129 / 143
第十一章 ベラ、ブラ、パラ
フライング
しおりを挟む
アイシャが着替えて、部屋で正座して待っていると、ドアがノックされ、侍女がドアを開けた。
エリーゼが顔を出した。
「準備はいいわね」
「はい」
「では、侍女は下がらせて。リンリンサマをみたら、虜になってしまって、取り返しがつかなくなるから」
侍女たちは逃げるようにして部屋を出て行った。
「リンリンサマをお連れするね。リラックスしててよ」
「はい」
とはいうものの、顔が強張っているのをアイシャは自覚していた。
エリーゼが出て行って、子供を連れて戻ってきた。可愛らしい子供だ。
アイシャは子供を観察した。
(この子が神様?)
「アイシャさん、遠路はるばるありがとうございます。お疲れでしょうから、楽にしてください」
冷めた子供と言われてきたアイシャの心に感情の嵐が巻き起こる。
最初はそんなに感謝しないでくださいという強く恐縮してしまう感情、次に、私ごときにこんなにも優しくしてくれたという感動の感情だ。
「い、いえ、たいしたこと、、ないです」
こういうのがやっとだった。感情を抑え込むことができず、涙が溢れそうになる。
「エリーゼさん、アイシャさんにお飲み物などいかがでしょうか?」
「はい、そうですね。私が取ってまいります」
(こ、これがエリーゼさん!?)
アイシャは目を見張った。エリーゼは妖艶な笑みをリンリンに向け、輝くほどのオーラを放っている。あの愚痴をぐだぐだ言っていたエリーゼですらものすごく綺麗な人だとアイシャは思っていたが、ここにいる人は同じ人とは思えないぐらい、数段階美しさに磨きがかかっていて、まぶしいぐらいに美しい。
悪魔的な美しさ
とでもいうのだろう。
エリーゼが退室してしまって、アイシャとリンリンの2人きりになってしまった。さっきかけられた優しい言葉が、頭脳が明晰であるがゆえに頭でっかちになっていたアイシャの心に徐々に沁み込んできた。心が引っ掻き回されるような気分で、感情をうまくコントロールできない。
(そうだ、私は嬉しいんだ)
アイシャは優しくされて嬉しいのだと気づいた。すると、今まで我慢していた涙があふれだしてきた。もうだめだ。止められない。
リンリンがぎょっとしてアイシャを見ている。それはそうだろう。いきなり泣き始めたのだから。
「あれ? どうされました? 急に。 ご気分でも悪くなったのでしょうか?」
リンリンが小さい手でアイシャの背中をさすった。
(だめだ、これ以上優しくされると、私はどうかなってしまう)
アイシャがそう思ったとき、背中をさすっていたリンリンの小さな手が、アイシャのブラジャーのつなぎ目を偶然外してしまった。もうすぐ16歳という年齢の割に大きなアイシャの胸が、下着からポロリと落ちる。その振動が衣服を伝い、リンリンが何が起きたのかを察した。
その瞬間、アイシャの背中に置かれたリンリンの手から、アイシャの体に電撃のように快感がほとばしった。正座しているアイシャの太もも、ひざ、脛、足の指先、腕、肘、手の指先、腰、胸、首、口、鼻、目、耳、頭、といったすべての体の部位の隅々にまで快感が突き抜けた。
「ああああああああーん」
アイシャは自分でもびっくりするほど大きな声を発した後、正気が保てなくなった。次から次へとアイシャの全身に快感が襲ってくる。
気持ちよすぎて気持ち悪い。このままおかしくなってしまいそうで快感を止めてほしい、という冷静なアイシャはどこかに飛んでいってしまった。
服を脱ぎ棄て、アイシャが感じてしまっているところに手を当てる。感じすぎてしまうところを抑えたいが故の防衛本能だ。アイシャの心は野獣のように快楽を求めているが、体は危険信号を発して、快楽を抑えようとする。
そこには本能だけで動く人間が残っているだけだ。聡明なアイシャはもうどこにもいない。
これが死のダンス。
リンリンは慌てた。まさかこんなことになってしまうとは。仕方がない、数え年で16歳ということにしよう、と勝手な理由をつけ、すぐに神の使徒の儀式を始める。
「ぎやあああああああ」
という悲鳴が何度も何度も旅館にこだます。
何事かと従業員が駆けつけるが、それよりも早く駆けつけていたエリーゼたちに止められる。
耳をつんざく怒号が何度か聞こえたあと、それがだんだんと喘ぎ声に変わっていく。何が起きているのかを突き止める必要があるという使命感で粘っていた旅館の人達が、気まずそうにして帰っていく。
やがて声が聞こえなくなった。
なかからリンリンが出てきた。
「すいません。あとを頼みます。ちょっとした手違いでした」
エリーゼが答える。
「わかりました。客室に露天風呂がついていますので、そこで体を清めるよう侍女に伝えます。リンリンサマは予定時刻に大広間にいらしてください。アイシャちゃんは私がお連れします」
エリーゼが顔を出した。
「準備はいいわね」
「はい」
「では、侍女は下がらせて。リンリンサマをみたら、虜になってしまって、取り返しがつかなくなるから」
侍女たちは逃げるようにして部屋を出て行った。
「リンリンサマをお連れするね。リラックスしててよ」
「はい」
とはいうものの、顔が強張っているのをアイシャは自覚していた。
エリーゼが出て行って、子供を連れて戻ってきた。可愛らしい子供だ。
アイシャは子供を観察した。
(この子が神様?)
