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第十一章 エルフの国
使者再び
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「クロの旦那、エルフの使者です。この前来た娘二人です。降伏したいそうです」
先日、使者の相手を務めた男がクロの元に報告に来た。
「農業やるって言ってるか?」
クロは首都サブリンの方向に視線を向けたまま尋ねた。
「はい、あの娘たちは、サツマイモを腹一杯食べたいそうです」
クロが顎に手をやって考え、男の方を向いた。
「よし、進軍はここで停止だ。砦を作ってここを拠点にするぞ。ミドリがトドロキ皇帝を連れて上陸したら、海岸からここまでを人間の帝国にする。お前たちも家族を呼んでいいぞ」
「そいつは嬉しいですが、家族のいない奴らはどうしますか」
「集団見合いさせる。農家の男に嫁いでくれるエルフ女性を募れ」
男には妻と娘がいるため、集団見合いには参加出来そうもない。羨ましいが、仕方がない。それよりも首都は攻めないのだろうか。
「あのう、掠奪はやめですか?」
「行きたい奴は行っていいぞ。流石に数千の軍に四方八方から攻められたら、死ぬけどな」
「やっぱり流石に無理ですか」
「お前たちはしょせんヒトだからな。人間やめたメルサやゲンム、帝国の四天巫女なら大丈夫だがな」
「あの人たち、どれぐらい強いんですか?」
「さあな。それより早く築城しろ。人海戦術で押し込まれたら負けるぞ」
クロの指示のもと、男たちは大張り切りで、深夜にもかかわらず、築城を始めた。集団見合いと聞いて俄然やる気が出たのだ。嫁は生産量に応じて複数持ってもいいことになっている。
「ハハンハ、ハンハンハン」
男たちはご機嫌だった。そして、一夜にして砦は完成した。
***
同日の朝、東海岸にトドロキ皇帝と彼の五十人の妃と百人以上の赤ん坊と数百人の世話人たちが上陸した。その後、ミドリとメルサとゲンムの三人を乗せた船が、少し遅れて到着した。
ミドリは農業専門の霊王だとトドロキはモモから聞いていた。ミサト様の側近の十二柱の霊王の一柱であるため、粗相は出来ない。トドロキはすぐにミドリに挨拶に行った。
ミドリはエメラルドグリーンの長い髪と切れ長の瞳を持つ白人美女で、後ろに金色に輝く若く容姿端麗な男女を連れていた。あれがゆうき神国で人類最強というメルサとゲンムだろう。
「ミドリ様、お初お目にかかりますトドロキです。以後お見知りおきを」
「モモから聞いてるわ、種馬さん。すごい生殖能力だってね。エルフも困っちゃうわね」
「た、種馬さんはやめて下さい。子を成さないと私は殺されるんですよ。仕方ないんです」
「一度に二突きするって、モモが感心してたわよ。モモを感心させるなんて、あなた、自慢していいわよ」
「は、はあ。後ろの方はメルサ様とゲンム様でいらっしゃいますか?」
メルサがウィンクした。
「こんにちは、トドロキさん、メルサでいいわよ。私の方が随分年下だから」
「俺もゲンムでいい」
ゲンムの方はぶっきらぼうだ。
ミドリがトドロキに向かって話す。
「ミサト様から聞いているわよね。種馬さんはまずは皇居に入って、建国を宣言してね。メルサを護衛に付けるわ。メルサ一人でこの大陸全滅させちゃうぐらい強いから、安心していいわよ。私とゲンムはクロに合流するわ。了解かな?」
「了解しました」
トドロキが頭を下げた。
「種馬さん、あなた、皇帝なんだから、外では堂々としていてよ。エルフたちに君臨するんだからね。建国の後の使命も聞いているわよね」
「はい、エルフとのハーフを五十人作れ、です……」
トドロキはうなだれている。
「そうよ。モモが見込んだ男なんだから、サクッとやっちゃってね。さあ、ゲンム行くわよ」
