないが、似たようなものだと話した。
テープが功を奏して、冒険者組合内では特に絡まれることはなく、無事に登録が終わった。受付嬢が私たちが二人とも女性だと知って驚いていた。
「ルミ、改めてよろしくね。まずはA級まで出世しましょう」
「ステイ、私たち二人だけで大丈夫なの?」
「魔法使いを仲間にしたいけど、今の私たちでは無理よ。どうせなら、カッコいい男がいいでしょう?」
「え? そ、そんな」
「あはは、真っ赤になってルミは可愛いわね。取り合いになっちゃったらまずいから、異性は入れない方がいいかもね。私とルミが出会ったように、運命の仲間とはきっと自然に出会えると思わない?」
「そう思うわ」
「まずは下水で大量発生したビッグラッドの退治からよ。地味だけど、確実にポイントを稼いで行こう」
私たちは冒険者組合で紹介された宿屋を拠点にして、地道な冒険者活動を開始した。
最初の仕事を終え、冒険者組合に報告に行った後、私とステーシアは初めての報酬で飲み明かそうということになった。
二人で冒険者組合の近くの酒場で楽しく飲んでいるときに、隣の冒険者たちが、私たちに興味を持ち始めた。
「お前たち、女か?」
(せっかく二人で楽しく飲んでいるのに。最悪だわ)
無視して二人で席を立とうとすると、冒険者たちは、私たちを通せんぼするような動きに出た。三十歳前後の男の四人パーティで、冒険者プレートを見るとCランクのようだ。
「どきなさいよっ」
ステーシアが男たちを睨みつけた。私は酔いが冷め、だんだん怖くなってきた。
「どきなさいよって、女の声で言われちゃった。僕、怖いっ」
「そっちのお嬢ちゃんは震えちゃってるぞ」
「がはははは」
侮辱されて頭に来たステーシアが剣を抜いた。
「こら、剣を抜いたら、シャレになんねえぞ、姉ちゃん」
ステーシアは無視して、一閃して男の耳たぶを切った。
「いでで」
「こ、こいつっ」
男たちも剣を抜いたが、ステーシアは男たちの手元を次々に切りつけた。男たちが悲鳴をあげて剣を落とす。
「剣の腕の違いがわからないのか?」
ステーシアが酔っ払っているのか、高笑いしている。私はこれ以上はまずいと思い、勇気を出してステーシアの前に出た。
「ステイ、ここまでにして。もう行くわよっ。ごめんなさい。治してあげるから許してね」
私は男たちに治癒を施し、治癒の効果に驚いているステーシアの腕をとって、酒場の出口に向かった。
酒場は大騒ぎになっていたが、私たちは給仕のお姉さんにお勘定を渡して、酒場を飛び出し、宿屋まで走って逃げ帰った。
宿屋の部屋に入って、私はステーシアに一言小言を言いたかった。
「ステイ、あれは、まずいよ」
「それは謝る。それよりも、ルミ、あなたの治癒魔法、いったい何なの!?」
「魔法じゃないよ。スキルなのよ」
「どっちでもいいけど、剣の傷が綺麗さっぱり一瞬で消えちゃってたわよ。あなた、いったい何者!? ちょっと待ってよ。ルミエールって、ひょっとして……!?」
「あはは、せ、せいじょ……、かな?」
「あ、あなたっ、王太子殿下の婚約者でしょっ!」
「も、元よ、元婚約者。で、婚約破棄されて、ゴブリンの陣地近くに捨てられたのよ」
「何、その話、壮絶過ぎるわよっ!?」
「過去の話はどうでもいいじゃない。人生これからが大切って、あなたに教わったのよ」
「いやはや、凄い人とペア組んじゃったよ。ひょっとして無敵じゃない、私たち」
「そんなことないわよ。首切られて、どこかに持って行かれたら、さすがに死ぬわよ」
「え? 普通は首切られた時点で死ぬから。あなた、死なないの?」
「うん。くっつけたら大丈夫」
「……。人間?」
「人間よ、失礼ね。それより、あんな騒ぎ起こしてどうするのよ?」
「あんなの騒ぎのうちに入らないわよ。冒険者同士のいざこざはしょっちゅうだから。怪我した方が裁判所に訴えたりしたら面倒だけど、怪我させてないでしょう?」
ステーシアはそう言って、イタズラっぽくウィンクした。
「そうね。怪我はしてないわね」
「それにE級に斬られたなんて、恥ずかしくて言えないわよ。多分何事も起きないわ。あ、そんなことないか。あなたの治癒力。あれ、何とか誤魔化さないと」
「普通の人の治癒ってどれぐらいなの」
「切り傷なら止血してかさぶたが出来る程度よ。あんなきれいに治るなんて、あり得ないわ」
「斬ったんじゃなくて、剣で叩いたって言い張って」
「それで誤魔化すしかないわね」
翌朝、私たちはびくびくしながら、冒険者組合に入って行った。
ステーシアは女性にしては珍しく、剣と弓の達人で、道中はアタックラビットやマッドディアを仕留め、獲物をさばいて、料理まで振る舞ってくれた。彼女は女騎士になるのが夢だったとのことで、騎士の訓練を受けていたらしく、サバイバル術も身につけているとのことだった。
私も役に立つことを知って欲しくて、治癒が出来ると言ったら、大喜びしてくれた。ただ、彼女が優秀すぎて、一向に怪我をしないため、私は力を見せることが出来ずにいた。
「ルミ、怪我したときに頼るから、今は私に頼っていいから。そんなに申し訳なさそうな顔しないでよ」
私たちは一緒に旅を続けているうちに、お互いに胸襟を開くとまでは行かなかったが、ある程度お互いを信頼する関係にはなっていた。