「アイシャさん、遠路はるばるありがとうございます。お疲れでしょうから、楽にしてください」
冷めた子供と言われてきたアイシャの心に感情の嵐が巻き起こる。
最初はそんなに感謝しないでくださいという強く恐縮してしまう感情、次に、私ごときにこんなにも優しくしてくれたという感動の感情だ。
「い、いえ、たいしたこと、、ないです」
こういうのがやっとだった。感情を抑え込むことができず、涙が溢れそうになる。
「エリーゼさん、アイシャさんにお飲み物などいかがでしょうか?」
「はい、そうですね。私が取ってまいります」
(こ、これがエリーゼさん!?)
アイシャは目を見張った。エリーゼは妖艶な笑みをリンリンに向け、輝くほどのオーラを放っている。あの愚痴をぐだぐだ言っていたエリーゼですらものすごく綺麗な人だとアイシャは思っていたが、ここにいる人は同じ人とは思えないぐらい、数段階美しさに磨きがかかっていて、まぶしいぐらいに美しい。
悪魔的な美しさ
とでもいうのだろう。
エリーゼが退室してしまって、アイシャとリンリンの2人きりになってしまった。さっきかけられた優しい言葉が、頭脳が明晰であるがゆえに頭でっかちになっていたアイシャの心に徐々に沁み込んできた。心が引っ掻き回されるような気分で、感情をうまくコントロールできない。
(そうだ、私は嬉しいんだ)
アイシャは優しくされて嬉しいのだと気づいた。すると、今まで我慢していた涙があふれだしてきた。もうだめだ。止められない。
リンリンがぎょっとしてアイシャを見ている。それはそうだろう。いきなり泣き始めたのだから。
「あれ? どうされました? 急に。 ご気分でも悪くなったのでしょうか?」
リンリンが小さい手でアイシャの背中をさすった。
(だめだ、これ以上優しくされると、私はどうかなってしまう)
アイシャがそう思ったとき、背中をさすっていたリンリンの小さな手が、アイシャのブラジャーのつなぎ目を偶然外してしまった。もうすぐ16歳という年齢の割に大きなアイシャの胸が、下着からポロリと落ちる。その振動が衣服を伝い、リンリンが何が起きたのかを察した。
その瞬間、アイシャの背中に置かれたリンリンの手から、アイシャの体に電撃のように快感がほとばしった。正座しているアイシャの太もも、ひざ、脛、足の指先、腕、肘、手の指先、腰、胸、首、口、鼻、目、耳、頭、といったすべての体の部位の隅々にまで快感が突き抜けた。
「ああああああああーん」
アイシャは自分でもびっくりするほど大きな声を発した後、正気が保てなくなった。次から次へとアイシャの全身に快感が襲ってくる。
気持ちよすぎて気持ち悪い。このままおかしくなってしまいそうで快感を止めてほしい、という冷静なアイシャはどこかに飛んでいってしまった。
服を脱ぎ棄て、アイシャが感じてしまっているところに手を当てる。感じすぎてしまうところを抑えたいが故の防衛本能だ。アイシャの心は野獣のように快楽を求めているが、体は危険信号を発して、快楽を抑えようとする。
そこには本能だけで動く人間が残っているだけだ。聡明なアイシャはもうどこにもいない。
これが死のダンス。
リンリンは慌てた。まさかこんなことになってしまうとは。仕方がない、数え年で16歳ということにしよう、と勝手な理由をつけ、すぐに神の使徒の儀式を始める。
「ぎやあああああああ」
という悲鳴が何度も何度も旅館にこだます。
何事かと従業員が駆けつけるが、それよりも早く駆けつけていたエリーゼたちに止められる。
耳をつんざく怒号が何度か聞こえたあと、それがだんだんと喘ぎ声に変わっていく。何が起きているのかを突き止める必要があるという使命感で粘っていた旅館の人達が、気まずそうにして帰っていく。
やがて声が聞こえなくなった。
なかからリンリンが出てきた。
「すいません。あとを頼みます。ちょっとした手違いでした」
エリーゼが答える。
「わかりました。客室に露天風呂がついていますので、そこで体を清めるよう侍女に伝えます。リンリンサマは予定時刻に大広間にいらしてください。アイシャちゃんは私がお連れします」
0
お気に入りに追加
644
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。


少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる