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第九章 アルデラルド
結婚式
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今回のアルデラルドの第3王女メイリンはリンリンのところへの輿入れという形で来てもらうことになった。
そのため、瞬間移動では味気ないということになり、やはりリリスから王都郊外の城を貸してもらうことになった。
没落貴族から借金の形に取り上げた城をリリスの好みに修復したもので、湖の真ん中ではないが、湖畔に立てられた古風で味のあるお城だ。それはいいのだが、非常に面倒くさいことになった。
リリスたちが婚儀に参列するというのである。すると、ラクタたちも参列すると言って聞かなくなり、12年後に結成が予定されていた天界魔界お姉さま軍団の一部が参列することになった。しかも、ラクタたちは依り代を使わず、降臨するとのことだ。それはちょっとまずいです、とマリが必死に説得するが、リンリンが「まっ、別にいいんじゃない? 神の使徒になるんだし」って言ってしまったため、決定事項となった。
ラクタやリリスたちを下座に置くわけにはいかないため、上座の玉座の位置にリンリン、その左右に豪華な白い椅子と渋い艶消しの黒い椅子を並べ、右手にラクタ、リンダ、フレア、アース、左手にリリス、エキドナ、イザベラ、ラミアが座ることになっている。
ラクタたち女神軍団は空から光とともに降臨する演出を考えており、それを聞いたラミアたちが対抗し、黒煙とともに瞬間移動で現れるという。主役の花嫁がかわいそうになるようなド派手な演出になりそうだ。
そして、前回と同じで、リンリンの左手に妻軍団、右手に愛人軍団を並ばせるが、マリは正妻であるため、リンリンの隣の席に座ることになった。
なお、王女枠は妻扱いとすることにし、ロザンヌが妻の末席に位置する形となった。
また、今回は輿入れする王家の親族の参加も許可されており、大広間の入り口近くに教会にあるようなベンチと机を用意していた。王室の面々が参加する予定で、キャサリン王太后、ロデッサ貴妃、シルビア皇太子妃も参加者リストに名を連ねていた。
そして、結婚式当日、はるばる王宮から2日間かけて到着した長い長い輿入れの列が城内に入ってきた。
参列者たちは馬車を降り、大広間に通される。大広間の天井は高く、豪華なシャンデリアがいくつも釣り下がっており、側面は綺麗な美しいステンドグラスの窓となっている。
奥の方の玉座には子供が座っている。その左に美しい妃がほほ笑みを浮かべながら座っており、左右に白と黒の椅子が4つずつ用意されている。しかし、この8席の主は不在だ。
リンリンにつながるバージンロードの左側には白っぽい衣装を着た美しい女性が12名、そして、右側には黒っぽい衣装を着たこれまた美しい女性が11名、バージンロードを挟んでお互いに見合う形で、道に沿って一列に腰掛けている。ダルムンドのロザンヌ姫は、左側の12番目の末席にその姿があった。
先日嫁いだ王女が末席に座していることは、メイリンが嫁いだ後、さらに末席に置かれるという力関係を示していた。それでも嫁いでこいという王と王妃の決意は、リンリンがアルデラルド国にとって非常に重要な存在であることを物語っていた。
参列者たちはリンリン側の参加者を確認しながら、自分のネームプレートが書かれた椅子に腰掛けた。
本日の主役のメイリンがカイザー王とマリアンヌ妃に連れられ、入場してきた。マリアンヌは途中で席に座り、カイザー王が娘のメイリンをエスコートして、バージンロードを歩んでいく。リンリンが玉座をおり、バージンロードまで歩いて行き、カイザー王からメイリンを譲り受ける形を取った。
そのとき、荘厳なパイプオルガンの曲が流れだした。妻側の筆頭の位置にいる女性がキレイな声で紹介を開始した。
「魔界より、リリス様、エキドナ様、イザベラ様、ラミア様がお越しです」
