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子供たちとの食事
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食事は三組に分かれてとるようだが、百人近くの子供たちが集まって来て、非常に賑やかだった。
驚いたのは、カインが好かれていることだ。
ジェシーも合流したが、ジェシーは不人気だった。
子供は残酷なもので、陰気で容姿のあまりパッとしない女性には冷たい。
「お前、こんなに好かれているのに、よく奴隷商人に子供たちを引き渡すことができるな」
「情が移らないようにここには来ないようにしているのですが、最初の面接は私がしますので、そのときのことを覚えているのでしょう」
「シロ、こいつの扱いはどうすべきだろうか。人でなしにしか思えないんだが」
「いずれ子供たちにもバレるわよ。心を入れ替えるのは無理だろうから、心を入れ替えたふりをするしか、生き残る道はないわ。私たちは使えないと思ったら、すぐにお前を病死させるから、それをくれぐれも忘れないことね」
「肝に銘じます」
シロもカインの性根が腐っていることは承知しているようだ。
腐っていても有能な者は使うのか。
シロはやはり王族だな。
「どうやら子供たちは、ここでの暮らしに満足なようだな。廊下には出させないようにしているのか? 人の気配がほとんどしないが」
「ええ、外から鍵をかけているのです。見られたくないことなどがありますので」
「火事とか起きたら、全員焼死してしまうじゃないか」
「今日からかけないようにします。かける必要はもうありませんので」
俺たちの席だけ、俺を除いて大人だけで座っているが、子供たちは興味津々のようだ。
特にシロのことが気になるようで、格好いいとか、すごく綺麗とか聞こえてくる。
俺の人気がイマイチなのが気に入らない。
「容姿のいい子が多いわね。というか、ほとんどが整った顔立ちよね」
「はあ、理由はお察しの通りです」
どんだけ孤児がいるんだ?
綺麗なのだけ選りすぐっても二百五十人を常にキープできるって。
「なあ、一日にどれだけ応募があるんだ?」
「二十件ほどです。商業ギルド、冒険者ギルド、教会、修道院、病院などが受付をしていますが、うちが一番宣伝をしているので、最初はうちに来るのです。そこで選定して、ダメな子には別の施設を紹介しています」
確かにそうだ。
俺は商業ギルドしか受付していないと思っていたくらいだ。
「それで容姿のいい子をピックアップしているのね。聞けば聞くほど、慈悲深い私ですら、お前を病死させたくなって来ちゃうわね」
「こ、これもレイン様からのご指示なのです。クラウス様という参謀の方がいらして、その方が綿密な行動指針を示されるのです」
「「クラウスだって!?」」
まさか俺たちの知っているクラウスじゃないだろうな。
「はい。ご存知なのでしょうか……?」
「知り合いの名前が出たので、少し驚いただけだ。恐らく人違いだろうが、どんなやつだ?」
「そうですね。背が高くて、痩せた金髪碧眼の方です。クラウス様も魔法を使えるそうです」
俺たちの知っているクラウスに決定だな。
(シルフィ、モナリザに調査を依頼した)
ミラ姉から念波が来た。
「レインはクラウスとどんな感じで話していた?」
「そうですね。プリシラ様からのご紹介だそうで、クラウス先生って呼んでおられて、丁寧に接しておられました」
(ミラ姉、思っていたより敵は巨大かも)
(そうだな。クラウスが出てくるとなると、油断できんぞ)
クラウスは超絶魔法は使えないが、精神系の魔法が得意だ。
俺たちにはもちろん効かないが、俺たちの友人や知人に使われると厄介だ。
(プリシラ叔母さんはクラウスに操られてたりはしないでしょうね)
(否定は出来ないな)
(ママは大丈夫かな)
(何度も言うようだが、オスカルがいるから問題ない。騎士団は精神系魔法の耐性があるものばかりで構成されているからな)
オスカル先生か。
俺の中では残念騎士なんだよなあ。
でも、妹がいるから大丈夫か。
ママを俺から奪った気に食わない奴だが、神の加護があり、魔法が使える。
幼児ではあるが、いざってときはママを守るだろう。
「カイン、しばらくお前に任せてみるわ。せいぜい私たちの期待を裏切らないことね」
シロの言葉にカインがほっと胸を撫で下ろしていた。
「シロ、アジトに戻ろう」
「ちょっと待って。ここで人気を絶対のものにしておく必要があるわ」
「な、何の話だ?」
「子供たちの興味津々な目を裏切ってはダメよ」
そう言って、シロは立ち上がった。
「みんなあ、注目よっ。これからお姉さんが魔法を見せちゃうわよっ」
そう言ってシロはローブの前を開いた。
ミニスカートから美脚が見えた。
子供たちからすごい声援が上がった。
カインが唾を飲み込む音が聞こえたので、俺はスリープを放った。
ジェシーが突然眠ってしまったカインを抱いてオロオロしているが、放っておこう。
「エッグボーンという魔法よぉ!」
げっ、何であれをチョイスするんだよ。
シロのミニスカートからポコポコ卵が落ちて来て、全て空中で停止した。
実は俺にも出来ないすごい魔法なんだが、何処から出て来たんだろうという疑問がどうしても先に出て来てしまう。
やはり、子供たちのリアクションも微妙だ。
