見知らぬ美女と一緒に異世界召喚され、お互い幽霊になりました。勇者たちよりも強い最強な俺たちですが、俺は彼女とラブコメしたいです

もぐすけ

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第十章 強者の育成

夫婦神

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 ミサトは大神殿にいた。ワインと何か打ち合わせをしていたようだ。

「あら? ゆうき、どうしたの」

 俺は玉座に座っていたミサトに駆け寄って、座ったままのミサトを抱きしめた。

「ちょっと、どうしたの?」

 ミサトは戸惑っているようだが、抱かれるままになっている。

「ミサトだけを大切にする。約束する。記憶が戻った」

「そう、記憶が戻ったのね。キララはどうしたの」

 あれ? ミサトは案外冷静だな。

「キララは俺の子を宿した。俺は彼女の幸せそうな顔を見て、全てを思い出したんだ。俺はミサトの幸せな顔が見たい。キララにはお別れをして来た。とはいえ、彼女と子供は引き続き庇護するけど」

「人口増加の勝負でキララが勝ったら、二人目をプレゼントしてあげなさい。彼女は命をかけて私から許しを得たの。ゆうきだけの問題ではないのよ。でも、ゆうきの言葉、嬉しかったわ」

「ここ数ヶ月のお互いの記憶がないままの生活が、この四百年間のなかで、最も貴重な体験だった。俺はミサトのことが本当に好きなんだと実感した。ミサト以外はどうでもいいんだ。ミサトは、自分よりも大切な唯一無二の存在なんだ」

「もう、ワインのいる前で恥ずかしいからやめてよ。私が大切ってことをちゃんと行動で示してね。ゆうきのことを信頼したいの。私が安心して好きになれる人になって欲しいのよ」

「おう、任せてくれ。俺はもう迷わないぜ」

「どうだかね。でも、期待しているわよ。じゃあ、そろそろ離れようか」

 ミサトにポンポンと背中を叩かれた。本当はずっと抱きしめていたい気分だったが、俺はミサトから離れた。

「ワインとの打ち合わせを中断して悪かった。俺は退席した方がいいか?」

「大丈夫よ。ゆうきにも知っておいてもらった方がいいわ。ゲンムとメルサだけではなくて、もう一組、帝国で最強ペアを育てる準備をしているのよ」

「ほう。また未成年か?」

「そうよ。ララとルルって覚えてる?」

「ああ、マリアのところの神官だろ? 記憶が戻る前は対等な感じだったが、今はさすがに単なる人間としか思わないぞ」

「あなたね。記憶が戻ったのなら、自分が今までして来たことも思い出したでしょ? 哀れに思うとすぐにしちゃうじゃない。身籠らせて、母の幸せを引き出して、幸福感を与えるのが大好きでしょう?」

「む、昔のことだ。ミサトに悲しい思いはもうさせない」

「それはもう私も慣れたわ。人間は正直、どうでもいいわよ。キララも別にどうってことないわよ。すぐに死んじゃうしね。でも、ララとルルはこれから強くするから、まだ身籠らせないでね」

「おう、分かったぜ。で、なぜ彼女たちなんだ?」

「神官はかなりの逸材よ。あともう二人、サーシャとポーラという少女がいて、四人を鍛えているの」

「魂エネルギーか?」

「そうよ。ただ、ゲンムたちとは異なる方法で鍛えているの」

「どんな方法何だ?」

「異世界転移よ。別の世界に転移させて、魔王討伐させて、こっちに再び召喚するのよ」

「なんだよ、無茶苦茶面白そうじゃないか。でも、どこの世界か分からないが、魔王にやられたりはしないのか?」

「ワインを護衛に出す予定よ。その打ち合わせをしていたのよ」

「それ、俺がやりたいなあ」

「ダメよ。神霊が異世界に干渉するのは御法度だって知ってるでしょ?」

「そうだよなあ。ヨロズの連中みたいに招待されれば別だけどな」

「ただ、一つ問題があるのよ。彼女たち、普通の女の子なのよ。魔物倒したりとかしたくないのよね。あなたのお嫁さんになるのが夢なのよね」

「う、で、どうするんだ?」

「魔王倒したら、ゆうきのお嫁さんになっていいよ、って言ったわよ。四人全員にね」

「は? お、俺のミサトへの愛の気持ちはどうしてくれちゃってるんだ?」

「私はこれから少なくとも百年間はエルフとドワーフの征服で頭いっぱいなのよ。私は気にしないから、彼女たちを幸せにしてあげなさいよ。もちろん、彼女たちは母となっても最強のままだから、子連れでエルフの地を攻めてもらうけどね」

 ミサトとラブラブの夫婦生活を堪能出来るかと思ったのだが、百年間お預けなのか?

「あの、俺はミサトと愛し合いたいのだが」

「百年ぐらい我慢しなさいよ。それより、お義母さまにご挨拶に行った方がいいわよ。一日に数回下界を覗いているらしいから、ゆうきが記憶を取り戻したことにもお気づきになってると思うわよ」

「マジか。俺って、記憶戻らない方がよかったんじゃないだろうか……」
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