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第九章 皇帝選出
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「ゆうき、日本はどうだった?」
ミサトがほぼひと月ぶりに古代寺に帰ってきた。随分と雰囲気が変わっている。
「ミサト……、だよな?」
だから、こんな言葉が出てしまった。
「そうよ、何を言っているの? 多分、私が全て思い出したからかしら。ゆうきは思い出さないの?」
「思い出したのか!? 俺は権能が少し戻ってきてはいるが、記憶の方はさっぱりだ。そうだな、日本は思ったほど楽しくはなかったかな。人間に興味がないし、あそこには居場所もないしな」
そうなのだ。あの後、エリコさんが合流して、レンやエリコさんとミサトのバイト先や家族だったというケーキ屋のオーナーや弟くんにも会ってみたが、ミサトの存在はすっかりなかったことになっているし、日本の人間には庇護欲も湧かなかった。
「日本は私たちの国ではないからよ。この国は私たちが生み出した子供のようなものだし、そこに住む人間だから愛着が湧くのよ」
「この国は俺たちが作ったのか」
「そうよ、このヤラタ大陸は私とあなたで作ったのよ」
「人間もか?」
「人間たちは違うわ。私たちの神界が管理している世界は三十六あって、生物の魂はその三十六の世界を輪廻転生しているのよ」
ミサト、すげえ。もう本物の神様じゃないか。なんだか高貴な感じが半端ないんだよな。
「ミサト、ところで、人口増加策は上手くいっているのか。日本から男をさらってきて、ホテルに缶詰にして、せっせと子作りさせているんだろう?」
「あら、モモが話したのね。でもあれは他の種族の大陸を支配するための皇帝作りが主目的よ。女性に優しくて、よく働く日本人に向いてると思ったのよ」
「他種族の支配?」
「そうよ。他の神霊たちが眠っている間に、彼らの大陸を私たちの人間に支配させるのよ」
「他の神霊たちと揉めたことは少し聞いたが、奴らの大陸を人間に支配させることに何か意味があるのか?」
「あいつらが帰ってきたときに嫌な気持ちにさせるためよ」
「それだけか?」
「そうよ。今度、奴らに直接手を出したら、パパも許してくれないと思うのよ。だから、こういう形でしか、嫌がらせが出来ないのよ。ゆうきもこの世界の人間たちが、例えば、エルフに虐げられるのは嫌でしょう?」
「確かに、かなり嫌だな。ところで、パパって?」
「神界には四人の神祖が君臨しているのよ。そのうちの唯一の男神が私の父なの」
「ミサトは神界でも超お嬢様だったのか!」
「あなたのお母様も神祖の一人よ」
「マジかっ。俺も超お坊ちゃまだったのか。俺たちってひょっとしてかなりの力なのか?」
「そうね、超大物カップルってところよ。ところで、あなたの方の人口増加策は順調なの?」
「順調さ。現時点で子供の産める女性の妊娠率は六割だな。一年後の人口増加率だろう? 最初の二ヶ月で妊娠させないと一年間後の数字にはならないだろう。勝負は二ヶ月ってことだよな」
「増やす方はそうね。でも、減らさないようにするのは一年間続くわよ」
「キララが大張り切りさ。あと一ヶ月で全員妊娠させるつもりらしい。死亡率もかなり下がっているぞ。あ、それで、俺の子を妊娠したいと言って来た。陣頭指揮に立っている彼女が妊娠していないのは不味いんだ。ちょっと約束違反だが、ダメかな」
「なるほどね。別にいいわよ。でも、彼女に手を出している間は私とはしないでね」
「ぐ、そうだよな。俺はミサトがいいし、ミサトが全てなんだが、キララがちょっと可哀想でさ」
「キララは長くて八十年しか生きられないんだし、若く綺麗なときはその半分もないんだから、お情けをあげてもいいと思うわよ。でも、キララの匂いをまとったあなたとするのは嫌よ」
「キララも一人子供が出来れば満足だろう」
「私の予想だと、キララとしたときにゆうきの記憶が戻ると思うわよ」
