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第二章 小屋
盗賊 採用
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面接待ちの人には申し訳なかったが、2人が落ち着くまで、待ってもらっていた。
10分ほど2人でわんわん泣いて、ようやく落ち着いたので、面接を再開した。
ユカリさんもそのまま面接官として残ってもらった。
次も女性だった。先ほどの盗賊志望のルミっていう子だ。
「ルミさんね。どうして私たちのパーティに入りたいの?」
「最初はフローラさんにあこがれて、いっしょのパーティになりたいとずっと思ってました。でも、先ほどそちらの方に声をかけていただいて、そちらの方と一緒のパーティでお役に立ちたいと思うようになりました」
フローラさんとユカリさんがちらりと俺を見る。
気のせいだと思うが、なんか冷たい視線のように感じた。
「そちらの方って、リンリン君はまだ5歳よ」
フローラさんが何言ってるのよ、あなたは的な感じで返すと、ルミさんが反論する。
「フローラさん、盗賊の目はごまかせませんよ。リンリン様は成人男子です。30代の・・・後半ではないでしょうか。どのようなトリックで変装されているのかは見破れないのですが」
すごいよ、この人。見破っているよ。
「ルミさん、今のパーティはあなたが抜けて大丈夫なの? さっきはあなたを治療してくれてたじゃない。絆が深いんじゃないの?」
フローラさんもすごいよ。年齢の件はなかったことにしている。
「チームのみんなは、私が入りたいと思うパーティが現れたら、いつでも抜けていいと言ってくれています。そういう約束で、今のチームに入りましたし」
「そう。さっき私たちを助けようとして鼻血出してたけど、盗賊として大事なところで転ぶってのはどう?」
「あれなんですが、私の行動が必要ないときに、行動を止めてくれる加護なんです。突然発動するので、鼻をぶつけてしまいましたが、けがをしたとしてもいつも軽傷で済みます」
「そんな加護聞いたことないけど。リンリン君どうする?」
(おっ、フローラさん、俺、話してもいいんですね。じゃあ、話しますよ)
「そうですね。では、1つだけルミさんに質問させてください。加護の名前を教えていただけますか?」
「リンリン君、それ、マナー違反よ」
フローラさんが俺を嗜める。俺もわかってはいたが、ルミさんならなぜか問題ないと思ったのだ。
「あ、大丈夫です。リンリン様なら心から信頼できます。女神ラクタ様のご加護です」
「ははは、それ知ってます・・・。レベルはいくつですか?」
(しかし、今日会ったのに心から信頼してくれるなんて、あのスキル怖すぎるよ)
「え? レベルなんであるんですか?」
「え? ないのですか?」
「はい、加護をいただいて、持っているという自覚はありますが、証明するものはないですし、レベルはわからないです」
そうか、ウィンドウは見えないし、スキルを取得したこともこの世界では本人にはわからないのだった。よく考えてみれば、前世だってそうだった。だれも自分のスキルを文字にして人には見せられないし、自分ができることは認識していても、それがレベルいくつかなんてのはわからなかった。
「スキル」っていうからゲームみたいに何かの条件をクリアすれば与えられるみたいに思っていたけど、「能力」って言った方が近いと思う。自分の経験を積みあげたものが能力になるんだ。
本当は「優しい心」もいろいろなことを経験して、優しくなっていくもので、数字でいきなり上げたりするものではないはずだ。
「そうですよね。女神ラクタは善行の神で、善行以外の行動や能力はキャンセルされますので、不要な行動がキャンセルされたのでしょう」
マリを除いた3人が目を丸くして俺を見ている。
え? なんかまずいこと言いました?
「リンリン君、君はなぜそんなことを知っているの?」
「あ、僕も持ってるんですよ。女神ラクタ様の加護。そんなことより、ルミさんもパーティに入ってもらいましょうよ。ラクタさん、じゃない、女神ラクタ様のお眼鏡にかなった人ですよ。間違いないですよ」
「まあ、リンリン君がそこまで言うなら」
「はい、私はリンリンさんに賛成します」
「お兄ちゃんに賛成」
「ありがとうございます!!! リンリン様のためにこの身を粉にして働きます」
リンリンは思った。
(いや、そこまでしなくていいし、いつのまにか俺のことを様づけで呼んでるし)
フローラは思った。
(やはり、この展開か。女ばかり寄ってくる・・・。戦士もこの調子だと女だな・・・)
ユカリは思った。
(りんりんさんって何者?)
マリは特に何も思わなかったが、7歳なりに、もう女の人は増えないでほしいと願うのであった。
10分ほど2人でわんわん泣いて、ようやく落ち着いたので、面接を再開した。
ユカリさんもそのまま面接官として残ってもらった。
次も女性だった。先ほどの盗賊志望のルミっていう子だ。
「ルミさんね。どうして私たちのパーティに入りたいの?」
「最初はフローラさんにあこがれて、いっしょのパーティになりたいとずっと思ってました。でも、先ほどそちらの方に声をかけていただいて、そちらの方と一緒のパーティでお役に立ちたいと思うようになりました」
フローラさんとユカリさんがちらりと俺を見る。
気のせいだと思うが、なんか冷たい視線のように感じた。
「そちらの方って、リンリン君はまだ5歳よ」
フローラさんが何言ってるのよ、あなたは的な感じで返すと、ルミさんが反論する。
「フローラさん、盗賊の目はごまかせませんよ。リンリン様は成人男子です。30代の・・・後半ではないでしょうか。どのようなトリックで変装されているのかは見破れないのですが」
すごいよ、この人。見破っているよ。
「ルミさん、今のパーティはあなたが抜けて大丈夫なの? さっきはあなたを治療してくれてたじゃない。絆が深いんじゃないの?」
フローラさんもすごいよ。年齢の件はなかったことにしている。
「チームのみんなは、私が入りたいと思うパーティが現れたら、いつでも抜けていいと言ってくれています。そういう約束で、今のチームに入りましたし」
「そう。さっき私たちを助けようとして鼻血出してたけど、盗賊として大事なところで転ぶってのはどう?」
「あれなんですが、私の行動が必要ないときに、行動を止めてくれる加護なんです。突然発動するので、鼻をぶつけてしまいましたが、けがをしたとしてもいつも軽傷で済みます」
「そんな加護聞いたことないけど。リンリン君どうする?」
(おっ、フローラさん、俺、話してもいいんですね。じゃあ、話しますよ)
「そうですね。では、1つだけルミさんに質問させてください。加護の名前を教えていただけますか?」
「リンリン君、それ、マナー違反よ」
フローラさんが俺を嗜める。俺もわかってはいたが、ルミさんならなぜか問題ないと思ったのだ。
「あ、大丈夫です。リンリン様なら心から信頼できます。女神ラクタ様のご加護です」
「ははは、それ知ってます・・・。レベルはいくつですか?」
(しかし、今日会ったのに心から信頼してくれるなんて、あのスキル怖すぎるよ)
「え? レベルなんであるんですか?」
「え? ないのですか?」
「はい、加護をいただいて、持っているという自覚はありますが、証明するものはないですし、レベルはわからないです」
そうか、ウィンドウは見えないし、スキルを取得したこともこの世界では本人にはわからないのだった。よく考えてみれば、前世だってそうだった。だれも自分のスキルを文字にして人には見せられないし、自分ができることは認識していても、それがレベルいくつかなんてのはわからなかった。
「スキル」っていうからゲームみたいに何かの条件をクリアすれば与えられるみたいに思っていたけど、「能力」って言った方が近いと思う。自分の経験を積みあげたものが能力になるんだ。
本当は「優しい心」もいろいろなことを経験して、優しくなっていくもので、数字でいきなり上げたりするものではないはずだ。
「そうですよね。女神ラクタは善行の神で、善行以外の行動や能力はキャンセルされますので、不要な行動がキャンセルされたのでしょう」
マリを除いた3人が目を丸くして俺を見ている。
え? なんかまずいこと言いました?
「リンリン君、君はなぜそんなことを知っているの?」
「あ、僕も持ってるんですよ。女神ラクタ様の加護。そんなことより、ルミさんもパーティに入ってもらいましょうよ。ラクタさん、じゃない、女神ラクタ様のお眼鏡にかなった人ですよ。間違いないですよ」
「まあ、リンリン君がそこまで言うなら」
「はい、私はリンリンさんに賛成します」
「お兄ちゃんに賛成」
「ありがとうございます!!! リンリン様のためにこの身を粉にして働きます」
リンリンは思った。
(いや、そこまでしなくていいし、いつのまにか俺のことを様づけで呼んでるし)
フローラは思った。
(やはり、この展開か。女ばかり寄ってくる・・・。戦士もこの調子だと女だな・・・)
ユカリは思った。
(りんりんさんって何者?)
マリは特に何も思わなかったが、7歳なりに、もう女の人は増えないでほしいと願うのであった。
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