見知らぬ美女と一緒に異世界召喚され、お互い幽霊になりました。勇者たちよりも強い最強な俺たちですが、俺は彼女とラブコメしたいです

もぐすけ

文字の大きさ
上 下
35 / 91
第五章 古代寺

底なし沼

しおりを挟む
「気をつけよう。底なし沼だったら、俺たちでも埋まったまま、死んでしまうかも」

 俺たちも呼吸はしているので、底なし沼に入ったら窒息死するかもしれない。この呼吸が本当に酸素を必要とした生命維持のための行為なのか、ただの擬態なのか、よく分からないのだ。

 この一帯は沼が点在しているようだ。そして、あれだけ気をつけようと言っているにもかかわらず、ミサトが沼にはまった。ミサトはこういうドジっ子なところがある。

 俺はドジな女を見ると、イラッとするので、ドジっ子が嫌いだと思っていたのだが、ミサトのこういうところが可愛くて仕方がない。

「そうか、浮遊に切り替えれば、沈まないのか」

「ジタバタしないで、落ち着いてゆっくり動けば問題なかったわ」

 ミサトは沼から抜け出した。

「服がびしょ濡れだな」

「寒くも暑くもないから、このまま自然乾燥させればいいわよ」

「上着だけでも脱いで絞った方がいいんじゃないか」

「い、いいわよ、このままで」

 そ、そうか! 上着を脱いだら、襦袢も濡れていてスケスケなのかも!

「ま、まあ、そう言わず、ほら、絞ってあげるから、脱いでごらん」

「あのね、そんなスケベ面の男の前で脱ぐと思う?」

「いや、そんな顔はしていないぞ。水草や苔みたいなものもついているし、脱いだ方がいいのでは?」

「脱いでも、洗えるきれいな水がないでしょ。脱がないわよ」

 ちっ、頑固な奴め。かくなる上は!

「ちょっと、こんなところで、何するのよ!」

 無理矢理脱がそうとミサトに抱きつこうとしたら、俺も沼に落ちた。沼にどっぷりと浸かっている俺をみて、ミサトが大笑いしている。

「あなた、バカだよね?」

「俺も脱ぐから、ミサトも脱ぎなよ」

「まだ諦めないの? もう何度も私の裸見てるでしょ?」

「ミサト、お前、ひょっとして気づいてないな?」

「何をよ」

「お前の体は、それはそれは大変美しいものなんだ。うっとりしてしまう。何でここまできれいに造られているのか不思議に思うほどだ。こんなに美しいものは他にないんだよ」

「沼にどっぷり沈んだ男が何をほざいているのよ」

「あ、こら、頭を押すんじゃない……」

 ミサトが笑いながら、俺の頭を沼に沈めようとする。マジで死ぬぞ。

「本当にゆうきはスケベで困るわ」

 俺はようやく沼を脱出し、上着を脱いで水をしぼったが、結局ミサトは上着を脱がなかった。仕方がない、スケスケは我慢するか。

「上空に昇って、辺りを見回してくる」

 大きな森だ。まだ東の果てが見えない。どれぐらい来たのかを見るために、来た方向を振り返ったところ、おかしなことになっていた。

「ミサト、ちょっと昇って来てくれ。三百六十度森の果てが見えない。どうなってんだこれは?」

 ミサトも昇って来て、周囲をぐるりと見渡した。

「何なの? これ」

「一度、来た道を戻ろう。念のためにマークをつけて来たから、迷うことはないはずだ」

 俺たちは地上に降りて、元来た道を辿って帰った。往きと同じ二時間ちょっとで、無事に古代寺まで帰ってくることができた。正直かなりホッとした。

 もう一度、森に少しだけ入って上空に昇ってみた。

「なるほど、どういう仕組みなのか分からないが、上空から見ると延々と続く森しか見えないようになっているらしい」

 森に入ってすぐの場所なのに、古代寺が見えないのだ。ひょっとすると東の果てはそんなに遠くないのかもしれない。

「服を着替えて、シャワー浴びて来るわ。外で待っててよ」

「了解」

 本当はシャワーしているのを眺めていたいのだが、セクハラが続くなら出て行きます、と言われてはなあ。ミサトとはもう何回もしているのに、未だにこんな感じでガードが固い。

 ベッドが同じなので、寝ているときにはいたずらし放題だが、最後までは許してくれない。何かアピールできる手柄がないとダメなのだ。

 世の男性諸君はどうなのだろうか。こっちの世界の男はDV当たり前なので、好きなときにやっているに違いない。それはそれで女性が可哀想だし、味気ないかも。

 などと考えていたら、入って来ていいと言われた。辺りを見回してから、宝物殿の扉を開ける。今度は俺がシャワーを浴びる番だが、ミサトはベッドに寝転んで、携帯の写真を見ている。

 シャワールームがガラス張りで丸見え設計なので、ミサトが使うときは俺は建物の外に締め出されるわけだが、俺が使うときはミサトは出て行かない。まあ、見られた方が面白いので、いてくれた方がいいのだが、何だか不公平な気がする。

 シャワールームからミサトを見ていたら、目があった。俺はすかず、股をゴシゴシ洗ってみせた。ミサトが嫌そうな顔をした。俺はニッコリと笑って、今度はお尻を向けて尻の穴の辺りを洗って見せた。

 シャワールームから出ると、ミサトが冷たい笑みを浮かべていた。

「ねえ、私は何のショーを見せられたわけ?」

「普通に大切な場所を洗っていただけだぞ」

「ふん、悪いやつね、ゆうきは。私を大事にしないと、私から大事にされないぞ」

「大事にするから、もうそろそろ片栗粉使おうよ」

「もう、ゆうきはそればっかりね。仕方ないわね。じゃあ、森の東に出たら一回いいよ」

「マジかっ。今度はしっかり準備していこう。ちゃんと着替えも持って行こう!」

 次回は東に抜けて見せると俺は強く心に誓うのであった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

Link's

黒砂糖デニーロ
ファンタジー
この世界には二つの存在がいる。 人類に仇なす不死の生物、"魔属” そして魔属を殺せる唯一の異能者、"勇者” 人類と魔族の戦いはすでに千年もの間、続いている―― アオイ・イリスは人類の脅威と戦う勇者である。幼馴染のレン・シュミットはそんな彼女を聖剣鍛冶師として支える。 ある日、勇者連続失踪の調査を依頼されたアオイたち。ただの調査のはずが、都市存亡の戦いと、その影に蠢く陰謀に巻き込まれることに。 やがてそれは、世界の命運を分かつ事態に―― 猪突猛進型少女の勇者と、気苦労耐えない幼馴染が繰り広げる怒涛のバトルアクション!

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

神によって転移すると思ったら異世界人に召喚されたので好きに生きます。

SaToo
ファンタジー
仕事帰りの満員電車に揺られていたサト。気がつくと一面が真っ白な空間に。そこで神に異世界に行く話を聞く。異世界に行く準備をしている最中突然体が光だした。そしてサトは異世界へと召喚された。神ではなく、異世界人によって。しかも召喚されたのは2人。面食いの国王はとっととサトを城から追い出した。いや、自ら望んで出て行った。そうして神から授かったチート能力を存分に発揮し、異世界では自分の好きなように暮らしていく。 サトの一言「異世界のイケメン比率高っ。」

処理中です...