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第二章 捜索

父からの追跡

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ルイーゼの父ロバートはその日のうちにリーベルタウンに到着した。

さっそく証言を聞いたという捜索部隊の隊員から話を聞いた。

「貴族の娘を見たという宿屋のオヤジから話を聞きました。町娘の身なりでしたが、非常に美しい女性だったそうです。連れの男女も容姿が整っていて、とても平民とは思えなかったそうです」

「町娘の身なりだと?」

(誘拐犯に無理矢理着させられたのか?)

「はい、その三人組は翌日宿を出たそうです」

「いつのことだ?」

「三日前だそうです」

「誘拐された翌日だな。行き先は?」

「分からないそうですが、乗っていた馬車はその日のうちに街を出たそうです」

馬車はリンクたちの偽装工作だった。わざと宿屋の主人にルイーゼの印象を残して、馬車で別の街へと向かったように見せかけたのだ。ただ、リンクたちはまさかルイーゼの父親自らが捜索に来るとは思ってはいなかった。

「それ以外の情報は?」

「お嬢様は大変美しい方ですので、最近街に現れた美人情報も集めました。定食屋に三人組の容姿端麗の男女が現れ、冒険者と揉めたという事件が宿を出た日にありました。そのうちの二人は街で有名な酒場の従業員でした。二週間ほど前に街にふらっと現れたそうです」

アードレー家の捜索部隊は優秀だったし、ルイーゼの生死に関わることだったため、いつも以上に集中していた。ほんの些細な手掛かりも見逃さず、地道な聞き込みも手を抜かずに重ねて、ようやく得た情報だった。

「ほう、で、その酒場には行ったのか?」

「はい。会計係が非常に美しい少女でしたが、お嬢様ではありませんでした。あとは厨房に美青年が一人いました。定食屋の目撃者にも確認しましたが、三人のうちの二人はこの二人で間違いございません。ただ、お嬢様はいらっしゃいませんでした」

捜索隊員は残念そうだ。

「まさか酒場で働いているわけがあるまい。何処かに監禁されているのではないか?」

「はい、昨日から二人に尾行をつけています。二人とも従業員宿舎に住み込みで働いています。少女の方は姉と一緒に住んでいるようです。姉は何だか奇妙な顔でした。お嬢様ではありません」

「ふむ。その二人に話を聞きたいな。今日にでも酒場に行こう」

「え? 旦那様がですか!? おやめください。あのような下賎な場所に旦那様が行かれるなどあってはなりません」

捜索隊員は両手を振ってロバートを止めようとした。

「それは私が決めることだ。お前はただ案内すればよい」

「申し訳ございませんでした。もう店は開いておりますが、さっそくご案内致します」

捜索隊員は観念して、案内する覚悟を決めた。

「そうだな、こんな格好で行くのもおかしいな。庶民の服を用意できるか? 庶民の服で行くことにするぞ」
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