王子に転生したのですが、教育が厳し過ぎるので家出しました。神の加護で魔法が出来ますので、身分を隠して、魔道具屋を始めようと思います

もぐすけ

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押しかけ小姑?

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(ミラ姉、こんな夜遅くにどうしたのでしょうか?)

(ギルドのことを調べていたのだが、とんでもないことをしている。すぐに逃げろ)

(今、寮ではなく、エドモンド商会の口利きで、一軒家を支給されて、そこに住んでいるのです)

(そうか。だが、ギルドはお前の住居を知っているのだな?)

(はい。でも、エドモンド商会の護衛が守ってくれています。実は商会の娘さんと一緒に住んでます)

(何だと? 娘はいくつだ?)

(十二歳です)

(なるほど。エドモンド商会にはギルドも簡単には手は出さないか。いずれにしろ、会って話がしたい。場所を教えろ。今すぐに行く)

(今からですか!?)

 ミラ姉が来てしまった。

 リビングに案内した。

「あの、護衛は?」

「何も見なかったと思い込ませたから大丈夫だ」

 精神系の魔法を使えば、魔法使い以外の人間はいとも簡単に騙せる。

「お茶の淹れ方が分からないので、お茶も出せないのですが……」

「ああ、気にするな。エドモンド商会の娘はどこだ?」

「自分の部屋で寝ていると思います」

 ミラ姉はリビングを見回してから、俺を見た。

「お前、何でこんないい暮らしをしている?」

「どうやらエドモンド商会が私の正体を知っているようで、全面的に支援してくれているのです」

「なるほど。娘まであてがっているのか……。大きな屋敷だな。部屋はいくつあるんだ?」

「一階はこのリビングの他に書斎とダイニングルームとバスルームがあります。二階に主寝室が二つと客室が四つです」

「そうか。私も住むぞ」

「へ?」

「私も逃亡するんだよ。お前はすごいな。逃亡するなんて私は考えたこともなかったぞ。嫌なら逃げればいいだなんて、衝撃的すぎるアイデアだっ」

 ミラ姉は王国の最大戦力だ。

 すぐに捜索隊が組成されるだろうが、誰もミラ姉を捕まえることなんかできない。

 もし出来るとしたら、俺ぐらいだろう。

 その二人が結託して逃亡してるんだ。

 これって、一生安泰じゃないか。

「俺とミラ姉が組めば、誰も手を出せないですね」

「そういうことだ。ここで王国政府の手助けをたまにしてやれば、叔父様も見逃すようになるさ。その第一弾が商業ギルドだ」

「とんでもないことをしてるって」

「人身売買だ。孤児や家出して来た子供たちを支援制度という名目で集めて、帝国に奴隷として販売している。あと、女の子は娼館に提供している」

「そんなことしてるんですか!?」

「モナリザの隠密部隊が調べた」

 モナリザ先生はベルンの奏者であると同時に国内外でスパイ活動をしている。

「どうするんですか?」

「首謀者はレイン子爵、カインは現場の責任者だ。こいつらをぶち殺して、子供たちを解放する」

「証拠はつかんでいるのでしょうか」

「いいや、なにも。でも間違いない」

「証拠がないんじゃ動けないじゃないですか」

「王国政府はな。でも、私たちは違う。気に入らないってだけで、ぶち殺していいんだよ」
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