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第八章 妖精界
大願成就
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「マリアンヌ、もしも一つだけ願いを叶えられるなら、何をお願いしたい?」
私はマリアンヌを部屋に呼んでいた。マリアンヌは敵だが、彼女の妖精は私を守ってくれるとシルバが言っていたことを思い出したのだ。シルバが帰るのが遅いため、心細くなってしまったのだ。
「私ですか? 『最強』になりたいです」
脳筋を絵に描いたような答えだった。
「変わってるわね。幸せになりたいとか、ないの?」
「私の幸せは『最強』なのです。聖女様は最強なので、羨ましいです」
この子、顔は可愛いのに、頭の中身が残念すぎるのよね。
「私はただの女の子よ。最強なのはシルバでしょ。彼、無茶苦茶強いでしょ」
「強いです。シルバさんがいると、私の妖精たちが緊張しているのが伝わって来ます」
なるほど、そういうのがわかるんだ。
「私はね、シルバとずっと一緒でいたいなあ。それが私の願い」
「ずっといられますよ。もう願い叶ってるじゃないですか」
「猫型ではなくて、人型のシルバと一緒にいたいのよ。私ね、妖精界に二回行ってるのよ。そのときだけ、人型のシルバといられるの。すごく格好いいのよ、彼。マリアンヌにも見せたいなあ。みんなに自慢したいなあ、これが私の彼氏ですって」
「聖女様、妖精とはそういう意味では一緒になれないです。現実見て本物の彼氏見つけましょう。今度、お食事会設定しますよ」
こ、こいつ。人の夢をあっさり否定するどころか、ズタズタに切り裂いてくれるじゃないの。
「マリアンヌ、部屋に帰って」
「え? わ、分かりました。失礼します」
マリアンヌは慌てて部屋を出て行った。
「ふん。敵に心を許しちゃダメね。シルバ遅いなあ。人型が好きって言っちゃったので、傷ついちゃったかなあ」
独り言を呟いたとき、女神様からの念話が入ってきた
『よっ、グレース、女神だよ』
どうされたのだろうか。先ほどお呼びして、妖精と人は一緒になれないと断言されたのだ。それで、猫のシルバに一生添い遂げようと覚悟したばかりだったのに、マリアンヌにあんな願いを話してしまった。
「女神様、先ほどはありがとうございました。今回は神託ですか?」
『違うよ。願いを叶えに来た。グレースは覚えていないけど、私は前世のあなたと賭けをしたんだ。そして、あなたは賭けに勝ったのよ。褒美として、一つだけ願いを叶えてあげるわよ』
え? 願い?
「人型のシルバと一緒になりたいです」
私はすぐに答えた。
『それは結婚して、いつまでも仲むつまじく過ごして行きたい、という意味でいいかな?』
「はい、人のシルバと結婚したいです」
『よろしい。その願い叶えよう、と言いたいところだけど、妖精を人には変えられないな。シルバを人に転生させることは出来るけど、そうなるとシルバは零歳になっちゃうけどいい?』
「え? 私、おばさんになっちゃいます。今の私と結婚してほしいです」
『そうだ。二十年前のこの世界に転生させることはできるよ。シルバの記憶を消さないでおけば、いけそうね。ただ、妖精としての力は無くなってしまうわよ。そうなると、あなたたち、迫害されちゃうわ。というか、殺されかねないわね』
確かにやりたい放題やってきたので、私たちに恨みを持つ敵が多いように思う。
『このままだと前世以上に酷いことになるわ。よし、特別サービスで、あなたが結婚しても妖精界に戻らない守護妖精をつけてあげるわね。後で、神殿で召喚してもらいなさい。これでよければ、シルバを転生させるわよ、いい?』
「はい、シルバが嫌でなければっ!」
『確認したわ。喜んで転生するそうよ。じゃあ、転生の手続きをして来るから、神殿に行って、新しい妖精を召喚してもらいなさい』
「ありがとうございます!」
ああ、もうすぐ人のシルバに会えるのね!
