見知らぬ美女と一緒に異世界召喚され、お互い幽霊になりました。勇者たちよりも強い最強な俺たちですが、俺は彼女とラブコメしたいです

もぐすけ

文字の大きさ
上 下
52 / 91
第七章 王国と帝国

勝負

しおりを挟む
 久しぶりの竹藪を猛スピードで抜け、藪の神社に到着した。ミサトとここに転移して来てから、まだ一ヶ月ほどなのだが、随分と色々なことがあったような気がする。

 アオが電波状況を調べている。

「アオ、どんな感じだ?」

「やはり神々のミラーサイトからの発信のようです。ここで地球の規格で接続が出来るということは、この神社はこの世界での地球の神々の拠点だと思います」

 地球が異世界に置いている大使館みたいなものか。誰もいないけど。

「そういえば、私たちは本当はもっと地球で留学していたはずなのよね」

 確かワインがそんなことを言っていた。ってことは、何かあったってことだ。

「エリコさんたちの召喚に巻き込まれて転移したのかと思っていたが、巻き込まれる前に地球の神々が俺たちを先に転送したんじゃないかな」

 ミサトが頷いている。

「そうかもね。レンやエリコよりも私たちの方が先にこっちに来たからね。ゆうきと一緒だったのは偶然なのかしら?」

 あの日、同じ神社に俺とミサトが偶然いっしょにいて、偶然俺が間違ってミサトの手を取ったということは考えにくい。

「神々は未来を観ることができますので、偶然ではないはずです」

 俺たちの会話を聞いていたワインが教えてくれた。

「すごいな、神々は予知能力があるのか」

 何となくだが、あの日、同じ神社にいたのは偶然かもしれないが、俺が妹の手と間違えてミサトの手を取ることは神々が仕組んだように思う。どうやったかは分からないが。

「予見の神通力は、神霊様にもございます」

 ワインは俺たちが神々と同等の存在ってよく言っているが、逆にどこが違うんだろうか。

「やっぱりね。最近、よく予想通りになるのよ。あ、これ、分かってた、ってのが多いよ」

 俺には全くそんな兆候はない。やはりミサトの神格化のスピードは俺よりもずいぶんと速いようだ。

「なあ、ワイン、神霊ってのは神々とどこが違うのだ?」

「同じです。役職が違うだけです」

「同じって、今更なんだけど、俺って神だったの?」

「神は職業です。ゆうき様は神族であらせられ、神霊というお役割です」

「ってことは、神って俺の上司なのかな」

「それに近いと思います。神霊様は神々に代わって、世界を統べるお方です」

「よくわからないのだが、世界を統べるって何?」

「それは神霊様がお決めになることでございます」

「ゆうき、私は分かったわよ。要するに好きにしていいってことよ」

「そうなのか?」

 本当に分かってるのかな、ミサトは。都合よく考えてるだけじゃないのか。

「その通りでございます。神霊様のお好きなように世界をお治め下さいませ」

 ダメだ、神霊の存在意義が全く分からない。煮え切らない顔の俺をみて、ミサトが俺の肩に腕を回して来た。胸が当たって気持ちいいんだが。

「ゆうきは考えすぎなのよ。動く人形のおもちゃをもらったと思えばいいのよ。で、この世界、ゆうきはどうしたい?」

「いきなりそんなこと言われてもなあ。あれかな。カブトムシ飼って、オスとメスを入れて、沢山卵産ませて、幼虫いっぱい産まれてきて、それを育てて面白いってやつなのかな」

「カブトムシって、そんな小さなスケールじゃないわよ。シミュレーションゲームのリアル版で、ゲームよりももっと複雑で難しいんじゃないかしら。ねえ、ゆうき、勝負しない? 殺し合わせるのは可哀想だから、どっちが人口を増やせるか、みたいな平和的なものがいいわね」

「いいけど、例のご褒美を貰えるのかな?」

「ゆうきは本当にそればっかりよね。逆に感心するわよ。そんなに私がいいの?」

「はい、最高です」

「いいわよ。ルールと褒美を決めるわよ」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

Link's

黒砂糖デニーロ
ファンタジー
この世界には二つの存在がいる。 人類に仇なす不死の生物、"魔属” そして魔属を殺せる唯一の異能者、"勇者” 人類と魔族の戦いはすでに千年もの間、続いている―― アオイ・イリスは人類の脅威と戦う勇者である。幼馴染のレン・シュミットはそんな彼女を聖剣鍛冶師として支える。 ある日、勇者連続失踪の調査を依頼されたアオイたち。ただの調査のはずが、都市存亡の戦いと、その影に蠢く陰謀に巻き込まれることに。 やがてそれは、世界の命運を分かつ事態に―― 猪突猛進型少女の勇者と、気苦労耐えない幼馴染が繰り広げる怒涛のバトルアクション!

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

神によって転移すると思ったら異世界人に召喚されたので好きに生きます。

SaToo
ファンタジー
仕事帰りの満員電車に揺られていたサト。気がつくと一面が真っ白な空間に。そこで神に異世界に行く話を聞く。異世界に行く準備をしている最中突然体が光だした。そしてサトは異世界へと召喚された。神ではなく、異世界人によって。しかも召喚されたのは2人。面食いの国王はとっととサトを城から追い出した。いや、自ら望んで出て行った。そうして神から授かったチート能力を存分に発揮し、異世界では自分の好きなように暮らしていく。 サトの一言「異世界のイケメン比率高っ。」

処理中です...