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第三章 魔王城
勇者と聖女の暮らし
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魔王城は魔区と呼ばれる区域の中心にある。魔王城を中心に町が栄えていて、住民の大部分が魔王の眷属だ。
眷属というのは彼らがそう呼んでいるだけで、家臣のことだ。魔王は悪魔や魔族の王ではなく、魔区の王という意味だ。
魔区は悪魔や魔族が住んでいるのではなく、魔法使いが多く住んでいることから魔区と呼ばれている。
紛らわしいので魔法王か魔区王にしてほしい。俺もミサトもつい最近まで魔王は悪魔の王だと勘違いしていた。
「魔王はめちゃくちゃイケメンです。でも、十五歳のお子ちゃまですので、私は嫌いです。偉そうですしね」
メルサは眉をひそめた。
「魔王妃はすごい美女です。十五歳とは思えないほどスタイルも抜群です。でも、僕はメルサの方が好みです」
おっ、言うね、ゲンム。メルサが能面なのは気になるが。
「勇者も聖女も容姿はまあまあですが、ルックス勝負では、魔王と魔王妃に完敗ですね」
ゲンムは勇者と聖女を見たことがあるようだ。でも、あの二人がまあまあってのは採点が厳しいな。
レンはルックスは悪くなかった。俺の十倍、いや、五倍は格好いいだろう。芸能人と言われてもいいくらいのルックスだった。エリコもかなり美人で、間違いなく芸能人級だった。俺はミサトの方がエリコの百倍は綺麗だと思うが、エリコの方が好みという人もいるだろうと思う。
その二人が完敗って、どんな美男美女だ?
「ま、まあ、人間だから、俺たちにはどうでもいいかな」
「ええ、魔王なんてどうでいいわよ。さっさと充電ケーブルを入手するわよ」
メルサたちは魔王に正式に謁見する予定でいる。旅の公式の名目は魔区の進んだ魔法教育を学ぶ視察団ということで、魔法学園にも招待されている。
俺たちもそれに便乗して、色々見るつもりでいるが、その前に当初の目的をさっさと済ませるつもりだった。
メルサの親たちの事前調査によると、レンは町の旧貴族邸を住居としてあてがわれているらしい。早速俺たちはそこに向かった。
イメージ通りの庭付きの洋館があった。エリコの方はホテル住まいをしているらしい。まずはレンの方から捜索を開始した。レンは魔王城に行っていて留守のはずだ。
部屋が多くて難航するかと思ったが、レンは一部屋しか使っていなかった。だが、女を囲っているらしく、留守だったが、女性が住んでいると思われる部屋があった。ミサトは顔色一つ変えなかった
電源コードはあっけなく見つかった。初詣でのときに持っていたバッグが納戸にあり、そのなかにあったのだ。携帯もあったが、電池切れだった。
ミサトはここでも全く動揺することなく、淡々と荷物を確認していた。異世界のものは神器扱いで、全て触れることができた。
「電源コード以外は欲しいものはないわね。ゆうき、何か欲しいものある?」
「バッグが欲しい。神器の持ち運びに便利そうだ」
神器は重さを感じないのだが、増えて来ると運ぶのが面倒になると思った。
「いいわよ。このバッグ、実は私がクリスマスにプレゼントしたものなの。あなたに使って欲しいかも」
「じゃあ、中身だけ残っているのも変だから、バッグごと持って行くか」
「け、携帯は私が回収するわね」
えらい焦りようだな。写真かなにか入っているかもな。こういうところで、内面が外に全開しちゃうところがたまらなく可愛いな。
「OK、行こうか」
ミサトは早速自分の携帯の充電を始めている。俺たちは勇者邸を後にした。
「せっかくだから、エリコの神器も回収するか?」
「そうね。見るだけ見ようか」
俺たちはエリコの滞在しているホテルに向かった。エリコは小型のスイートルームに滞在していて、男を連れ込んで、まさにしている最中だった。
だが、俺たちには、犬か猫が交尾しているぐらいの感覚だった。
「ちょっと勘弁してよね」
とか言いながら、ミサトは構わず、エリコの荷物を物色していた。
俺はというと、犬猫とはいえ、交尾中は気まずい。女性の荷物を見るのもなんだし、部屋のあちこちを手持ち無沙汰に見て回った。
鏡台に写真立てがあり、写真が入っていた。驚いたことに、ミサトとのツーショットだった。
「何でこんな写真飾ってるのかしらね」
ミサトが後ろに来ていた。
「異世界に来て、色々と寂しいんじゃないか。男を連れ込んでいるのも、寂しさを紛らわしているかもな」
「ばかね、余計寂しくなるだけなのに」
俺はエリコが可哀想で庇護欲が出てしまって仕方がなかった。