ところが、キララとの契りの後も、俺の記憶は一向に戻らないのであった。
ミサトがほぼひと月ぶりに古代寺に帰ってきた。随分と雰囲気が変わっている。
「ミサト……、だよな?」
だから、こんな言葉が出てしまった。
「そうよ、何を言っているの? 多分、私が全て思い出したからかしら。ゆうきは思い出さないの?」
「思い出したのか!? 俺は権能が少し戻ってきてはいるが、記憶の方はさっぱりだ。そうだな、日本は思ったほど楽しくはなかったかな。人間に興味がないし、あそこには居場所もないしな」
そうなのだ。あの後、エリコさんが合流して、レンやエリコさんとミサトのバイト先や家族だったというケーキ屋のオーナーや弟くんにも会ってみたが、ミサトの存在はすっかりなかったことになっているし、日本の人間には庇護欲も湧かなかった。
「日本は私たちの国ではないからよ。この国は私たちが生み出した子供のようなものだし、そこに住む人間だから愛着が湧くのよ」
「この国は俺たちが作ったのか」
「そうよ、このヤラタ大陸は私とあなたで作ったのよ」
「人間もか?」
「人間たちは違うわ。私たちの神界が管理している世界は三十六あって、生物の魂はその三十六の世界を輪廻転生しているのよ」
ミサト、すげえ。もう本物の神様じゃないか。なんだか高貴な感じが半端ないんだよな。
「ミサト、ところで、人口増加策は上手くいっているのか。日本から男をさらってきて、ホテルに缶詰にして、せっせと子作りさせているんだろう?」
「あら、モモが話したのね。でもあれは他の種族の大陸を支配するための皇帝作りが主目的よ。女性に優しくて、よく働く日本人に向いてると思ったのよ」
「他種族の支配?」
「そうよ。他の神霊たちが眠っている間に、彼らの大陸を私たちの人間に支配させるのよ」
「他の神霊たちと揉めたことは少し聞いたが、奴らの大陸を人間に支配させることに何か意味があるのか?」
「あいつらが帰ってきたときに嫌な気持ちにさせるためよ」
「それだけか?」
「そうよ。今度、奴らに直接手を出したら、パパも許してくれないと思うのよ。だから、こういう形でしか、嫌がらせが出来ないのよ。ゆうきもこの世界の人間たちが、例えば、エルフに虐げられるのは嫌でしょう?」
「確かに、かなり嫌だな。ところで、パパって?」
「神界には四人の神祖が君臨しているのよ。そのうちの唯一の男神が私の父なの」
「ミサトは神界でも超お嬢様だったのか!」
「あなたのお母様も神祖の一人よ」
「マジかっ。俺も超お坊ちゃまだったのか。俺たちってひょっとしてかなりの力なのか?」
「そうね、超大物カップルってところよ。ところで、あなたの方の人口増加策は順調なの?」
「順調さ。現時点で子供の産める女性の妊娠率は六割だな。一年後の人口増加率だろう? 最初の二ヶ月で妊娠させないと一年間後の数字にはならないだろう。勝負は二ヶ月ってことだよな」
「増やす方はそうね。でも、減らさないようにするのは一年間続くわよ」
「キララが大張り切りさ。あと一ヶ月で全員妊娠させるつもりらしい。死亡率もかなり下がっているぞ。あ、それで、俺の子を妊娠したいと言って来た。陣頭指揮に立っている彼女が妊娠していないのは不味いんだ。ちょっと約束違反だが、ダメかな」
「なるほどね。別にいいわよ。でも、彼女に手を出している間は私とはしないでね」
「ぐ、そうだよな。俺はミサトがいいし、ミサトが全てなんだが、キララがちょっと可哀想でさ」
「キララは長くて八十年しか生きられないんだし、若く綺麗なときはその半分もないんだから、お情けをあげてもいいと思うわよ。でも、キララの匂いをまとったあなたとするのは嫌よ」
「キララも一人子供が出来れば満足だろう」
「私の予想だと、キララとしたときにゆうきの記憶が戻ると思うわよ」
ところが、キララとの契りの後も、俺の記憶は一向に戻らないのであった。
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