44 / 143
第三章 旅
新たな加護
しおりを挟む
翌朝、リンリンをむしゃぶりつくしたインストが、お礼をしたいと言い出した。
「少年、とっても気持ちよかったわあ。よし、お礼に加護を与えちゃおう」
<「女神インストの加護」を取得しました>
(あ、加護をいただいた)
「あれ? なんだか猛烈な倦怠感が・・・」
そう言い残して、インストさんはぱったりと気絶してしまった。
(ど、どうしよう。きっとLv9999の加護を与えてしまった反動だ)
俺はスキルステータスを見てみた。やはり、Lv9999で取得している
種族 人 Lv5
スキル 優しさ Lv9999、感謝の気持ち Lv9999、女神ラクタの加護 Lv9999、怒りの鉄拳 Lv9999、悦ばせる心 Lv9999、女神インストの加護 Lv9999
(もうすぐ、ラクタさんが来る時間だ。ラクタさん、ラクタさんっ!)
「おっ、少年、あなたから呼ぶなんてめずらしいって、あっ、姉さんがまだいる!」
(ラクタさん、お姉さんの様子がおかしいんですよ。加護をくれた途端に意識がなくなってしまって)
「え? 姉さんがあなたに加護を与えたの? あっ、それ、まずい。加護がそろって、女神2人も揃うとき・・・」
<「姉妹神インストラクタの加護」を取得しました>
(え? また加護が増えた?)
「リンリンっ! 姉さんの額にあなたの額を合わせて・・・。私も気が遠くなるぅ・・・」
(え? こうでしょうか)
「・・・ょぃ」
(あっ、ラクタさんの存在感が消えた。あれっ? インストさんの顔が別人になっている! 2人ともうまく天界に帰れたのかな?)
・・・
(この別人の女性もすごい美人だな)
時間になっても出てこないインストさんにしびれを切らしたフローラさんがテントに入って来た。
「インストさん、もうそろそろタイムオーバーですよ」
そう声をかけたフローラさんが、インストさんの顔を見て言葉を失っている。
(まずい! 状況の説明をしなければ)
「あ、フローラさん、実は・・・」
うおっ、どんどん気温が下がっていく。
「リンリン君、この人、だあれ?」
「え? インストさんです」
「髪の色も違うし、顔も違うわよ。誰なのよ、この人は!」
「ほ、本当にインストさんです。ほ、ほら、ここにホクロがっ」
「私はインストさんのホクロがうなじにあるなんて知らないの。人相しか知らないのよ。この人は誰っ」
「えーと、どうしたらいいのかな。えっとえっと、そうだっ!
女使いの名において、我が妻たちに命ずる。撤退! 自身のテントに帰還せよ!」
「あっ、こら、リンリン君、覚えてなさいっ」
フローラさんはものすごい勢いでテントを飛び出して、自分のテントに戻っていった。
(ふー、参ったな。えっとこの人、どうしようか)
しばらく、善後策を練っていると、ユカリさんが血相を変えて、俺のテントに入り込んできた。
「ちょっと、リンリンさん、フローラ姉さまがご自分のテントのなかで、のの字を書いてるんだけど、何したのよっ」
「あ、ユカリさん! そうだ、ユカリさん、フローラさんに説明してくださいよ。フローラさんが頭に血が上っちゃって、僕の言うことを信じてくれないんですよ」
俺はユカリさんに今朝インストさんに起きたことを説明した。
「で、インストさんは女神様で、人間に憑依していて、天界に帰ったから、別人になった、とそういうこと?」
「はい、そうです」
「・・・、嘘なら、もっとうまい嘘をつくはずよね。リンリンさん、何度も聞いたけど、あなた何者? まあ、いいわよ。お姉さまに説明してあげる。一緒に来て。まずはお姉さまを正気に戻してちょうだい」
俺とユカリさんでフローラさんのテントに入り、2人で必死に説明をして、何とかフローラさんに理解してもらった。
(いやあ、フローラさん、寛大なのかと思ったら、全然違うのね)
とりあえず、インストさんが憑依していた女の人は、フローラさんからシックスダイスにお返ししてもらうことにした。
シックスダイスのテントは、リンズの拠点から30メートルほど離れて設置してもらっていた。
「えーっと、この方はどなた?」
突然、見ず知らずの気絶した女性をフローラから渡されて、オスカルは困惑していた。
「オスカル、あなたリーダーのくせに、見てわからないの? インストさんよ。ほら、ここにホクロがあるでしょ」
「ホクロの位置まで知らないわよっ」
「いい? 確かにお返ししたからね」
フローラは問答無用で元インストをオスカルに押し付けて立ち去った。
「少年、とっても気持ちよかったわあ。よし、お礼に加護を与えちゃおう」
<「女神インストの加護」を取得しました>
(あ、加護をいただいた)
「あれ? なんだか猛烈な倦怠感が・・・」
そう言い残して、インストさんはぱったりと気絶してしまった。
(ど、どうしよう。きっとLv9999の加護を与えてしまった反動だ)
俺はスキルステータスを見てみた。やはり、Lv9999で取得している
種族 人 Lv5
スキル 優しさ Lv9999、感謝の気持ち Lv9999、女神ラクタの加護 Lv9999、怒りの鉄拳 Lv9999、悦ばせる心 Lv9999、女神インストの加護 Lv9999
(もうすぐ、ラクタさんが来る時間だ。ラクタさん、ラクタさんっ!)