「ありがとう。ステイ」
今日は二人で冒険者組合に行くつもりだ。冒険者の七割は男性だ。恐らく女性二人では非常に目立つため、男装して、マスクをして、瞼や目尻にテープを貼って、不細工顔に変身して行くことにした。
お互いテープを貼った顔を見て大笑いした。私は貧乏な男爵家の次女に生まれて、すぐに修道院に預けられ、暗い生活しか経験していなかったため、こんなに笑ったのは生まれて初めてだった。
ステーシアはどうやらかなり高位の貴族の令嬢だったようだ。婚約者と妹にハメられて冤罪で投獄される寸前に逃げ出して来たらしい。私も詳しくは言えないが、似たようなものだと話した。
テープが功を奏して、冒険者組合内では特に絡まれることはなく、無事に登録が終わった。受付嬢が私たちが二人とも女性だと知って驚いていた。
「ルミ、改めてよろしくね。まずはA級まで出世しましょう」
「ステイ、私たち二人だけで大丈夫なの?」
「魔法使いを仲間にしたいけど、今の私たちでは無理よ。どうせなら、カッコいい男がいいでしょう?」
「え? そ、そんな」
「あはは、真っ赤になってルミは可愛いわね。取り合いになっちゃったらまずいから、異性は入れない方がいいかもね。私とルミが出会ったように、運命の仲間とはきっと自然に出会えると思わない?」
「そう思うわ」
「まずは下水で大量発生したビッグラッドの退治からよ。地味だけど、確実にポイントを稼いで行こう」
私たちは冒険者組合で紹介された宿屋を拠点にして、地道な冒険者活動を開始した。
最初の仕事を終え、冒険者組合に報告に行った後、私とステーシアは初めての報酬で飲み明かそうということになった。
二人で冒険者組合の近くの酒場で楽しく飲んでいるときに、隣の冒険者たちが、私たちに興味を持ち始めた。
「お前たち、女か?」
(せっかく二人で楽しく飲んでいるのに。最悪だわ)
無視して二人で席を立とうとすると、冒険者たちは、私たちを通せんぼするような動きに出た。三十歳前後の男の四人パーティで、冒険者プレートを見るとCランクのようだ。
「どきなさいよっ」
ステーシアが男たちを睨みつけた。私は酔いが冷め、だんだん怖くなってきた。
「どきなさいよって、女の声で言われちゃった。僕、怖いっ」
「そっちのお嬢ちゃんは震えちゃってるぞ」
「がはははは」
侮辱されて頭に来たステーシアが剣を抜いた。
「こら、剣を抜いたら、シャレになんねえぞ、姉ちゃん」
ステーシアは無視して、一閃して男の耳たぶを切った。
「いでで」
「こ、こいつっ」
男たちも剣を抜いたが、ステーシアは男たちの手元を次々に切りつけた。男たちが悲鳴をあげて剣を落とす。
「剣の腕の違いがわからないのか?」
ステーシアが酔っ払っているのか、高笑いしている。私はこれ以上はまずいと思い、勇気を出してステーシアの前に出た。
「ステイ、ここまでにして。もう行くわよっ。ごめんなさい。治してあげるから許してね」
私は男たちに治癒を施し、治癒の効果に驚いているステーシアの腕をとって、酒場の出口に向かった。
酒場は大騒ぎになっていたが、私たちは給仕のお姉さんにお勘定を渡して、酒場を飛び出し、宿屋まで走って逃げ帰った。
宿屋の部屋に入って、私はステーシアに一言小言を言いたかった。
「ステイ、あれは、まずいよ」
「それは謝る。それよりも、ルミ、あなたの治癒魔法、いったい何なの!?」
「魔法じゃないよ。スキルなのよ」
「どっちでもいいけど、剣の傷が綺麗さっぱり一瞬で消えちゃってたわよ。あなた、いったい何者!? ちょっと待ってよ。ルミエールって、ひょっとして……!?」
「あはは、せ、せいじょ……、かな?」
「あ、あなたっ、王太子殿下の婚約者でしょっ!」
「も、元よ、元婚約者。で、婚約破棄されて、ゴブリンの陣地近くに捨てられたのよ」
「何、その話、壮絶過ぎるわよっ!?」
「過去の話はどうでもいいじゃない。人生これからが大切って、あなたに教わったのよ」
「いやはや、凄い人とペア組んじゃったよ。ひょっとして無敵じゃない、私たち」
「そんなことないわよ。首切られて、どこかに持って行かれたら、さすがに死ぬわよ」
「え? 普通は首切られた時点で死ぬから。あなた、死なないの?」
「うん。くっつけたら大丈夫」
「……。人間?」
「人間よ、失礼ね。それより、あんな騒ぎ起こしてどうするのよ?」
「あんなの騒ぎのうちに入らないわよ。冒険者同士のいざこざはしょっちゅうだから。怪我した方が裁判所に訴えたりしたら面倒だけど、怪我させてないでしょう?」
ステーシアはそう言って、イタズラっぽくウィンクした。
「そうね。怪我はしてないわね」
「それにE級に斬られたなんて、恥ずかしくて言えないわよ。多分何事も起きないわ。あ、そんなことないか。あなたの治癒力。あれ、何とか誤魔化さないと」
「普通の人の治癒ってどれぐらいなの」
「切り傷なら止血してかさぶたが出来る程度よ。あんなきれいに治るなんて、あり得ないわ」
「斬ったんじゃなくて、剣で叩いたって言い張って」
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