見知らぬ美女と一緒に異世界召喚され、お互い幽霊になりました。勇者たちよりも強い最強な俺たちですが、俺は彼女とラブコメしたいです

もぐすけ

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第十章 強者の育成

最強論議

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「ミサトがあんなダンジョンを作れるとは驚いたな」

 ダンジョンを出て、エルフの姿のまま、俺はミサトに話しかけた。

「それ何回言うの?」

「本当に驚いているんだよ。ところで、思い出したんだが、北の湖のほとりにダンジョンがあるらしいが、ひょっとしてあれもミサトが作ったのか?」

「何言ってんのよ。あれはゆうきが作ったのよ」

「え? 俺が作ったの?」

「そうよ。この前も話したけど、私たちには大地創造、改変、破壊の力があるのよ。だから、ダンジョンの入れ物は簡単に作れるの。難しいのは中身よ。アンデッドは簡単に連れて来られるけど、生物が面倒なのよ」

「権現しないと触れないからか?」

「それもあるけど、色々と神々の縄張りがあって、好き勝手に出来ないのよ」

「エルフとかどうやって連れて来たんだ?」

「この世界のエルフだと色々とまずいから、異世界のエルフを部落ごと召喚したのよ」

「そうなのか!? すごいな、何人召喚したんだ?」

「五十人よ。男女半々ずつね。異世界転移するときに精神力が上がるから、かなり強いはずよ」

「いやあ、思い切ったことするなあ。で、メルサたちは勝てるのか?」

「どうかしら。強いと言ってもヒトレベルだからよく分からないのよ。そうね、モモが使えるレベルカウンターという魔法で強さが分かるみたいだから、今度測ってもらったら?」

「それ、すごいじゃん。俺も測ってもらおう」

「残念だけど、私たちは測定不能だそうよ。そもそも魔法が私たちには効かないから」

「何だよそれ、つまんないなあ」

***

 翌日、藪神社にモモとシロを呼んだ。ミサトは帝国で用事があるとかで、ワインを連れて帝国に行っている。

 モモとシロが平伏している。

「二柱とも楽にしてくれ。で、モモ、メルサたちの強さを教えてくれ。レベルカウンターってので測れるんだろう?」

「はい、メルサがレベル98、ゲンムがレベル86でございます」

「それって強いの?」

「弱いですが、人としては最高レベルに近いです。ヒトの上限はレベル100です」

「メルサはもうすぐ上限じゃないか。100は超えられないのか?」

「ヒトの上のセンニンに変身すれば、レベル1000まで行けるようになります」

「変身?」

「はい、修行を積むことで、悟りを開いたときに、一つ上のクラスに変身出来ます」

「そんな仕組みがあるのか。神にもなれるのか?」

「変身は生きている間の変化です。変身では神様にはなれません」

「まあ、いいか。俺はもう神になっちゃってるし。ちなみにモモはレベルいくつなの?」

「霊王はレベル5000から9999までです。我ら十二柱は全員がレベル9999で測定不能です」

「俺は?」

「測れないです。魔法が分散してしまうのです」

「やってみてよ」

「め、滅相もございません。ゆうき様に恐れ多くもロッドを向けるなど、到底出来ることではございません」

「もう、大袈裟だなあ。分かったよ、嫌なことはさせないから、安心してくれ。じゃあ、キララはいくつ?」

「申し訳ございません。測っておりませんっ」

 モモの顔面が蒼白だ。シロも俯いている。

「あ、いやそんなに気にしなくていい」

「す、すぐに測って参ります! 失礼いたします」

 そう言ってモモは俺の返事も待たず、あっという間に消えてしまった。

「何をそんなに恐れてるんだ? 俺ってそんなに怖いの?」

 俺は残っているシロに聞いてみた。

「私どもにとって、神霊様のご期待にそえないことは、消滅するよりも辛いことなのでございます。ゆうき様のご質問に答えられないなど、モモに存在する価値はございません」

 そんな態度を取られたら、簡単に質問できないじゃないか。

「そ、そうか。じゃあ、別の話にしよう。ゲンムは上達しているのか?」

「ヒトですので、上達は異常に遅いですが、ヒトの中では早いと思います」

 人間ってとても弱いのね。

「シロって格闘技全般の達人だろ? そんなシロでも俺に勝てないの?」

「ゆうき様、神霊様の御前では私の技は児戯ですらございません」

「そうなの? ちょっと型を見せてくれる」

「ゆうき様のご所望とあらば。今、ゲンムに教えている魔剣技の奥義、紅蓮の雫と呼ばれる型を披露させて頂きます」

 シロが立ち上がり、赤く光る剣を抜き、剣舞を舞った。おおっ、格好いいじゃないか。だが、シロの動きをよく見ようと目に力を入れると、シロの動きが急激に遅くなった。

「俺に分かりやすいように遅くしたのか?」

 シロが苦笑いしている。

「これが私の全力でございます。ゆうき様が私の動きを注視されますと、動きを見切られてしまうのです。ゲンムはこれよりもさらに数百倍遅いです」

 マジかっ。そういえば、森の魔物とか動きが止まっていたが、あれは止まっていたのではなく、止まって見えていたのか。ミサトの動きはどんなに注視してもパンツしか見えなかったが、あれって無茶苦茶速いのか?

「俺、ミサトの蹴りとか速くて見えないんだが、シロは避けられるか?」

「まさかでございます。私などゆうき様とミサト様には何もできないうちに瞬殺されます」

 俺たちってそんなに強いのか。流石に強すぎて面白くないなあ。

「そういえば、昔は七十二柱いたらしいが、他の神霊との戦いの最中にやられたって聞いたが、勝負になったのか?」

「私どもは神霊様からご加護を頂くことが出来まして、ご加護がついている間は、神霊様と同等の強さを得ることができるのです。消滅した仲間たちは、お二方のご加護を頂いて戦いました」

 意外とシロはよく話すぞ。もう少し聞いてみるか。

「ヨロズ国の神々も参戦したらしいけど、お前たちは誰に負けたんだ?」

「そ、それは私の口からは申し上げられませぬ」

 あちゃあ、またダンマリか。

「まあ、いいか。記憶が戻ったら分かることだ。ところで、お前たちの中では、誰が強いんだ?」

「難しいご質問です。それぞれの相性がございますので。強いて言うなら、近距離は私、遠距離はモモ、中距離はワイン、戦争はクロでしょうか。ただ、博士は毒ガスや核兵器を使いますし、ミドリやネイビーやブラウンは特殊な技を使います」

「そうか。そもそもお前たちは死なないから、何をもって勝敗とするかもよく分からないな」

「はい、我らの中では決着がつきません。我らを消滅させられるのは、神族の方々だけですから」

 まあ、やってみないと分からないってことだな。
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