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マザコン
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「あら、シルフィ、家出はおしまいかしら?」
俺はプリシラの情報収集のため、ママに会いに来ていた。
相変わらず、ママは若く美しい。
若さと美しさの秘訣は、魔力の循環にあるらしく、ミラ姉がこれだけはどうしてもマスターしなければ、と日夜色々と試しているらしい。
アンリがママの側に仕えているが、サーシャは訓練中のようだ。
「王宮よりも外の世界の方が面白いのです。ママにプリシラ叔母さんの話を聞いたら、また家出します」
「あらあら。それで、プリシラが何かしたの?」
俺は王としちゃったこと以外の叔母さんの悪事をママに説明した。
「まあ、あの子ったら。仕方のない子ね。それで、シルフィはどうしたいの?」
「ミラ姉といっしょに叔母さんを懲らしめようかと」
「ミランダも一緒に家出しているのよね。ルークくんが心配してたわよ」
ルークはミラ姉のマッチョな父親だ。
「ミラ姉も今日一緒に来てはどうかと誘ったんですが、捕まえられるのは嫌だって、来なかったんです」
「捕まえたりなんかしないわよ。シルフィもミランダもしたいようにすればいいの。でも、おかしいわね。プリシラは私が怒るようなことはしないはずよ。子供たちは本当に売られているのかしら?」
「モナリザ先生の調査ではそうなっています」
「そう? 本当だとしたら、私が懲らしめるから、シルフィは何もしなくていいわよ」
「ママ、プリシラ叔母さんは魔法を使えるのですか?」
「使えるわよ。でも、ミランダが負けることはないわ。シルフィは魔法は頑張っているの?」
「はい、今でも毎日魔力を枯渇させて、超絶魔法の半分まで使えるようになりました」
「あら、流石お兄ちゃんね。サーシャは超絶魔法は無理らしいから、私のように癒し系を極めてもらおうかしら」
「ミラ姉が魔力の循環がどうしても出来ない、と嘆いていました」
「魔力の多い人には難しいと思うわよ。でも、ミランダは天才だから、いずれ出来るようになるわよ。あなたは出来るわよね?」
「はい、話を聞いてすぐに出来るようになりました。ミラ姉には内緒ですけど」
「魔法放出後の操作も出来る?」
「ええ、昨日聞いて、早速試してみました。すぐに出来るようになったんですが、ママの子だからでしょうか?」
「どうなのかしら。私もすぐに出来たのだけど、ミランダは苦労しているわね。あなたたち、せっかく王宮の外にいるのだから、修行の旅に出るといいわよ。プリシラなんかに構っている時間がもったいないわ」
「ママは王宮から出たくはないのですか?」
「ふふふ、それは内緒よ。それより、もうすぐあなたにもう一人妹が出来るわよ。楽しみにしていてね」
「妹って分かるんですか?」
「念波できるから。私は異性との念波は出来ないの」
ママから念波が来なかったのは、そういう理由だったのか。
「ママから念波が来なくて、悲しかったのですが、そういう理由だったのですか」
ちなみに、王からの念波は無視している。
「あら、可愛いこと言うのね。シルフィ、こっちに来て、抱っこさせて」
ああ、いつものママの香りだ。
心が落ち着いて行く。
***
「というわけです」
俺はミラ姉に報告した。
「どこがどういうわけなのだ? 叔母様に抱っこされて落ち着いた、って、マザコンの話を聞かされて、私にどうしろとお前は言うのだ?」
「どこがマザコンの話ですかっ。プリシラ叔母さんは放っておけ、という話は聞いてました?」
「それは聞いていた。叔母様がそうおっしゃるのであれば、従うしかあるまい。で、叔母様からお前に念波が来なかった理由を聞かされてもだな……」
「そ、それは、ついでに話しただけですよっ。本論はプリシラ叔母さんを放っておく、ということですよ」
「そうなのか。何らかの意図があっての話だと思うじゃないか」
