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第二章 学校生活
旅
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魔王城までは馬車で片道四日かかるという。
俺たちはメルサとゲンムの馬車に同乗していた。メルサが子供たちだけで馬車に乗りたいと父親に頼んだのだ。
本人たちさえその気であれば、メルサとゲンムを婚約させたいと日頃話していた父親たちは二つ返事で了承した。
拡声器を手にしたミサトがしゃべるしゃべる。ずっと話しっぱなしだった。長い間、俺としか話していないことが、ストレスだったのだろうか。
何だか可哀想になって、横顔をじっと見ていたら
「何よ」
と睨まれた。
「いや、ミサトって実はよくしゃべるんだなと思って」
「旅を盛り上げているだけよ」
「そうでしたか」
しまったなあ。話さなくなっちゃったよ。
「ごめん、余計なこと言った。盛り上げて下さい」
「思ったことをそのまま言うのは優しくないよ」
「ごめん。気をつける」
本当に反省しよう。
「よしっ、お詫びに俺が盛り上げる」
自信満々にそう言ってから気づいた。しまった。子供にウケる手品を見せようとしてた。俺は固まってしまった。
「どうしたの?」
「いや、手品を見せようとしてた」
「あなた、バカなの?」
「思ったことをそのまま言うのは優しくないと思う」
「あはは、バーカ」
拡声器から急に声がしなくなって、子供たちが心配し始めた。
「ミサトさん、何かありましたか?」
メルサが心配そうに聞いて来た。
『大丈夫。ゆうくんと少し話していたの。ねえ、学校で私たちのことを知ってる人は多いのかな』
「知っている人は多いです。でも、信じているのは私たちだけです」
メルサが答えた。
『そうなのね。信じる人を多くした方がいいと思う?」
「僕たち二人だけでいいです」
「そうですね。私も増やさなくていいと思います」
『じゃあ、このままでいいわね。ところで、あなたたち、強いんだってね。どれぐらいの腕なの?』
実は昨夜、ゲンムとメルサがペアを組んで、「戦闘リーグ」に参加しているという情報をつかんだのだ。もちろん「戦闘リーグ」が何なのかはよく分からない。ただ、昨日、ゲンムがメルサと話して顔を赤くしていたのは、どうやらメルサが好きだからという理由ではなさそうだ。
「え? 何で知ってるんですか? メルサ話した?」
メルサは首を横に振った。
「未成年リーグでは現在一位です。去年までは魔王と魔王妃のペアが一位でした」
この世界では、戦闘は男女でペアを組んで行うのが一般的だ。
『魔王は強いの?』
「強いです。魔王と魔王妃には、昨年まで未成年リーグで何度か対戦しましたが、一度も勝ったことがないです」
どうやら、戦闘リーグ関係の話はゲンムが答えるようだ。
『勇者と聖女は強いの?』
「はい、魔王と魔王妃より強いはずです。ただ、協力しないと強さは半減です。今の勇者と聖女は仲が悪いと聞いていますので、弱いかもしれません」
『王側で他に強いのはいるの』
「います。僕らは一般リーグだと王側では二十位に入れるかどうかだと思います。ところで、神様と女神様はお強いんでしょうか?」
『強いか弱いかでいえば、強いわよ。勇者や聖女でも相手にならないわ。実際に私一人で勇者と聖女に蹴りを入れたけど、泣きべそかいてたわよ』
「す、すごいです。ミサトさん」
『ちょっと違うのよ。あなたたち、私たちのこと見えないし、触れられないでしょう? 私たちはあなたたちのことがよく見えるし、殴る蹴るができるのよ』
「本当ですか? うわっ、トントンされましたっ!」
『私たちと戦うと、勇者や聖女でも、一方的にボコボコにされるのよ』
「さすが神様と女神様ですね」
ゲンムは心底感心したという感じだった。
『今回の私たちの目的は、勇者が持っている神器を奪い取ることよ。すぐ終わると思うから、その後は適当に暇を潰すわ』
馬車は最初の中継地である宿場町に到着した。
俺たちはメルサとゲンムの馬車に同乗していた。メルサが子供たちだけで馬車に乗りたいと父親に頼んだのだ。
本人たちさえその気であれば、メルサとゲンムを婚約させたいと日頃話していた父親たちは二つ返事で了承した。
拡声器を手にしたミサトがしゃべるしゃべる。ずっと話しっぱなしだった。長い間、俺としか話していないことが、ストレスだったのだろうか。
何だか可哀想になって、横顔をじっと見ていたら
「何よ」
と睨まれた。
「いや、ミサトって実はよくしゃべるんだなと思って」
「旅を盛り上げているだけよ」
「そうでしたか」
しまったなあ。話さなくなっちゃったよ。
「ごめん、余計なこと言った。盛り上げて下さい」
「思ったことをそのまま言うのは優しくないよ」
「ごめん。気をつける」
本当に反省しよう。
「よしっ、お詫びに俺が盛り上げる」
自信満々にそう言ってから気づいた。しまった。子供にウケる手品を見せようとしてた。俺は固まってしまった。
「どうしたの?」
「いや、手品を見せようとしてた」
「あなた、バカなの?」
「思ったことをそのまま言うのは優しくないと思う」
「あはは、バーカ」
拡声器から急に声がしなくなって、子供たちが心配し始めた。
「ミサトさん、何かありましたか?」
メルサが心配そうに聞いて来た。
『大丈夫。ゆうくんと少し話していたの。ねえ、学校で私たちのことを知ってる人は多いのかな』
「知っている人は多いです。でも、信じているのは私たちだけです」
メルサが答えた。
『そうなのね。信じる人を多くした方がいいと思う?」
「僕たち二人だけでいいです」
「そうですね。私も増やさなくていいと思います」
『じゃあ、このままでいいわね。ところで、あなたたち、強いんだってね。どれぐらいの腕なの?』
実は昨夜、ゲンムとメルサがペアを組んで、「戦闘リーグ」に参加しているという情報をつかんだのだ。もちろん「戦闘リーグ」が何なのかはよく分からない。ただ、昨日、ゲンムがメルサと話して顔を赤くしていたのは、どうやらメルサが好きだからという理由ではなさそうだ。
「え? 何で知ってるんですか? メルサ話した?」
メルサは首を横に振った。
「未成年リーグでは現在一位です。去年までは魔王と魔王妃のペアが一位でした」
この世界では、戦闘は男女でペアを組んで行うのが一般的だ。
『魔王は強いの?』
「強いです。魔王と魔王妃には、昨年まで未成年リーグで何度か対戦しましたが、一度も勝ったことがないです」
どうやら、戦闘リーグ関係の話はゲンムが答えるようだ。
『勇者と聖女は強いの?』
「はい、魔王と魔王妃より強いはずです。ただ、協力しないと強さは半減です。今の勇者と聖女は仲が悪いと聞いていますので、弱いかもしれません」
『王側で他に強いのはいるの』
「います。僕らは一般リーグだと王側では二十位に入れるかどうかだと思います。ところで、神様と女神様はお強いんでしょうか?」
『強いか弱いかでいえば、強いわよ。勇者や聖女でも相手にならないわ。実際に私一人で勇者と聖女に蹴りを入れたけど、泣きべそかいてたわよ』
「す、すごいです。ミサトさん」
『ちょっと違うのよ。あなたたち、私たちのこと見えないし、触れられないでしょう? 私たちはあなたたちのことがよく見えるし、殴る蹴るができるのよ』
「本当ですか? うわっ、トントンされましたっ!」
『私たちと戦うと、勇者や聖女でも、一方的にボコボコにされるのよ』
「さすが神様と女神様ですね」
ゲンムは心底感心したという感じだった。
『今回の私たちの目的は、勇者が持っている神器を奪い取ることよ。すぐ終わると思うから、その後は適当に暇を潰すわ』
馬車は最初の中継地である宿場町に到着した。
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