見知らぬ美女と一緒に異世界召喚され、お互い幽霊になりました。勇者たちよりも強い最強な俺たちですが、俺は彼女とラブコメしたいです

もぐすけ

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第八章 神の統治

言付け

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「カザナミ、久しいのう」

 イザナギはゆったりとした白衣に黒い帯をゆるっと締めた衣服をまとい、ふわふわと浮いていた。両耳の位置で髪を束ねた古来日本の髪型をしている。

「イザナギ、カミナリをどうしたの?」

 私は飄々とした顔で浮いているイザナギを睨んだ。

「どうもせんわい。お主ら二人を四百年もの間、ヨロズで客人としてもてなしたのじゃぞ。今更、害するわけがなかろう」

「それもそうね。で、何か用?」

 信用してはならない。イザナギは古から父に仕える重臣の一柱で、私には手は出さないはずだが、私を娶ったゆうきの存在は面白くないはずだ。

「何じゃ、相変わらずつれないのう。まあよい。ちと話があってな、転移の途中で立ち寄ってもらったのじゃ」

「分かったわ、手短かにお願いね」

「ちっ、この跳ねっ返り娘が。先達にはもちっと優しくするもんじゃぞ」

「この四百年間の留学には感謝しているけど、イザナミを黄泉の国に閉じ込めたことを許したわけではないからね」

 イザナミは私をよく可愛がってくれた姉のような存在だ。イザナギに黄泉の国に閉じ込められてしまったため、なかなか会えないが、四百年前の事件では、私を説得するために黄泉の国から数千年ぶりに出てきた。

「分かった、分かった。その話は苦手じゃ。さっさと本題に入るぞ。ちと神祖様に言付けを願いたいんじゃ」

「え? パパに?」

「おう。簡単なことじゃ。これから、ワシらの星で大掃除をするつもりじゃが、神祖様に御心配無用とお伝えして欲しいのじゃ」

「自分で伝えればいいのに。イザナギはパパのお気に入りでしょ」

「今回はちょっとな。人間を今後百年で一気に五万人にまで減らすつもりなんじゃよ」

 イザナギが珍しく神妙な顔をしている。考え抜いた結果なのだろう。

「そうなの? それは確かに報告しにくいわね。パパは人間好きだから、お気に入りのイザナギでも消されるかもよ」

「そうなんじゃよ。でも、お前なら大丈夫じゃろ。神祖様の溺愛する末娘じゃからな」

「理由は?」

「人間たちを減らす理由か? 簡単に言ってしまえば、ちと傲慢になりすぎたからじゃ。このままでは星を壊しかねん。滅ぼすことも考えたが、奴らにもいいところがあるからの。減らしてみて、どう再起するかみてやろうと思うておる」

「ヨロズはイザナギに任されているんだから、報告しなくてもいいんじゃない?」

「神祖様の耳に入ったときに御心配されないよう事前にお知らせしておきたいのじゃ」

 御心配ね。要するに途中で邪魔されたくないってことね。

「分かったわ。いつ始めるの?」

「すでに種はまいてある。ここ数年で始まるじゃろう」

 もうやってんじゃない。神界に帰るのが面倒だし、ゆうきのことをぐちゃぐちゃ言われるのが嫌だけど、イザナギへの借りをここで返しておくのもいいわね。

「了解よ。用はこれで終わり?」

「終わりじゃ。足止めしてしまって悪かったの」

 イザナギはそう言って、そのまま寝てしまった。さて、エリコは大丈夫かな。可哀想に、もう一度、転移しないといけないなんてね。

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