見知らぬ美女と一緒に異世界召喚され、お互い幽霊になりました。勇者たちよりも強い最強な俺たちですが、俺は彼女とラブコメしたいです

もぐすけ

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第十二章 カミナリ様

大神殿

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 最近ミサトはエルフの国のことばかり。メルサやゲンムもミサトのところによく顔を出すが、俺のところにはあまり来ない。

 大神殿ができて、昼間はミサトは右殿、俺は左殿を基本的には使用していて、中央にある寝殿で夜は一緒に寝ているが、あっちの方は随分とご無沙汰してしまっている。

 寝殿には大浴場があり、温泉を楽しむことが出来るが、一緒に入ることは皆無だ。

 仲が悪いわけではない。ミサトが俺に構っている暇がない、といったところだ。

 快適な新居には大満足なのだが、俺はこれといってやることがないのだ。仕方がないので、ワインの神殿に行って、巫女相手にちょっとイケナイことをしたりして過ごしていた。

 そんなある日、忙しいはずのミサトが、ワインの神殿に乗り込んで来た。

「ゆうき、あなたまた人間の女遊びを始めたのっ!?」

 やばい、なんだってミサトがここに来るんだよ。俺は本堂で数人の巫女を相手に、医学の勉強をしていたのだが、慌てて巫女たちを裏から逃した。間一髪間に合ったようだ。

「ミサト、俺、やることないんだよ」

 ミサトはクンクンあたりの匂いを嗅いでいる。犬じゃあるまし、なんてことはもちろん言ったりはしない。この辺りの空気は思いっきり吸い込んだから、女の匂いはしないはずだ。これが神霊様のすることかと、少し情けなくなる。

「あなたねえ、キララはどうしたのよ」

 ミサトは今度は丹念に床をチェックしている。科学捜査班か、なんてことももちろん言わない。ちゃんと分子レベルで有機物は全て分解してある。全知全能のカミナリ様を舐めてはいけない。

「キララ? もう臨月だから、そろそろ産まれるんじゃないか?」

 ミサトがジロリと俺を睨む。

「で、次はマリアなの?」

 す、鋭い。相変わらず鋭すぎる。マリアとはとうとうやっちまった。人間とは違って、使徒にはすけべな気持ちを持ってしまうのだ。

 どうするか。しらばっくれるか。いや、それは悪手だ。ここは素直に謝ろう。

「すまん。抵抗出来なかった」

「マリアめ、別の男神を紹介すると言ったのに。あの子は私に喧嘩を売ってるの!?」

 寒い、物凄い冷気で本堂が凍えそうだ。こんなときにワインは一体どこに行っているんだ?

「ゆうき、私をコケにしてるの? キララは許したけど、マリアは許してないわよっ。マリアっ、出てきなさいっ」

 ……

「おかしいわね。マリアの気配がこの世界にないわよ。ゆうき、どこに隠したのっ」

「秘密だ。マリアは俺の子を宿している。異世界で産んでもらう」

「ふっふっふ。まあた始まったのね。この子作り神があっ!?」

 ミサトの前蹴りをまともに食らった俺は、くの字になった状態で、本堂のなかをものすごい勢いででぶっ飛んで行く。

 ダメだ。逃げよう。俺はミサトに背中を見せて、一目散に逃げ出した。

「こら、ゆうき、待ちなさい!」

 待てと言われて待つ神がいるか。俺はミサトよりも少しだけ逃げ足が速いのだ。

「ゆうき、許さないわよ。覚えておきなさいっ」

 ふう、危なかった。しばらくドラゴンのいる大陸に行って、ほとぼりを冷まそう。まずはいったん天界に戻った方がいい。ミサトは天界には近寄らないし、天界経由で行けば、ドラゴンの大陸はすぐだ。
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