王子に転生したのですが、教育が厳し過ぎるので家出しました。神の加護で魔法が出来ますので、身分を隠して、魔道具屋を始めようと思います

もぐすけ

文字の大きさ
上 下
16 / 30

プリシラ

しおりを挟む
 俺たちは子爵邸を出た。

「お腹が空いたわ。クロ、ランチはいつもどうしているの?」

「いつもは店でエマの作った弁当を食べているが、恐らく今日は弁当はないぞ」

「あなたのお店も見ておきたいわ。お店に行くわよ」

 モノクロの格好をしていたため、少し遠くから店の様子をうかがった。

 エマだけではなく、イライザも店に出て接客していた。

 商家の娘だけあって、なかなか客の扱いがうまそうだ。

「あの子、看板娘になるわね。クロ、お店、随分と繁盛しているじゃない」

 お昼休みは割と忙しい。

「シロ、俺たちのあまりの格好良さは、客の注目を浴びすぎる。裏口から入って、いったん一般人に戻るぞ」

「分かったわ。加速するわよ」

 俺たちは客に見つからないように、猛スピードで裏口から店に入った。

 店の裏の工房に入ると、ミラ姉はすぐに服を脱ぎ始めた。

「ちょっとミラ姉、着替えはここにないのに、何、全部脱いじゃってるんですか!?」

「神走りの運動量がぶり返して来て、暑くて堪らんのだ。大事なところは隠している。お前の目の保養にもなるだろう。楽しめ、若者」

 いや、全然隠してないよ。パンツ一丁でおっぱい丸出しじゃないか。

「勘弁して下さいよ。こんなところをイライザに見られたら、誤解されますよ」

「二十歳近いお姉さんと八歳のお子ちゃまの何を誤解するというのだ。考えすぎだ」

「はあ、私の周りの女の人は皆、男前で困りますよ。イライザだけですよ、お淑やかで可憐なのは」

「お淑やかで可憐な女子などいるものか。全ては打算のなせる技だ。打算なくして、お淑やかも可憐もあるものか。そんなことはいいとして、プリシラさんの話はどう思う? お前はそれなりに面識があるのだろう」

 ミラ姉のおっぱいに目がいかないように俺は必死に頑張ったが、どうしても目が行ってしまう。

「ミラ姉、ちょっとおっぱい隠してもらっていいですか? 全然話に集中出来ません」

「何だ、お前は、だらしがないな。たかがおっぱいぐらいで動揺するとは。まあ、体も冷えて来たし、タオルでも巻くか」

 はあ、やっと落ち着けるよ。

「プリシラおばさんは、ママに対して劣等感持ってる感じですかね。対抗心燃やしているというか。外から見ていてもよく分かります。ママは天然ですから、おばさんのことを全く気にしてませんけど。でも、王妃狙ってるっていっても、王はママにベタ惚れですよ」

「男なんてどいつもこいつも下半身で動いているのだ。八歳のお前でさえ、私のおっぱいに釘付けだ。プリシラさんは綺麗だから、誘えば簡単に引っかかるんじゃないか」

「いや、私は隠して欲しいとお願いしただけです。下半身動かしてないですから。それはさておき、王が危険を冒すとは思えないです」

「酔っ払ったときとかに狙って、既成事実を作って、姉に言いつけるとか言って、脅してるんじゃないか? プリシラさんは叔母様によく似ているじゃないか」

 確かに容姿は似ているが、性格も容姿もママの劣化版て感じなんだよなあ。

 ママが姉だと苦労も多かったんじゃないだろうか。

「考えれば考えるほど怪しいです。ママの護衛は大丈夫でしょうか?」

「叔母様大好きのオスカルがいるから大丈夫だろう」

「でも、オスカルさんも二十四時間はりついているわけではないでしょう?」

「王妃殿に寝泊まりしているし、部下たちも優秀だから問題ない。そこは安心していいぞ」

「なるほど。直接的には行けないのか。で、今回のような手に出たのか。ますます怪しいですね」

「ところで、私はあまり気にしないが、お前のその大人のような頭脳をイライザは不思議には思っていないのか?」

「さあ、どうなんでしょうか。何故か最初から子供扱いはしないですね。こういうと何様なんだって言われるかもしれませんが、私に嫌われないように一生懸命頑張っている感じです。とても可愛らしいです」

「これはこれはごちそうさま。そんなお子ちゃまの恋愛話はいいとして、モナリザに調べてもらうか」

「ミラ姉が聞いたから答えたのに……。イライザはいい子だから、いじめないで下さいよ」

「あの子は私の大ファンだから、大事にするさ。可愛いシルフィのお嫁さんになるかもしれないしな。さて、私はモナリザに念波する。お前は弁当買ってこい」

「王子をパシリに使うとは、嫁の貰い手なくなりますよ」

 俺はそう吐き捨てて、敷地内のエドモンド商店に弁当を買いに行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。

風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。 ※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです

かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。 強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。 これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。 しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。 探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。 だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。 ――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。 Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。 Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。 それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。 失意の内に意識を失った一馬の脳裏に ――チュートリアルが完了しました。 と、いうシステムメッセージが流れる。 それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

処理中です...