「ミラ姉、それ、完全に男脳ですよ。私は何となく話しただけで、答えを求めているわけではないですっ」
俺はプリシラの情報収集のため、ママに会いに来ていた。
相変わらず、ママは若く美しい。
若さと美しさの秘訣は、魔力の循環にあるらしく、ミラ姉がこれだけはどうしてもマスターしなければ、と日夜色々と試しているらしい。
アンリがママの側に仕えているが、サーシャは訓練中のようだ。
「王宮よりも外の世界の方が面白いのです。ママにプリシラ叔母さんの話を聞いたら、また家出します」
「あらあら。それで、プリシラが何かしたの?」
俺は王としちゃったこと以外の叔母さんの悪事をママに説明した。
「まあ、あの子ったら。仕方のない子ね。それで、シルフィはどうしたいの?」
「ミラ姉といっしょに叔母さんを懲らしめようかと」
「ミランダも一緒に家出しているのよね。ルークくんが心配してたわよ」
ルークはミラ姉のマッチョな父親だ。
「ミラ姉も今日一緒に来てはどうかと誘ったんですが、捕まえられるのは嫌だって、来なかったんです」
「捕まえたりなんかしないわよ。シルフィもミランダもしたいようにすればいいの。でも、おかしいわね。プリシラは私が怒るようなことはしないはずよ。子供たちは本当に売られているのかしら?」
「モナリザ先生の調査ではそうなっています」
「そう? 本当だとしたら、私が懲らしめるから、シルフィは何もしなくていいわよ」
「ママ、プリシラ叔母さんは魔法を使えるのですか?」
「使えるわよ。でも、ミランダが負けることはないわ。シルフィは魔法は頑張っているの?」
「はい、今でも毎日魔力を枯渇させて、超絶魔法の半分まで使えるようになりました」
「あら、流石お兄ちゃんね。サーシャは超絶魔法は無理らしいから、私のように癒し系を極めてもらおうかしら」
「ミラ姉が魔力の循環がどうしても出来ない、と嘆いていました」
「魔力の多い人には難しいと思うわよ。でも、ミランダは天才だから、いずれ出来るようになるわよ。あなたは出来るわよね?」
「はい、話を聞いてすぐに出来るようになりました。ミラ姉には内緒ですけど」
「魔法放出後の操作も出来る?」
「ええ、昨日聞いて、早速試してみました。すぐに出来るようになったんですが、ママの子だからでしょうか?」
「どうなのかしら。私もすぐに出来たのだけど、ミランダは苦労しているわね。あなたたち、せっかく王宮の外にいるのだから、修行の旅に出るといいわよ。プリシラなんかに構っている時間がもったいないわ」
「ママは王宮から出たくはないのですか?」
「ふふふ、それは内緒よ。それより、もうすぐあなたにもう一人妹が出来るわよ。楽しみにしていてね」
「妹って分かるんですか?」
「念波できるから。私は異性との念波は出来ないの」
ママから念波が来なかったのは、そういう理由だったのか。
「ママから念波が来なくて、悲しかったのですが、そういう理由だったのですか」
ちなみに、王からの念波は無視している。
「あら、可愛いこと言うのね。シルフィ、こっちに来て、抱っこさせて」
ああ、いつものママの香りだ。
心が落ち着いて行く。
***
「というわけです」
俺はミラ姉に報告した。
「どこがどういうわけなのだ? 叔母様に抱っこされて落ち着いた、って、マザコンの話を聞かされて、私にどうしろとお前は言うのだ?」
「どこがマザコンの話ですかっ。プリシラ叔母さんは放っておけ、という話は聞いてました?」
「それは聞いていた。叔母様がそうおっしゃるのであれば、従うしかあるまい。で、叔母様からお前に念波が来なかった理由を聞かされてもだな……」
「そ、それは、ついでに話しただけですよっ。本論はプリシラ叔母さんを放っておく、ということですよ」
「そうなのか。何らかの意図があっての話だと思うじゃないか」
「ミラ姉、それ、完全に男脳ですよ。私は何となく話しただけで、答えを求めているわけではないですっ」
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