参列者がざわついた。「魔界?」という声が聞こえる。
玉座の右側の黒い席のあたりに黒くおぞましいオーラが揺らめきだし、やがて大きな黒煙の柱が4つの椅子から立ち昇る。そして、それらがゆっくりとうねり始めたと思った瞬間、何事もなかったかのように煙は消え、そこには美しい4人の悪魔たちが座っていた。
その圧倒的な存在感に、バージンロードにいる王が、リンリンの手を取っているメイリンが、そしてベンチに座っている参列者全員が恐怖を感じた。
その恐怖をうち払うかのような讃美歌が流れ始めた。愛人側筆頭の位置にいる女性がすっと席を立ち、こちらも美しい声で紹介を始める。
「天界より、女神ラクタ様、女神リンダ様、女神フレア様、女神アース様がご降臨です」
参列者が先ほどよりもさらに大きくざわついた。「天界? 女神様?」という声が聞こえる。
ステンドグラスから光が入り、リンリンの左側の白い席まで光の道ができる。そして、雷鳴とともに光の道がかき消され、美しい4人の女神が優雅に椅子に座っていた。先ほどの悪魔達とは違い、温かなオーラで会場を包む。
参列者達はほっとため息をついた。だが、ちょっと待てよ。悪魔とか女神とかいったい何の会合だ? 参列者である人間達が、自分の理解を超えた超常現象にざわめき出す。
妻側の末席のキョウコが参列者に向かって説明する。
「リンリン様は人間界に君臨される神です。本日ご降臨された女神様は、リンリン様の直属の部下の方々です。また、ご参列頂いている悪魔は我ら妻11名を眷属とするマスターのファミリーであられます。愛人12名はリンリン様の神の使徒です。メイリンも本日神の使徒となり、永遠の時を我らと歩むことになるのです」
王室の参列者がこの大広間で末席のベンチに座らされているのは、そういうことだ。彼らは人間であり、神や悪魔に生かされている存在なのだ。
リンリンが立ち上がって王たちに話す。
「メイリンは預かりました。幸せにしますよ。またいつでも会えますから、今日はこれにて失礼します」
リンリン達全員が瞬時に消え、大広間は静寂に包まれた。
そのため、瞬間移動では味気ないということになり、やはりリリスから王都郊外の城を貸してもらうことになった。
没落貴族から借金の形に取り上げた城をリリスの好みに修復したもので、湖の真ん中ではないが、湖畔に立てられた古風で味のあるお城だ。それはいいのだが、非常に面倒くさいことになった。
リリスたちが婚儀に参列するというのである。すると、ラクタたちも参列すると言って聞かなくなり、12年後に結成が予定されていた天界魔界お姉さま軍団の一部が参列することになった。しかも、ラクタたちは依り代を使わず、降臨するとのことだ。それはちょっとまずいです、とマリが必死に説得するが、リンリンが「まっ、別にいいんじゃない? 神の使徒になるんだし」って言ってしまったため、決定事項となった。
ラクタやリリスたちを下座に置くわけにはいかないため、上座の玉座の位置にリンリン、その左右に豪華な白い椅子と渋い艶消しの黒い椅子を並べ、右手にラクタ、リンダ、フレア、アース、左手にリリス、エキドナ、イザベラ、ラミアが座ることになっている。
ラクタたち女神軍団は空から光とともに降臨する演出を考えており、それを聞いたラミアたちが対抗し、黒煙とともに瞬間移動で現れるという。主役の花嫁がかわいそうになるようなド派手な演出になりそうだ。
そして、前回と同じで、リンリンの左手に妻軍団、右手に愛人軍団を並ばせるが、マリは正妻であるため、リンリンの隣の席に座ることになった。
なお、王女枠は妻扱いとすることにし、ロザンヌが妻の末席に位置する形となった。
また、今回は輿入れする王家の親族の参加も許可されており、大広間の入り口近くに教会にあるようなベンチと机を用意していた。王室の面々が参加する予定で、キャサリン王太后、ロデッサ貴妃、シルビア皇太子妃も参加者リストに名を連ねていた。