「はい。ミドリ様。メルサ、またな」
「ゲンム、頑張ってねー」
ミドリとゲンムは神走りでクロのいる砦に向かった。
先日、使者の相手を務めた男がクロの元に報告に来た。
「農業やるって言ってるか?」
クロは首都サブリンの方向に視線を向けたまま尋ねた。
「はい、あの娘たちは、サツマイモを腹一杯食べたいそうです」
クロが顎に手をやって考え、男の方を向いた。
「よし、進軍はここで停止だ。砦を作ってここを拠点にするぞ。ミドリがトドロキ皇帝を連れて上陸したら、海岸からここまでを人間の帝国にする。お前たちも家族を呼んでいいぞ」
「そいつは嬉しいですが、家族のいない奴らはどうしますか」
「集団見合いさせる。農家の男に嫁いでくれるエルフ女性を募れ」
男には妻と娘がいるため、集団見合いには参加出来そうもない。羨ましいが、仕方がない。それよりも首都は攻めないのだろうか。
「あのう、掠奪はやめですか?」
「行きたい奴は行っていいぞ。流石に数千の軍に四方八方から攻められたら、死ぬけどな」
「やっぱり流石に無理ですか」
「お前たちはしょせんヒトだからな。人間やめたメルサやゲンム、帝国の四天巫女なら大丈夫だがな」
「あの人たち、どれぐらい強いんですか?」
「さあな。それより早く築城しろ。人海戦術で押し込まれたら負けるぞ」
クロの指示のもと、男たちは大張り切りで、深夜にもかかわらず、築城を始めた。集団見合いと聞いて俄然やる気が出たのだ。嫁は生産量に応じて複数持ってもいいことになっている。
「ハハンハ、ハンハンハン」
男たちはご機嫌だった。そして、一夜にして砦は完成した。
***
同日の朝、東海岸にトドロキ皇帝と彼の五十人の妃と百人以上の赤ん坊と数百人の世話人たちが上陸した。その後、ミドリとメルサとゲンムの三人を乗せた船が、少し遅れて到着した。
ミドリは農業専門の霊王だとトドロキはモモから聞いていた。ミサト様の側近の十二柱の霊王の一柱であるため、粗相は出来ない。トドロキはすぐにミドリに挨拶に行った。
ミドリはエメラルドグリーンの長い髪と切れ長の瞳を持つ白人美女で、後ろに金色に輝く若く容姿端麗な男女を連れていた。あれがゆうき神国で人類最強というメルサとゲンムだろう。
「ミドリ様、お初お目にかかりますトドロキです。以後お見知りおきを」
「モモから聞いてるわ、種馬さん。すごい生殖能力だってね。エルフも困っちゃうわね」
「た、種馬さんはやめて下さい。子を成さないと私は殺されるんですよ。仕方ないんです」
「一度に二突きするって、モモが感心してたわよ。モモを感心させるなんて、あなた、自慢していいわよ」
「は、はあ。後ろの方はメルサ様とゲンム様でいらっしゃいますか?」
メルサがウィンクした。
「こんにちは、トドロキさん、メルサでいいわよ。私の方が随分年下だから」
「俺もゲンムでいい」
ゲンムの方はぶっきらぼうだ。
ミドリがトドロキに向かって話す。
「ミサト様から聞いているわよね。種馬さんはまずは皇居に入って、建国を宣言してね。メルサを護衛に付けるわ。メルサ一人でこの大陸全滅させちゃうぐらい強いから、安心していいわよ。私とゲンムはクロに合流するわ。了解かな?」
「了解しました」
トドロキが頭を下げた。
「種馬さん、あなた、皇帝なんだから、外では堂々としていてよ。エルフたちに君臨するんだからね。建国の後の使命も聞いているわよね」
「はい、エルフとのハーフを五十人作れ、です……」
トドロキはうなだれている。
「そうよ。モモが見込んだ男なんだから、サクッとやっちゃってね。さあ、ゲンム行くわよ」
「はい。ミドリ様。メルサ、またな」
「ゲンム、頑張ってねー」
ミドリとゲンムは神走りでクロのいる砦に向かった。
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