見知らぬ美女と一緒に異世界召喚され、お互い幽霊になりました。勇者たちよりも強い最強な俺たちですが、俺は彼女とラブコメしたいです

もぐすけ

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第六章 帝国

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「ワイン、私たちは西の森の向こうの王国から来たの。神社はあったけど、霊王は見なかったわよ」

「かつては西の王国にも何名かおりましたが、今は帝国に全員が集まっております」

「どうして?」

「帝国にいた方が神霊様に早くお会い出来ると思ったからです。西の王国は森に囲まれた孤島のような国ですので」

 ワインは宝物殿のドアを開けた。学校の体育館ほどの空間に倉庫用のスチール棚が整然と並び、数々の物品が格納されていた。

「すごい数だな。しかも、全部神器だ」

 俺は目を見張った。全て色がついている。

「神々からお預かりしている物です」

「これって太陽光発電の機器じゃないか」

 一つの棚にずらりと太陽光パネル、パワコン、蓄電池などが並んでいた。

「はい、太陽光発電システム一式です。霊王の一人は、ありとあらゆる工事の専門家で、彼が設置します」

「光回線の敷設とかも出来るのか?」

 俺は巻かれたケーブルが何本も置かれている棚を見ながら尋ねた。

「はい、出来ます」

「すごいじゃないか、霊王! ちなみにワインは何が得意なんだ?」

「私の専門は秘書です。御二方に常に随行するお役目を頂いております。私は人間と交渉できるように作られており、人間に姿を変えられる変身能力を有しております」

 あれ? ワインが少し得意そうだ。

「ほかにどんな専門職がいるの?」

 一人で神器を見回わっていたミサトが帰ってきた。

「農業、林業、水産業、戦闘、戦争、魔法、政治、経済、産業、科学です」

「まるで省庁のようね。女性はどれなの?」

「農業、水産業、戦闘、魔法、経済と私です」

「西の国の古代寺の宝物殿の部屋は霊王が作ったのか?」

「はい、左様でございます」

「人間が俺たちに普通に接することの出来る仕掛けも霊王が作ったのか?」

「はい、そうです。帝国にも寺はございます。寺は霊王と人間が交わるところでございます」

「え? エッチしちゃうの?」

 交わるイコールエッチってことはないと思うんだが、黙っておく。

「はい、必要であれば。私はちょっと無理ですが、二名ほど積極的にやっちゃうのがおりまして」

 まじか! その二名が気になるが、浴室が丸見えとか、何かレジャーホテルぽいと思ったら、そうだったのか。

「あなたたち、子は出来るの?」

「出来ないです。人間を操る手段として、性行為が有効であれば行うこともあります。神社を作らせて、私どもを祀らせるためでした」

「あの場所って人間が私たちを触れるよね。人間に害されたりしないの?」

「人間が私どもを害することは出来ません。魔法で霊視、霊話、霊触の能力が与えられるようにしています。触れることは出来ますが、攻撃することは出来ません」

 ミサトが何か考えている。きっとキララのことだろう。ミサトって、嫉妬深いんだよなあ。

「夢殿や五重の塔の二階に行けない仕組みは分かるか?」

「次元の断層でございますね。あれは隣接する世界との国境です。通過するにはビザが必要です」

「ビザ? 誰が発行してるの?」

 ミサトが食いついて来た。日本に帰れるかもしれないからな。

「相手側の世界の神々です」

「私たちは神々には会えないのかしら」

「いずれ神々からお声がかかるかとは思いますが、いつになるのかは分かりません」

 今までよく分からなかったことが次々と分かって行く。ひょっとして俺たちの転移って、勇者召喚とは無関係じゃないか?

「ワイン、俺たちが何処から来たか知っているか?」

「ええ、異世界に留学に行かれておられました。ちょっとお帰りが早いと思っていたのですが、何かあったのでしょうか」

 え? 帰って来たって、こっちが俺たちのホームなの!?
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