私はマリアンヌを部屋に呼んでいた。マリアンヌは敵だが、彼女の妖精は私を守ってくれるとシルバが言っていたことを思い出したのだ。シルバが帰るのが遅いため、心細くなってしまったのだ。
「私ですか? 『最強』になりたいです」
脳筋を絵に描いたような答えだった。
「変わってるわね。幸せになりたいとか、ないの?」
「私の幸せは『最強』なのです。聖女様は最強なので、羨ましいです」
この子、顔は可愛いのに、頭の中身が残念すぎるのよね。
「私はただの女の子よ。最強なのはシルバでしょ。彼、無茶苦茶強いでしょ」
「強いです。シルバさんがいると、私の妖精たちが緊張しているのが伝わって来ます」
なるほど、そういうのがわかるんだ。
「私はね、シルバとずっと一緒でいたいなあ。それが私の願い」
「ずっといられますよ。もう願い叶ってるじゃないですか」
「猫型ではなくて、人型のシルバと一緒にいたいのよ。私ね、妖精界に二回行ってるのよ。そのときだけ、人型のシルバといられるの。すごく格好いいのよ、彼。マリアンヌにも見せたいなあ。みんなに自慢したいなあ、これが私の彼氏ですって」
「聖女様、妖精とはそういう意味では一緒になれないです。現実見て本物の彼氏見つけましょう。今度、お食事会設定しますよ」
こ、こいつ。人の夢をあっさり否定するどころか、ズタズタに切り裂いてくれるじゃないの。
「マリアンヌ、部屋に帰って」
「え? わ、分かりました。失礼します」
マリアンヌは慌てて部屋を出て行った。
「ふん。敵に心を許しちゃダメね。シルバ遅いなあ。人型が好きって言っちゃったので、傷ついちゃったかなあ」
独り言を呟いたとき、女神様からの念話が入ってきた
『よっ、グレース、女神だよ』
どうされたのだろうか。先ほどお呼びして、妖精と人は一緒になれないと断言されたのだ。それで、猫のシルバに一生添い遂げようと覚悟したばかりだったのに、マリアンヌにあんな願いを話してしまった。
「女神様、先ほどはありがとうございました。今回は神託ですか?」
『違うよ。願いを叶えに来た。グレースは覚えていないけど、私は前世のあなたと賭けをしたんだ。そして、あなたは賭けに勝ったのよ。褒美として、一つだけ願いを叶えてあげるわよ』
え? 願い?
「人型のシルバと一緒になりたいです」
私はすぐに答えた。
『それは結婚して、いつまでも仲むつまじく過ごして行きたい、という意味でいいかな?』
「はい、人のシルバと結婚したいです」
『よろしい。その願い叶えよう、と言いたいところだけど、妖精を人には変えられないな。シルバを人に転生させることは出来るけど、そうなるとシルバは零歳になっちゃうけどいい?』
「え? 私、おばさんになっちゃいます。今の私と結婚してほしいです」
『そうだ。二十年前のこの世界に転生させることはできるよ。シルバの記憶を消さないでおけば、いけそうね。ただ、妖精としての力は無くなってしまうわよ。そうなると、あなたたち、迫害されちゃうわ。というか、殺されかねないわね』
確かにやりたい放題やってきたので、私たちに恨みを持つ敵が多いように思う。
『このままだと前世以上に酷いことになるわ。よし、特別サービスで、あなたが結婚しても妖精界に戻らない守護妖精をつけてあげるわね。後で、神殿で召喚してもらいなさい。これでよければ、シルバを転生させるわよ、いい?』
「はい、シルバが嫌でなければっ!」
『確認したわ。喜んで転生するそうよ。じゃあ、転生の手続きをして来るから、神殿に行って、新しい妖精を召喚してもらいなさい』
「ありがとうございます!」
ああ、もうすぐ人のシルバに会えるのね!
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