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第八章 ダルムンド

故郷

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エーデンリッヒ城に転移した。ラクタホムンクルスとマリも一緒である。

マリは一歳の頃の俺に会いに一度来たそうだ。

「ラクタさん、ホムンクルスの人たちのことフローラさんたちにバレちゃいましたよ」

「まあ、いつかバレるわよ。これに懲りて、もう女を増やさないことね」

「ウェイティングリストのことも知っていて、ラクタさんとリリスさん一家が終わった後は潰すって言ってましたよ」

「そう。でも、相手は百戦錬磨の女神と貴族級の悪魔よ。ちょっと分が悪いんじゃない」

「何となくですけど、ウェイティングリストの身内リストと言われている12番までを俺のお姉様軍団として、戦わせるんじゃないでしょうか」

「ああ、身内の12人ね。私、リリス、リンダ、インスト、エキドナ、イザベラ、ラミア、フレア、アース、リブル、ラブル、テレサだね」

「え? 天器部関係の女神全員ですか?」

「そうよ、当たり前じゃない。身内に肩身のせまい思いはさせられないでしょ?」

「職場の人全員とそういう関係になるってどうなのかなあ」

「前にも言ったけど、女神はその辺気にしないのよ。部内旅行に一緒に行くのと変わりないわよ」

「そうですか。ところで、悪魔の女王は俺に興味ないのでしょうか?」

「知られたらえらいことになるから、知られないようにしてるのよ。女神と悪魔があなたを守ってるってのは、レイラから守ってるのよ。まあ、今はじじ神を追いかけまわしているから大丈夫だけど。じじ神にもバラさないようにと女神全員で嘆願しているから大丈夫よ」

「分かりました。まずは離れに行きますか」

俺が城にいた頃に住んでいた離れは、当時のまま変わっていなかった。セシリさんのことを思い出してしまった。

「セシリさんはどこに転生したんでしたっけ?」

「ああ、この世界よ。もうすぐ会えるわよ」

「え?」

「そう、あなたの腹違いの妹よ。まだ1歳よ」

「継母の娘ですか? 自分を殺した人が母親って!?」

「別に何もしてないわよ。機械がランダムで選んだ結果よ。私もすごく驚いたのだけどね」

「じゃあ、母家に行きますか」

俺とラクタホムンクルスとマリは3人で屋敷の敷地内を堂々と母家まで歩いた。

「坊ちゃん!?」

執事が俺に気づいて、笑顔で近づいてきた。

「あ、久しぶり。今帰ったんだけど、母さまはいらっしゃる?」

「はい、母家にいらっしゃいます。よくお戻りになられました! リチャードさま、レイモンドさまもいらっしゃいます。あとリンリン坊ちゃんがいなくなってしまわれた後にお生まれになったセイラさまもいらっしゃいます」

母家に入ると、リビングに継母と2人の弟がいた。セイラはベビーベッドに寝かされているようだ。

「リンリン」

継母が驚いた顔でこちらを見ている。

「やあ、母さま、久しぶり」

「リンリン、よく無事に帰ったわね。その人たちはどなた?」

「こちらは妻のマリ、こちらは女神ラクタ様」

「妻? 女神? あなたは何を言っているの?」

「母さま、もう俺を殺そうとしたことは恨んでないし、セシリおばさんを殺したことも許してあげるよ。そこのリチャードに伯爵家を継がせるといい」

「何を言ってるの?」

この女に俺のスキルが効かないのは、俺のことを心底嫌っているからだ。

心が悪意一色であるため、インストの加護を使うと正気でなくなると思う。どうしようかな。

「伯爵家の後継になる気はないから、母さまの希望通り、リチャードに継がせるといいって言ったんだ」

おおっ、すごいな。全く心の色が変わらない。この女、真っ黒だ。

「おい、リチャード、俺の言っていることはわかるな?」

「ママ、お兄ちゃん、怖いよ」

あ、こいつもか。この親子はなぜこんなに俺に敵意を持つんだ?

「母さま、そこのセイラは大事に育てるんでしょ?」

「そうよ。伯爵家の娘として、立派に育てて、然るべきところに嫁がせるわ」

うーん、こいつ、不合格だな。

「母さまは何を望んでいるの? 何がしたいの?」

「我が伯爵家の繁栄よ」

「母さまは心が真っ黒になっちゃってるから、まずはその夢、潰しちゃおうか。ちょっと待っててね。王に会って来るから」

「リンリン、あなたはさっきから何を言っているのよ!」

このままではセイラが不幸になってしまうため、腹黒継母を改心させる必要がある。俺とラクタホムンクルスとマリはこの国の王宮へと転移した。

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