見知らぬ美女と一緒に異世界召喚され、お互い幽霊になりました。勇者たちよりも強い最強な俺たちですが、俺は彼女とラブコメしたいです

もぐすけ

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第六章 帝国

教会

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 その後、俺たちは残りの十一の神社をワインとマリアたちと一緒にまわった。霊王たちは美男美女で、いずれも俺たちに対して非常に礼儀正しかった。そして、俺たちが帰って来たことを心の底から喜んでいる感じだった。

 人間とすぐにやっちゃうのは魔法担当の魔女っ子と、科学担当の博士だということが分かった。魔女っ子のミサト様の足元にも及びませんという発言に、ミサトがヒクヒクしていたのが面白かった。

 聖王たちはいつもは神社にいて、神器の管理などをしているらしいが、俺たちが帰って来たということで、大神殿の建築に着手するという。だが、必要な時には呼べば直ぐに参上するらしい。

 とりあえずはワイン一柱だけで大丈夫そうなので、ワインと一緒に行動することにした。四百年前もそんな感じだったようだ。ワインは四百年ぶりということで、かなり気負っているようだが、とにかく嬉しくてたまらないようで、よく下を向いてにやけていた。隠しても丸分かりだ。

「じゃあ、教会に行くわよ。皇帝を通した方がいいのかな?」

「いえ、私が行けば大丈夫です」

 ワインはそう言うと、ちょっと抜けた感じのほんわか美女に変身した。

「私、この国の聖女をやっております。聖女としてご案内いたします」

 変身するって、人間になるだけではなく、姿形も変えられるのか。これはまた便利なスキルだな。

「ワイン、あなた誰にでも化けられるの?」

「はい。ただ、姿形だけなのです。声色、話し方、雰囲気や癖なども真似しないとすぐに見破られてしまいます」

 ワインも神走りができるようで、俺たちは猛スピードで教会まで一直線に進んだ。そのため、あっという間に着いてしまった。

 ワインが誰もいないことを確認してから、実体化した。「権現」という能力だそうで、俺たちは忘れてしまっているだけで、思い出せば使えるようになるらしい。

「教皇はこちらの教会内にある教皇用の邸宅に住んでいます。因みに私が霊王であることは知ってます。教皇は霊視、霊話の能力がありますので、普通に会話出来ます。では、こちらへどうぞ」

 ワインを見て、教会内の男性たちが立ち止まって礼をして来る。

「教会って男だけだって聞いたけど、聖女は例外なの?」

 ミサトがそんな男性たちを興味深そうに見ながら質問した。

「聖女は教会からも神社からも独立した存在です。神霊様に最も近いのが聖女、次に神官長、次が教皇です」

「あら、教皇は三番目なのね」

「はい、神霊様からの距離という観点ではそうなります。ただ、教会は財力がありますし、政治や経済にも根を張っています。神社は皇室が支援していますが、活動内容は霊王の下働きとあわよくば神の御子の出産が目的です。ですので、社会的には教会の力の方が大きいです」

「男と女の性格そのものね」

「ミサト様は人間の心理にお詳しいのですね」

「何それ? 私が人の心もわからない殺戮者か何かだと思ってたの?」

 ワインがしまったという顔をして、ガタガタと震え出した。

「まあまあミサト、そうカリカリするなよ」

「あら、ワイン、そんなに怖がらないで。私はとても優しいのよ」

 逆に怖いわっ!

「ミサト、何か思い出したのか? だんだん西太后みたいになって来ているぞ」

「ゆうきの周りに美女がわんさかいると、何だか面白くないのよね。ワインも男に化ければいいのにさ」

 また無茶苦茶言ってるよ。

「ワイン、気にしなくていいぞ。さあ、教皇のところに案内してくれ」

「か、かしこまりましたっ」

 教会の敷地内に洋館が見えて来た。

「あちらが教皇の住まいです」

 門の前に豪華な衣装に身を包んだ青年たちが跪いていた。

「教皇と枢機卿たちです」

「あら? 案外若いのね」

「教皇と枢機卿は三十代までとの決まりがございます」

「ここの人間の平均寿命ってどれぐらいなのかしら」

「六十代後半です」

「結構長生きするのね」

 ワインの顔色が悪い。ワインの中でミサトはどんなキャラなんだろう。いくらミサトでも、こんなところで理不尽に人間の平均寿命を下げたりしないぞ。たぶん。

 教皇が跪いたまま、挨拶を始めた。

「教皇フランシスコが神霊様にご挨拶致します」
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