シロもあれ? という表情だ。
そうだ、今こそ、人気を俺に向けるチャンスだ。
俺は空のグラスを持って、立ち上がった。
驚いたのは、カインが好かれていることだ。
ジェシーも合流したが、ジェシーは不人気だった。
子供は残酷なもので、陰気で容姿のあまりパッとしない女性には冷たい。
「お前、こんなに好かれているのに、よく奴隷商人に子供たちを引き渡すことができるな」
「情が移らないようにここには来ないようにしているのですが、最初の面接は私がしますので、そのときのことを覚えているのでしょう」
「シロ、こいつの扱いはどうすべきだろうか。人でなしにしか思えないんだが」
「いずれ子供たちにもバレるわよ。心を入れ替えるのは無理だろうから、心を入れ替えたふりをするしか、生き残る道はないわ。私たちは使えないと思ったら、すぐにお前を病死させるから、それをくれぐれも忘れないことね」
「肝に銘じます」
シロもカインの性根が腐っていることは承知しているようだ。
腐っていても有能な者は使うのか。
シロはやはり王族だな。
「どうやら子供たちは、ここでの暮らしに満足なようだな。廊下には出させないようにしているのか? 人の気配がほとんどしないが」
「ええ、外から鍵をかけているのです。見られたくないことなどがありますので」
「火事とか起きたら、全員焼死してしまうじゃないか」
「今日からかけないようにします。かける必要はもうありませんので」
俺たちの席だけ、俺を除いて大人だけで座っているが、子供たちは興味津々のようだ。
特にシロのことが気になるようで、格好いいとか、すごく綺麗とか聞こえてくる。
俺の人気がイマイチなのが気に入らない。
「容姿のいい子が多いわね。というか、ほとんどが整った顔立ちよね」
「はあ、理由はお察しの通りです」
どんだけ孤児がいるんだ?
綺麗なのだけ選りすぐっても二百五十人を常にキープできるって。
「なあ、一日にどれだけ応募があるんだ?」
「二十件ほどです。商業ギルド、冒険者ギルド、教会、修道院、病院などが受付をしていますが、うちが一番宣伝をしているので、最初はうちに来るのです。そこで選定して、ダメな子には別の施設を紹介しています」
確かにそうだ。
俺は商業ギルドしか受付していないと思っていたくらいだ。
「それで容姿のいい子をピックアップしているのね。聞けば聞くほど、慈悲深い私ですら、お前を病死させたくなって来ちゃうわね」
「こ、これもレイン様からのご指示なのです。クラウス様という参謀の方がいらして、その方が綿密な行動指針を示されるのです」
「「クラウスだって!?」」
まさか俺たちの知っているクラウスじゃないだろうな。
「はい。ご存知なのでしょうか……?」
「知り合いの名前が出たので、少し驚いただけだ。恐らく人違いだろうが、どんなやつだ?」
「そうですね。背が高くて、痩せた金髪碧眼の方です。クラウス様も魔法を使えるそうです」
俺たちの知っているクラウスに決定だな。
(シルフィ、モナリザに調査を依頼した)
ミラ姉から念波が来た。
「レインはクラウスとどんな感じで話していた?」
「そうですね。プリシラ様からのご紹介だそうで、クラウス先生って呼んでおられて、丁寧に接しておられました」
(ミラ姉、思っていたより敵は巨大かも)
(そうだな。クラウスが出てくるとなると、油断できんぞ)
クラウスは超絶魔法は使えないが、精神系の魔法が得意だ。
俺たちにはもちろん効かないが、俺たちの友人や知人に使われると厄介だ。
(プリシラ叔母さんはクラウスに操られてたりはしないでしょうね)
(否定は出来ないな)
(ママは大丈夫かな)
(何度も言うようだが、オスカルがいるから問題ない。騎士団は精神系魔法の耐性があるものばかりで構成されているからな)
オスカル先生か。
俺の中では残念騎士なんだよなあ。
でも、妹がいるから大丈夫か。
ママを俺から奪った気に食わない奴だが、神の加護があり、魔法が使える。
幼児ではあるが、いざってときはママを守るだろう。
「カイン、しばらくお前に任せてみるわ。せいぜい私たちの期待を裏切らないことね」
シロの言葉にカインがほっと胸を撫で下ろしていた。
「シロ、アジトに戻ろう」
「ちょっと待って。ここで人気を絶対のものにしておく必要があるわ」
「な、何の話だ?」
「子供たちの興味津々な目を裏切ってはダメよ」
そう言って、シロは立ち上がった。
「みんなあ、注目よっ。これからお姉さんが魔法を見せちゃうわよっ」
そう言ってシロはローブの前を開いた。
ミニスカートから美脚が見えた。
子供たちからすごい声援が上がった。
カインが唾を飲み込む音が聞こえたので、俺はスリープを放った。
ジェシーが突然眠ってしまったカインを抱いてオロオロしているが、放っておこう。
「エッグボーンという魔法よぉ!」
げっ、何であれをチョイスするんだよ。
シロのミニスカートからポコポコ卵が落ちて来て、全て空中で停止した。
実は俺にも出来ないすごい魔法なんだが、何処から出て来たんだろうという疑問がどうしても先に出て来てしまう。
やはり、子供たちのリアクションも微妙だ。
シロもあれ? という表情だ。
そうだ、今こそ、人気を俺に向けるチャンスだ。
俺は空のグラスを持って、立ち上がった。
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