見知らぬ美女と一緒に異世界召喚され、お互い幽霊になりました。勇者たちよりも強い最強な俺たちですが、俺は彼女とラブコメしたいです

もぐすけ

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第三章 魔王城

携帯電話

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 俺たちはメルサたちの宿泊先に戻る途中だった。

 ミサトが浮遊しながら、自分の携帯をいじっている。

「お客さん、浮遊スマホご遠慮ください」

 俺のツッコミはスルーされた。と思いきや、ミサトがうんざりしていた。うんざり顔でもノーリアクションよりはよしとしよう。

 ミサトの携帯も圏外であるのは織り込み済みだったようで、あまりガッカリしていない様子だったが、俺の携帯とは通話できると思っていたらしい。

「だってこんなに近いじゃない」

 自信満々に言われたので、俺も赤外線とかBluetoothで話せるのかと色々操作してみたが、多分、通話できないんじゃないかな。断言できない自分が情けない。だが、近ければ直接話せるのに、携帯電話で話す必要はあるのだろうか?

「すまん。俺にはちょっと分からない」

「何よ、男のくせに頼りないわね」

 女ってのは、女らしくないとか言われると、差別だなんだとうるさいのに、男にはこうなんだよなあ。姉の記憶はないが、姉によく電球替えをやらされた記憶は残っていた。

 携帯電話で無線LANを使って、ピアツーピアの接続は理論的には出来そうだが、どうなんだろう。考えたこともなかった。いや、やはり、直接話せばいいよな。

 ミサトはもうそんなことは忘れて、写真を見ているようだ。

「レンとエリコ以外に記憶にある顔があるかどうかを確認しているのよ。多分、よく出て来るこの子が弟だと思う」

 ミサトはそう言って、写真を見せてくれた。

「ゲンムに似ているな」

「そうなのよ。私もビックリした。ゆうきは写真はあまり撮らないの?」

「俺は撮らないなあ。そうだ、ミサトとの貴重なツーショットが消されていたぞ」

「あれは肖像権の侵害よ。許可を取ってからの撮影をお願いします」

「じゃあ、許可をお願いします」

「仕方ないわね。一枚だけよ」

「マジで! お願いします」

「いいわよ」

 この前のときみたいにぴったりとくっついているわけではないが、いいツーショット写真を撮ることが出来て、俺は感激した。

 俺が大喜びで飛び跳ねているのを見て、

「男は単純でいいわね」

とミサトは呆れていた。

「そうそう、この写真とビデオって、人間は見えるのかな?」

「全然気づかなかった。早速試してみよう」

 ちなみに神器は俺たちが触れた瞬間に消えることは確認済みだ。手を離すと、人間にも見えるようになるので、俺たちの姿を見せることが出来るかもしれない。

 記憶にある顔は写真のなかにはなかったようで、ミサトは携帯のカメラをオンにして、魔区の町並みを見ていた。

***

 宿に着いて、早速さっきのツーショットの写真をメルサに見せた。メルサから見ると、突然目の前に携帯が出現するように見えるはずだ。

「何ですか? これは?」

『携帯っていうんだ。画面に写っている人たち見える?』

「ええ、白装束の若い男の人と巫女装束の女の人です。美男美女ですね。男の人、めちゃくちゃ格好いいです」

 あれ? メルサの目がとろんとしているぞ

「本当だ。格好いい人ですね。女の人の方も超絶美人じゃないですか。いったい誰なんです?」

 まさかのリアクションに俺たちだって言い出しにくくなってしまったではないか。

「ちょっと、私が綺麗なのは当然として、何でゆうきが格好いいのよ。不細工ではないけど、ひいき目に見ても中の上よね」

「俺にも分からないよ!」

 でも、ミサトは、自分が美人だってのは、やはり自覚はあるんだな。

『ちょっと待ってて、今度は動くのを見せるから』

俺はそう言って携帯を取り、今度はビデオモードで自撮りした。ミサトのビデオも収めて、再生しながらメルサの前に置いた。

「メルチン、ゆうくんだよ」
「ゲンムくん、ミサトだよ」

メルサとゲンムの二人がものすごく驚いている。何と二人して、携帯に向かって土下座してしまった。

『メルチン、どうした? 俺たちの姿を見せたんだよ』

「こ、神々しくて、恐れ多いです」

 ビデオが終わっても、しばらく二人は平伏したままで、俺とミサトは互いに顔を見合わせて、苦笑いだった。
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