見知らぬ美女と一緒に異世界召喚され、お互い幽霊になりました。勇者たちよりも強い最強な俺たちですが、俺は彼女とラブコメしたいです

もぐすけ

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第十章 強者の育成

別れ

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 モモとシロには定期的に報告を入れてもらうようにした。キララはレベル52だそうだ。

 特定の個人のレベルを聞いてしまうと、モモが答えられなくて強く自責の念にかられてしまう可能性があるので、モモにダンジョン戦に参加しているメンバーのレベルを調べるように命令した。質問するのではなく、命令すればいいということを俺は学んだ。

 その結果、戦闘リーグのメンバーやダンジョンのエネミーのレベルが分かった。

 エルフ レベル70台
 エルフの村長一家 レベル110台
 リッチー一家 レベル 100台
 戦闘リーグ一位チーム レベル 85

 実はダンジョンの地下八階以降はまだ空っぽだ。エルフが倒されそうになったら、ドワーフを召喚するらしい。もう目星はついているそうだ。

「リッチー一家って人類の最強レベルでもなかなか勝てないのか」

 俺は報告に来たモモと話していた。シロも同席している。モモはいつもキャバ嬢のような格好なのだが、俺に対する言葉遣いは実に丁寧で、そのギャップが面白い。

「はい、ゆう様、ミサ様がいらっしゃったことと、ホーリーライトというアンデッドに特化した強烈な魔法を使えるから勝てたに過ぎません。ほかのチームでは、なかなか勝てないでしょう」

「勝てないんじゃ、リーグ戦の盛り上がりに欠けてしまわないかな」

「作戦をしっかりと立てて、アンデッドに特化した攻撃と防御をすることで、レベル85でも勝機は十分にございます」

 シロが戦闘家らしい意見を述べた。シロは割と自分の意見を言ってくれる方だ。霊王は神々に造られたそうだが、それぞれに性格があって面白い。

「なるほどね。で、メルサたちはどこまで行った?」

 モモが答えた。

「それが、ダンジョンの攻略よりも、修行をしたいと言ってまして、今はソウルドレインを改良しています」

「改良?」

「エルフが死ぬときの絶叫を聞くことにメルサが耐えられないようなのです。魂を無理矢理吸い取る時の激痛を和らげたいということで、麻酔効果と快楽効果を魔法に追加したいと言っています」

「メルサは優しいな。ぜひ協力してやってくれ」

「はい、かしこまりました」

「じゃあ、また来週報告してくれ」

 モモとシロが退席した。

 俺はこれからキララと子作りタイムだ。その後、エリコさんが醤油の製造に成功したとのことで、ミサトも呼んで、久しぶりに四人で食事をすることになっている。

 俺はキララの寝室に入った。キララが駆け寄ってくる。む、魂が増えているじゃないか。

「キララ、お前、子供が出来ているぞ」

 キララが一瞬びっくりした顔になった。それが徐々に笑顔に変わっていく。

「ゆうくん、身籠ったということでしょうか。私、ゆうくんのお子を授かったということでしょうか」

「そのようだぞ。まだ人には分からないと思うが、新しい魂が宿っている。俺の子は流産することはないが、母体は大切しないといけないぞ。体を大切にするといい」

 キララのこの幸せそうな顔を見ていると、子を授けることも悪くないと思った。

「今日からは抱きしめるだけにする。しちゃうと子供に良くないからな」

 キララは少し残念そうだが、納得したようだ。俺にはキララに庇護欲しかないので、抱きしめてあげるのが一番いいのだ。キララは俺の胸のなかで、本当に幸せそうだった。

 その時だった。俺の頭のなかが雲が晴れるようにクリアになっていった。そうだ。俺は人間とよくこういう関係になった。胸のなかで見る人間のこの幸せそうな顔が堪らなく俺は好きなんだ。

 そしてミサトのことを思い出す。ミサトにこの顔をしてもらいたい。でも、ミサトは身籠ってもいつも寂しそうだった。俺とミサトの間には人の子しか出来ず、神の子が出来ないのだ。

 それをからかった同僚たちをミサトは徹底的に懲らしめた。俺はそのミサトに味方せず、諌めてしまった。今なら分かる。俺はミサトの味方でなければならなかったのだ。

 俺もミサトも記憶を失っていたとき、「私にあなたをもっと好きにさせて」と言われたが、俺が本当にミサトを大切にしてあげられないために、ミサトは苦しんでいたのだ。

「ゆうくん、ミサト様のことを考えてる?」

「うん、キララ、俺、記憶が戻った。ミサトを大切にしたい。キララを抱いてあげられるのは今日で最後だ」

「はい、この日が来ることは分かっていました。お子を頂きましたから、耐えて行けると思います」

「キララと子供のことはちゃんと見守っているし、何かあったら遠慮なく頼るといい。宮殿は出て行くけど、古代寺にいつでも会いにくるといい。悪いが、今日の夕食会はキララとエリコさんの二人でやって欲しい」

「はい、ゆうくん、分かりました。今までありがとうございました。私はとても幸せでした」

 俺は王宮を出て、ミサトに会うために帝国に向かった。ミサトに会いたくてたまらなかった。
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