「おっ、少年、あなたから呼ぶなんてめずらしいって、あっ、姉さんがまだいる!」
(ラクタさん、お姉さんの様子がおかしいんですよ。加護をくれた途端に意識がなくなってしまって)
「え? 姉さんがあなたに加護を与えたの? あっ、それ、まずい。加護がそろって、女神2人も揃うとき・・・」
<「姉妹神インストラクタの加護」を取得しました>
(え? また加護が増えた?)
「リンリンっ! 姉さんの額にあなたの額を合わせて・・・。私も気が遠くなるぅ・・・」
(え? こうでしょうか)
「・・・ょぃ」
(あっ、ラクタさんの存在感が消えた。あれっ? インストさんの顔が別人になっている! 2人ともうまく天界に帰れたのかな?)
・・・
(この別人の女性もすごい美人だな)
時間になっても出てこないインストさんにしびれを切らしたフローラさんがテントに入って来た。
「インストさん、もうそろそろタイムオーバーですよ」
そう声をかけたフローラさんが、インストさんの顔を見て言葉を失っている。
(まずい! 状況の説明をしなければ)
「あ、フローラさん、実は・・・」
うおっ、どんどん気温が下がっていく。
「リンリン君、この人、だあれ?」
「え? インストさんです」
「髪の色も違うし、顔も違うわよ。誰なのよ、この人は!」
「ほ、本当にインストさんです。ほ、ほら、ここにホクロがっ」
「私はインストさんのホクロがうなじにあるなんて知らないの。人相しか知らないのよ。この人は誰っ」
「えーと、どうしたらいいのかな。えっとえっと、そうだっ!
女使いの名において、我が妻たちに命ずる。撤退! 自身のテントに帰還せよ!」
「あっ、こら、リンリン君、覚えてなさいっ」
フローラさんはものすごい勢いでテントを飛び出して、自分のテントに戻っていった。
(ふー、参ったな。えっとこの人、どうしようか)
しばらく、善後策を練っていると、ユカリさんが血相を変えて、俺のテントに入り込んできた。
「ちょっと、リンリンさん、フローラ姉さまがご自分のテントのなかで、のの字を書いてるんだけど、何したのよっ」
「あ、ユカリさん! そうだ、ユカリさん、フローラさんに説明してくださいよ。フローラさんが頭に血が上っちゃって、僕の言うことを信じてくれないんですよ」
俺はユカリさんに今朝インストさんに起きたことを説明した。
「で、インストさんは女神様で、人間に憑依していて、天界に帰ったから、別人になった、とそういうこと?」
「はい、そうです」
「・・・、嘘なら、もっとうまい嘘をつくはずよね。リンリンさん、何度も聞いたけど、あなた何者? まあ、いいわよ。お姉さまに説明してあげる。一緒に来て。まずはお姉さまを正気に戻してちょうだい」
俺とユカリさんでフローラさんのテントに入り、2人で必死に説明をして、何とかフローラさんに理解してもらった。
(いやあ、フローラさん、寛大なのかと思ったら、全然違うのね)
とりあえず、インストさんが憑依していた女の人は、フローラさんからシックスダイスにお返ししてもらうことにした。
シックスダイスのテントは、リンズの拠点から30メートルほど離れて設置してもらっていた。
「えーっと、この方はどなた?」
突然、見ず知らずの気絶した女性をフローラから渡されて、オスカルは困惑していた。
「オスカル、あなたリーダーのくせに、見てわからないの? インストさんよ。ほら、ここにホクロがあるでしょ」
「ホクロの位置まで知らないわよっ」
「いい? 確かにお返ししたからね」
フローラは問答無用で元インストをオスカルに押し付けて立ち去った。
0
お気に入りに追加
644
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
女男の世界
キョウキョウ
ライト文芸
仕事の帰りに通るいつもの道、いつもと同じ時間に歩いてると背後から何かの気配。気づいた時には脇腹を刺されて生涯を閉じてしまった佐藤優。
再び目を開いたとき、彼の身体は何故か若返っていた。学生時代に戻っていた。しかも、記憶にある世界とは違う、極端に男性が少なく女性が多い歪な世界。
男女比が異なる世界で違った常識、全く別の知識に四苦八苦する優。
彼は、この価値観の違うこの世界でどう生きていくだろうか。
※過去に小説家になろう等で公開していたものと同じ内容です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
Age43の異世界生活…おじさんなのでほのぼの暮します
夏田スイカ
ファンタジー
異世界に転生した一方で、何故かおじさんのままだった主人公・沢村英司が、薬師となって様々な人助けをする物語です。
この説明をご覧になった読者の方は、是非一読お願いします。
※更新スパンは週1~2話程度を予定しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる