初体験が5歳という伝説の「女使い」冒険者の物語 〜 スキル「優しい心」は心の傷ついた女性を虜にしてしまう極悪のモテスキルだった

もぐすけ

文字の大きさ
上 下
21 / 143
第二章 小屋

冒険者登録

しおりを挟む
フローラさんとマリと町の冒険者組合の建物に入った。

ドアの開いていた入り口を通ると、天井の高いホールになっており、左右に待機用のベンチが数列並べられていて、多くの冒険者たちが座っていた。

入り口と反対側には、ガラスの仕切りのある受付ブースがいくつか並んでおり、受付の女性たちが冒険者たちの応対をしている。

ブースのお姉さんたちの髪型を確認していくと、右から3番目のお姉さんが、ラクタさんの言っていたリボンのポニーテールの人だ。

フローラさんにあの人に受付してもらうようお願いした。

3人が目標の受付ブースに向かって歩いていると、ベンチに座っている何人かが、フローラさんをみて驚いている。

「爆炎のフローラじゃねえか?」などと聞こえてくる。

フローラさんは妖艶な笑みを浮かべたまま、他人の視線は全く気にせず、俺の手をつないで、受付に歩いて行く。

ポニーテールの受付嬢が席を立って、お辞儀をした。

受付のガラス仕切りの向こう側が受付嬢、こちら側に、俺、フローラさん、マリの順で座る。

「ご用件をお伺いします」

受付嬢が席に座りながら口を開いた。

「こちらのリンリンの冒険者登録をお願いできますか。それから、こちらのマリは保護者が私で、見習い登録をお願いしたいです」

「はい、あのう、そちらのリンリンさんはおいくつでしょうか」

この質問には、俺が割り込んで自分で答えた。

「38歳です」

「え?」

フローラさんがフォローする。

「まあ、見てくれと実年齢はエルフなんかも違うでしょう。登録すればわかるから、カードを出していただける?」

「はい、わかりました」

もう少しスムーズにいくと思ったのだが、ラクタさん大丈夫かな。でも、フローラさんは俺のことを信じてるのかな。全く動じないぞ。

受付のお姉さんが金属製の冒険者カードを持ってきた。

ここに魔力をかざすと、名前、年齢、種族などが記載される。魔力に秘められている情報を使用するため、虚偽の記載ができないようになっている、と行きの馬車の中でフローラさんに聞いた。

俺は魔力をかざす。

名前:リンリン・ド・ファンツ・エーデンリッヒ
年齢:38
種族:ヒト
職種:

受付嬢の目が年齢に釘付けになる。

(この子が38歳!? 究極のとっちゃんぼうやなの!?)

フローラも本当に38歳と出るとは思っていなかったようで、びっくりしているが、その後、納得したような表情で、妖艶な流し目をしてきた。

(いや、フローラさん、まるでサキュバスみたいです)

マリからはよく見えていないので、大人の女性2人が何を驚いているのかと不思議な顔をしていた。

「あ、確かに、さ、38歳ということで、問題ございません。えー、職種は何で登録いたしましょうか。職種は後でも変えられますが、変えたときにレベルが1に戻ってしまいますので、慎重に選択してください」

「女使いでお願いします」

俺は受付のお姉さんに伝えた。

「え? もう一度お願いします」

「おんなつかいと書いて、め・つ・か・い です」

「確か、そんな職種はございませんが」

「神のお告げです。確認してください」

「はあ」

受付嬢は手持ちの職種リストを確認して、固まってしまった。確かに「神のお告げ」欄に「女使い」の職種があったのだ。

受付嬢は職種欄にリストの「女使い」の印影を魔術機でコピーし、冒険者カードに貼り付けた。

すると冒険者カードの職種欄に印影が浮かび上がる。

名前:リンリン・ド・ファンツ・エーデンリッヒ
年齢:38
種族:ヒト
職種:女使い Lv.9999

「えっ?」

受付嬢は声を出して驚いてしまった。受付嬢歴5年と8カ月、そろそろ行き遅れを心配し始めている彼女は、冒険者カードを登録した際にLvが1以外になったのを初めて見た。しかも、レベルが9999? レベルは年齢を超えないはずでは?

でも、大丈夫だ。5分後、彼女の記憶から、今の出来事は消えてなくなるのだから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...