14 / 39
第二章 就職
依頼の遂行 ルナ視点
しおりを挟む
ルナはアレンから4つの仕事を頼まれた。
「今世も女神使いが荒いわね。でも、私を頼ってくれて、とても嬉しいわ」
最初の依頼は簡単だから、さっさと済ませてしまいましょう。
日の神アポロンからの定時連絡の後に、アポロンに作業を依頼することにした。ルナは人間に憑依している間は、精神が肉体に固定されてしまうため、移動できる範囲が肉体の制限を受けてしまう。したがって、神託は他の神に依頼するのがよい。
「アポロン、教皇に神託を下して頂戴。内容は、レンガ島にいるガイレイ神父の7神教からの全面支援と教会におけるガリレイ派の地位の復活よ」
「ルナ、理由は何だい?」
「それはアポロンが考えるのよ」
1つ目の依頼はこれで完了だ。
2つ目も教会関係なのでアポロンにやってもらおう。
「アポロン、もう一つあるのよ。王都の教会にサーシャの妹が2人シスターとして仕えているの。ソフィアとメリンダという名前よ。この2人を説得して、私のレンガ島行きの一行に加えて頂戴」
「どうやって説得するんだい?」
「それもアポロンが考えるのよ」
2つ目も完了だ。
ただアポロンに振っているだけだが、ルナは達成感を味わっていた。アレンの役に立っているという充実感に満たされていく。
ああ、アレンの役に立つって、本当に気持ちがいいわ。
「アポロン、まだいるの? 早く行って」
「……」
まったく、ぐずぐずして。あれで太陽神だなんて、天界も人材不足よね。
残り2つは現場に行く必要がある。レベッカの病弱な妹は、まずは病気を治さないとね。医療の神に治してもらえばいいか。アスクレーピオスと連絡を取るにはどうすればいいかしら。
しまったわ、アポロンに頼めばよかった。
「アポロン、まだいる?」
「いるよ」
「あら、まだ行ってなかったの。でも、良い判断よ。アスクレーピオスにね、ブレンダ・キルリスの病気を治すようにお願いしてくれる?」
「どこにいるんだ?」
「それはアポロンが探すのよ」
「なあ、ルナ。少しおかしいと思わないか?」
アポロンは少し不機嫌な声を出した。
「何がよ」
「なぜ、この太陽神たるアポロン様が、お前の手足となって働かないといけないんだ?」
「え? まさか、人の身に落ちている私にこんな難しい仕事をさせるの!?」
「いや、そうは言わないが……」
「じゃあ、お願い。よろしくね」
「くそう、なんで俺が……」
どうせ暇なんだから、さっさと動きなさいよ。
さて、となると、取り急ぎ自分でやらないといけないのは、サユリの弟君の救出ね。ムサシ君だったわよね。
あすなろ院という孤児院にいるのよね。夜さらってくるってのもいいけど、職員に堂々と連れ出してもらおうかしら。ブレンダの救出も必要だし、王都に行くしかないわね。
「ちょっと誰か」
ルナは集まったなかから生理中の侍女を選んで、残りは下げさせた。
「エルグランド王国の王都に行くわよ。馬を用意して頂戴」
生理中の女性を操る力は、ルナが人間に憑依していても使用できる数少ない月の女神の力だ。このほか、潮の満ち引きを操る力と狼男を狼にしたり人間にしたりできる力があるが、今のところ、使い道はない。
ルナは馬にまたがり、単騎で王都に向かった。
「今世も女神使いが荒いわね。でも、私を頼ってくれて、とても嬉しいわ」
最初の依頼は簡単だから、さっさと済ませてしまいましょう。
日の神アポロンからの定時連絡の後に、アポロンに作業を依頼することにした。ルナは人間に憑依している間は、精神が肉体に固定されてしまうため、移動できる範囲が肉体の制限を受けてしまう。したがって、神託は他の神に依頼するのがよい。
「アポロン、教皇に神託を下して頂戴。内容は、レンガ島にいるガイレイ神父の7神教からの全面支援と教会におけるガリレイ派の地位の復活よ」
「ルナ、理由は何だい?」
「それはアポロンが考えるのよ」
1つ目の依頼はこれで完了だ。
2つ目も教会関係なのでアポロンにやってもらおう。
「アポロン、もう一つあるのよ。王都の教会にサーシャの妹が2人シスターとして仕えているの。ソフィアとメリンダという名前よ。この2人を説得して、私のレンガ島行きの一行に加えて頂戴」
「どうやって説得するんだい?」
「それもアポロンが考えるのよ」
2つ目も完了だ。
ただアポロンに振っているだけだが、ルナは達成感を味わっていた。アレンの役に立っているという充実感に満たされていく。
ああ、アレンの役に立つって、本当に気持ちがいいわ。
「アポロン、まだいるの? 早く行って」
「……」
まったく、ぐずぐずして。あれで太陽神だなんて、天界も人材不足よね。
残り2つは現場に行く必要がある。レベッカの病弱な妹は、まずは病気を治さないとね。医療の神に治してもらえばいいか。アスクレーピオスと連絡を取るにはどうすればいいかしら。
しまったわ、アポロンに頼めばよかった。
「アポロン、まだいる?」
「いるよ」
「あら、まだ行ってなかったの。でも、良い判断よ。アスクレーピオスにね、ブレンダ・キルリスの病気を治すようにお願いしてくれる?」
「どこにいるんだ?」
「それはアポロンが探すのよ」
「なあ、ルナ。少しおかしいと思わないか?」
アポロンは少し不機嫌な声を出した。
「何がよ」
「なぜ、この太陽神たるアポロン様が、お前の手足となって働かないといけないんだ?」
「え? まさか、人の身に落ちている私にこんな難しい仕事をさせるの!?」
「いや、そうは言わないが……」
「じゃあ、お願い。よろしくね」
「くそう、なんで俺が……」
どうせ暇なんだから、さっさと動きなさいよ。
さて、となると、取り急ぎ自分でやらないといけないのは、サユリの弟君の救出ね。ムサシ君だったわよね。
あすなろ院という孤児院にいるのよね。夜さらってくるってのもいいけど、職員に堂々と連れ出してもらおうかしら。ブレンダの救出も必要だし、王都に行くしかないわね。
「ちょっと誰か」
ルナは集まったなかから生理中の侍女を選んで、残りは下げさせた。
「エルグランド王国の王都に行くわよ。馬を用意して頂戴」
生理中の女性を操る力は、ルナが人間に憑依していても使用できる数少ない月の女神の力だ。このほか、潮の満ち引きを操る力と狼男を狼にしたり人間にしたりできる力があるが、今のところ、使い道はない。
ルナは馬にまたがり、単騎で王都に向かった。
0
お気に入りに追加
1,384
あなたにおすすめの小説
クルスの調べ
緋霧
ファンタジー
家族を突然の事故で亡くした中学生の少女。
少女はそこから立ち直れずに、引きこもってゲームや漫画に明け暮れる日々を送っていた。
しかしそれから数年が経ったある日、少女もまた突然事故に巻き込まる。
目が覚めたらそこはゲームのようなファンタジー世界で、しかもエルフ(♂)だった―――。
転生者がどのような意味を持つかも分からない世界で、男の体を持つ彼女はどう生きるのか。
今まで独りだった彼女が自分を受け入れてほしいと願った時、その人を前にどうするのか。
命の選択を迫られた時、その手を血で染めることができるのか。
繰り返し見る謎の夢とは―――。
弱肉強食の世界で死に抗う物語。
※序盤を大幅に改稿した改稿版を小説家になろうとセルバンテスで公開しております。
1話あたりの文字数も少なくなっておりますので、文字数が多いと感じる方はぜひそちらもご覧ください。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
魔力吸収体質が厄介すぎて追放されたけど、創造スキルに進化したので、もふもふライフを送ることにしました
うみ
ファンタジー
魔力吸収能力を持つリヒトは、魔力が枯渇して「魔法が使えなくなる」という理由で街はずれでひっそりと暮らしていた。
そんな折、どす黒い魔力である魔素溢れる魔境が拡大してきていたため、領主から魔境へ向かえと追い出されてしまう。
魔境の入り口に差し掛かった時、全ての魔素が主人公に向けて流れ込み、魔力吸収能力がオーバーフローし覚醒する。
その結果、リヒトは有り余る魔力を使って妄想を形にする力「創造スキル」を手に入れたのだった。
魔素の無くなった魔境は元の大自然に戻り、街に戻れない彼はここでノンビリ生きていく決意をする。
手に入れた力で高さ333メートルもある建物を作りご満悦の彼の元へ、邪神と名乗る白猫にのった小動物や、獣人の少女が訪れ、更には豊富な食糧を嗅ぎつけたゴブリンの大軍が迫って来て……。
いつしかリヒトは魔物たちから魔王と呼ばるようになる。それに伴い、333メートルの建物は魔王城として畏怖されるようになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる