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復讐開始
地方貴族の攻略その2
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伯爵側がサービス内容に見入っていると、厨房から牛丼が運ばれて来た。
はやい!
「どうぞ、ご賞味ください」
リリアから勧められ、伯爵は一口牛丼を食べてみた。
うまい!
「こちらの定価ですが、1杯銅貨4枚です」
アーが値段を口にした。
安い!
伯爵は感激していた。まさかこんな調理法があるとは。
「ランスロットが考案した調理法です」
リリアが少し得意げに言ったように伯爵には聞こえた。後ろの美しすぎる護衛もなぜか得意げだ。
伯爵から見るとそれぞれ違ったタイプの美女が3人前にいて、交渉の場が非常に華やかに感じる。
伯爵は気がついたらあっという間に牛丼を平らげていた。執事と秘書も同じだ。護衛がうらやましそうにしている。
「持ち帰りもできますので、護衛の方の分もお弁当でご用意してあります。後ほどどうぞ」
リリアが護衛に微笑んだ。
護衛はリリアの魅力に真っ赤になりながらも、嬉しそうだ。
ここで、ランスロットから念話が入った。護衛は2人とも仲間認定だという。3人はまだ中立とのことだった。
アーが別のフリップを開いた。
「こちらは、我々が試算した税収見込みです。上段が飲食店の売上予想と税収見込み、下段が歓楽街の売上予想と税収見込みです。歓楽街の方はサービス内容によっては許可をいただけない場合がございますので、サービス別の売上予想と税収見込みを記載しています」
今後、5年間の税収の伸びがわかりやすく記載されている。
伯爵はうなった。
「確認しますが、これの対価は本当に私たちからの土地の提供と営業許可だけでよいのでしょうか?」
「はい、建築費用、従業員の募集、運営はすべてこちらでおこないます。従業員は領内雇用が原則ですので、雇用創出にも役立ちます」
にわかには信じがたい提案だ。伯爵側は成功したら大儲け、失敗しても損は一切ない。
「私たちは商売できれば、収益があがりますので、お互いにメリットがある提案だと自負しております」
リリア王女が押してくる。
そうだ。このリリア王女の存在も大きい。あまりにもうまい話過ぎるので、伯爵側が気づかない何らかのからくりがあるのかもしれない、とも疑ったりするのだが、王女が後見人の事業なのだ。王国のお墨付きをもらっているに等しい。
伯爵は決断した。
「はい。ありがたくご提案を受けさせていただきます。歓楽街についても、ざっとサービス内容に目を通しましたが、問題ございません。全サービスを認可させていただきますので、よろしくお願いします」
ランスロットから念話が入った。伯爵OK、執事OK、秘書NGとのことだった。
「ありがとうございます。ところで、秘書の方、どのあたりがご反対なのでしょうか?」
秘書は突然の突っ込みに度肝を抜かれた。
伯爵が驚いて秘書を見ている。
秘書がどう答えていいか焦っている間、アラがリリアに念話した。
(宗教上の理由で、歓楽街のほとんどに反対のようだ)
「失礼ですが、宗教上の理由でございますか?」
リリアが答えられないでいる秘書に確認した。
秘書は思い切って話した。
「はい。私の宗教では売春は大罪です。到底許容できないのです。伯爵さま、申し訳ございません」
「伯爵。反対の方は事業から外すようにお願いします。私どもは今回の秘書の方のように、賛成か反対かを判定できる能力を持つものがおりますので、心配でしたら、お連れしてください。判定をするようにします。なお、事業への妨害行為を見つけた場合には、伯爵の配下のものであってもその場で厳重処分いたしますので、あらかじめご了承ください」
「了解いたしました。優秀な秘書ですので、事業にはかかわらない別のところで活躍してもらうようにします」
「ご理解ありがとうございます。それでは、デザートにチョコレートをご用意しております」
チョコレートが運ばれて来た。
伯爵は一口つまんで感激し、絶対にこの人たちについて行こうと誓うのであった。
はやい!
「どうぞ、ご賞味ください」
リリアから勧められ、伯爵は一口牛丼を食べてみた。
うまい!
「こちらの定価ですが、1杯銅貨4枚です」
アーが値段を口にした。
安い!
伯爵は感激していた。まさかこんな調理法があるとは。
「ランスロットが考案した調理法です」
リリアが少し得意げに言ったように伯爵には聞こえた。後ろの美しすぎる護衛もなぜか得意げだ。
伯爵から見るとそれぞれ違ったタイプの美女が3人前にいて、交渉の場が非常に華やかに感じる。
伯爵は気がついたらあっという間に牛丼を平らげていた。執事と秘書も同じだ。護衛がうらやましそうにしている。
「持ち帰りもできますので、護衛の方の分もお弁当でご用意してあります。後ほどどうぞ」
リリアが護衛に微笑んだ。
護衛はリリアの魅力に真っ赤になりながらも、嬉しそうだ。
ここで、ランスロットから念話が入った。護衛は2人とも仲間認定だという。3人はまだ中立とのことだった。
アーが別のフリップを開いた。
「こちらは、我々が試算した税収見込みです。上段が飲食店の売上予想と税収見込み、下段が歓楽街の売上予想と税収見込みです。歓楽街の方はサービス内容によっては許可をいただけない場合がございますので、サービス別の売上予想と税収見込みを記載しています」
今後、5年間の税収の伸びがわかりやすく記載されている。
伯爵はうなった。
「確認しますが、これの対価は本当に私たちからの土地の提供と営業許可だけでよいのでしょうか?」
「はい、建築費用、従業員の募集、運営はすべてこちらでおこないます。従業員は領内雇用が原則ですので、雇用創出にも役立ちます」
にわかには信じがたい提案だ。伯爵側は成功したら大儲け、失敗しても損は一切ない。
「私たちは商売できれば、収益があがりますので、お互いにメリットがある提案だと自負しております」
リリア王女が押してくる。
そうだ。このリリア王女の存在も大きい。あまりにもうまい話過ぎるので、伯爵側が気づかない何らかのからくりがあるのかもしれない、とも疑ったりするのだが、王女が後見人の事業なのだ。王国のお墨付きをもらっているに等しい。
伯爵は決断した。
「はい。ありがたくご提案を受けさせていただきます。歓楽街についても、ざっとサービス内容に目を通しましたが、問題ございません。全サービスを認可させていただきますので、よろしくお願いします」
ランスロットから念話が入った。伯爵OK、執事OK、秘書NGとのことだった。
「ありがとうございます。ところで、秘書の方、どのあたりがご反対なのでしょうか?」
秘書は突然の突っ込みに度肝を抜かれた。
伯爵が驚いて秘書を見ている。
秘書がどう答えていいか焦っている間、アラがリリアに念話した。
(宗教上の理由で、歓楽街のほとんどに反対のようだ)
「失礼ですが、宗教上の理由でございますか?」
リリアが答えられないでいる秘書に確認した。
秘書は思い切って話した。
「はい。私の宗教では売春は大罪です。到底許容できないのです。伯爵さま、申し訳ございません」
「伯爵。反対の方は事業から外すようにお願いします。私どもは今回の秘書の方のように、賛成か反対かを判定できる能力を持つものがおりますので、心配でしたら、お連れしてください。判定をするようにします。なお、事業への妨害行為を見つけた場合には、伯爵の配下のものであってもその場で厳重処分いたしますので、あらかじめご了承ください」
「了解いたしました。優秀な秘書ですので、事業にはかかわらない別のところで活躍してもらうようにします」
「ご理解ありがとうございます。それでは、デザートにチョコレートをご用意しております」
チョコレートが運ばれて来た。
伯爵は一口つまんで感激し、絶対にこの人たちについて行こうと誓うのであった。
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