「エリコに対する庇護欲が出てしまって仕方ないんだが」
「ゆうき、エリコには関わらないで、お願い」
そんな顔されたら、断れないじゃないか。
「分かった。関わらないよ」
俺たちはホテルを後にした。
眷属というのは彼らがそう呼んでいるだけで、家臣のことだ。魔王は悪魔や魔族の王ではなく、魔区の王という意味だ。
魔区は悪魔や魔族が住んでいるのではなく、魔法使いが多く住んでいることから魔区と呼ばれている。
紛らわしいので魔法王か魔区王にしてほしい。俺もミサトもつい最近まで魔王は悪魔の王だと勘違いしていた。
「魔王はめちゃくちゃイケメンです。でも、十五歳のお子ちゃまですので、私は嫌いです。偉そうですしね」
メルサは眉をひそめた。
「魔王妃はすごい美女です。十五歳とは思えないほどスタイルも抜群です。でも、僕はメルサの方が好みです」
おっ、言うね、ゲンム。メルサが能面なのは気になるが。
「勇者も聖女も容姿はまあまあですが、ルックス勝負では、魔王と魔王妃に完敗ですね」
ゲンムは勇者と聖女を見たことがあるようだ。でも、あの二人がまあまあってのは採点が厳しいな。
レンはルックスは悪くなかった。俺の十倍、いや、五倍は格好いいだろう。芸能人と言われてもいいくらいのルックスだった。エリコもかなり美人で、間違いなく芸能人級だった。俺はミサトの方がエリコの百倍は綺麗だと思うが、エリコの方が好みという人もいるだろうと思う。
その二人が完敗って、どんな美男美女だ?
「ま、まあ、人間だから、俺たちにはどうでもいいかな」
「ええ、魔王なんてどうでいいわよ。さっさと充電ケーブルを入手するわよ」
メルサたちは魔王に正式に謁見する予定でいる。旅の公式の名目は魔区の進んだ魔法教育を学ぶ視察団ということで、魔法学園にも招待されている。
俺たちもそれに便乗して、色々見るつもりでいるが、その前に当初の目的をさっさと済ませるつもりだった。
メルサの親たちの事前調査によると、レンは町の旧貴族邸を住居としてあてがわれているらしい。早速俺たちはそこに向かった。
イメージ通りの庭付きの洋館があった。エリコの方はホテル住まいをしているらしい。まずはレンの方から捜索を開始した。レンは魔王城に行っていて留守のはずだ。
部屋が多くて難航するかと思ったが、レンは一部屋しか使っていなかった。だが、女を囲っているらしく、留守だったが、女性が住んでいると思われる部屋があった。ミサトは顔色一つ変えなかった
電源コードはあっけなく見つかった。初詣でのときに持っていたバッグが納戸にあり、そのなかにあったのだ。携帯もあったが、電池切れだった。
ミサトはここでも全く動揺することなく、淡々と荷物を確認していた。異世界のものは神器扱いで、全て触れることができた。
「電源コード以外は欲しいものはないわね。ゆうき、何か欲しいものある?」
「バッグが欲しい。神器の持ち運びに便利そうだ」
神器は重さを感じないのだが、増えて来ると運ぶのが面倒になると思った。
「いいわよ。このバッグ、実は私がクリスマスにプレゼントしたものなの。あなたに使って欲しいかも」
「じゃあ、中身だけ残っているのも変だから、バッグごと持って行くか」
「け、携帯は私が回収するわね」
えらい焦りようだな。写真かなにか入っているかもな。こういうところで、内面が外に全開しちゃうところがたまらなく可愛いな。
「OK、行こうか」
ミサトは早速自分の携帯の充電を始めている。俺たちは勇者邸を後にした。
「せっかくだから、エリコの神器も回収するか?」
「そうね。見るだけ見ようか」
俺たちはエリコの滞在しているホテルに向かった。エリコは小型のスイートルームに滞在していて、男を連れ込んで、まさにしている最中だった。
だが、俺たちには、犬か猫が交尾しているぐらいの感覚だった。
「ちょっと勘弁してよね」
とか言いながら、ミサトは構わず、エリコの荷物を物色していた。
俺はというと、犬猫とはいえ、交尾中は気まずい。女性の荷物を見るのもなんだし、部屋のあちこちを手持ち無沙汰に見て回った。
鏡台に写真立てがあり、写真が入っていた。驚いたことに、ミサトとのツーショットだった。
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俺はエリコが可哀想で庇護欲が出てしまって仕方がなかった。
「エリコに対する庇護欲が出てしまって仕方ないんだが」
「ゆうき、エリコには関わらないで、お願い」
そんな顔されたら、断れないじゃないか。
「分かった。関わらないよ」
俺たちはホテルを後にした。
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