そして、結婚式当日、はるばる王宮から2日間かけて到着した長い長い輿入れの列が城内に入ってきた。
参列者たちは馬車を降り、大広間に通される。大広間の天井は高く、豪華なシャンデリアがいくつも釣り下がっており、側面は綺麗な美しいステンドグラスの窓となっている。
奥の方の玉座には子供が座っている。その左に美しい妃がほほ笑みを浮かべながら座っており、左右に白と黒の椅子が4つずつ用意されている。しかし、この8席の主は不在だ。
リンリンにつながるバージンロードの左側には白っぽい衣装を着た美しい女性が12名、そして、右側には黒っぽい衣装を着たこれまた美しい女性が11名、バージンロードを挟んでお互いに見合う形で、道に沿って一列に腰掛けている。ダルムンドのロザンヌ姫は、左側の12番目の末席にその姿があった。
先日嫁いだ王女が末席に座していることは、メイリンが嫁いだ後、さらに末席に置かれるという力関係を示していた。それでも嫁いでこいという王と王妃の決意は、リンリンがアルデラルド国にとって非常に重要な存在であることを物語っていた。
参列者たちはリンリン側の参加者を確認しながら、自分のネームプレートが書かれた椅子に腰掛けた。
本日の主役のメイリンがカイザー王とマリアンヌ妃に連れられ、入場してきた。マリアンヌは途中で席に座り、カイザー王が娘のメイリンをエスコートして、バージンロードを歩んでいく。リンリンが玉座をおり、バージンロードまで歩いて行き、カイザー王からメイリンを譲り受ける形を取った。
そのとき、荘厳なパイプオルガンの曲が流れだした。妻側の筆頭の位置にいる女性がキレイな声で紹介を開始した。
「魔界より、リリス様、エキドナ様、イザベラ様、ラミア様がお越しです」
参列者がざわついた。「魔界?」という声が聞こえる。
玉座の右側の黒い席のあたりに黒くおぞましいオーラが揺らめきだし、やがて大きな黒煙の柱が4つの椅子から立ち昇る。そして、それらがゆっくりとうねり始めたと思った瞬間、何事もなかったかのように煙は消え、そこには美しい4人の悪魔たちが座っていた。
その圧倒的な存在感に、バージンロードにいる王が、リンリンの手を取っているメイリンが、そしてベンチに座っている参列者全員が恐怖を感じた。
その恐怖をうち払うかのような讃美歌が流れ始めた。愛人側筆頭の位置にいる女性がすっと席を立ち、こちらも美しい声で紹介を始める。
「天界より、女神ラクタ様、女神リンダ様、女神フレア様、女神アース様がご降臨です」
参列者が先ほどよりもさらに大きくざわついた。「天界? 女神様?」という声が聞こえる。
ステンドグラスから光が入り、リンリンの左側の白い席まで光の道ができる。そして、雷鳴とともに光の道がかき消され、美しい4人の女神が優雅に椅子に座っていた。先ほどの悪魔達とは違い、温かなオーラで会場を包む。
参列者達はほっとため息をついた。だが、ちょっと待てよ。悪魔とか女神とかいったい何の会合だ? 参列者である人間達が、自分の理解を超えた超常現象にざわめき出す。
妻側の末席のキョウコが参列者に向かって説明する。
「リンリン様は人間界に君臨される神です。本日ご降臨された女神様は、リンリン様の直属の部下の方々です。また、ご参列頂いている悪魔は我ら妻11名を眷属とするマスターのファミリーであられます。愛人12名はリンリン様の神の使徒です。メイリンも本日神の使徒となり、永遠の時を我らと歩むことになるのです」
王室の参列者がこの大広間で末席のベンチに座らされているのは、そういうことだ。彼らは人間であり、神や悪魔に生かされている存在なのだ。
リンリンが立ち上がって王たちに話す。
「メイリンは預かりました。幸せにしますよ。またいつでも会えますから、今日はこれにて失礼します」
リンリン達全員が瞬時に消え、大広間は静寂に包まれた。
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