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家出
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五歳になった。
妹が生まれ、ママとアンリの愛情が、妹の方に向いてしまって、面白くなかった。
大人の精神でもこうなるってことは、子供には一大事だと思う。
魔法と剣術の特訓で毎日が死ぬほど苦しいが、美女たちに囲まれて、何とかモチベーションを維持していた。
今日から座学と奏楽が追加される。
座学は要するに読み書き算術のお勉強だ。
奏楽はベルンという弦楽器を習う。
予想通り美女が教師として派遣されてきた。
認めよう。
先生が美人だから続けられるのだ。
座学は算術は楽勝だったが、歴史と古文書の解読が難しかった。
しかし、座学の教員のマリア先生が超セクシーで、胸も大きく、正解すると膝の上に乗せてくれて、頭を撫でてくれるので、必死になって勉強した。
ベルンのモナリザ先生は、清楚で消え入りそうな女性で、俺が上達しないとすごく暗い表情で下を向いて、唇を噛んでいたりするので、先生を悲しませたくない一心で頑張った。
六歳になってから、月に一度、課外授業というのが追加された。
俺はこの授業が大好きだった。
教師陣たちと庶民の格好をして、城下町に繰り出すのだ。
お祭りに連れて行ってもらったり、芝居を観に行ったり、食事をしたり、毎回違うイベントを用意してくれていた。
精神的には大人の俺だが、異世界の町でのこういった時間は楽しかったし、俺を可愛がってくれる教師陣に感謝し、この世界と人々を好きになって行った。
一年ほどして町に慣れてくると、冒険者組合に登録して、5人で魔物狩りもした。
王国には森が多く、森には魔物が住んでいる。
「シルフィ、魔法の実戦訓練に魔物退治はもってこいなんだぜ」
「あら、ミランダ様、剣の実戦訓練にももってこいです」
「作戦の立案訓練にも役立ちますわ」
「シルフィ様、ベルンにも魔物退治に使える秘技があるのです」
実は先生同士はあまり仲が良くなかったりする。
「あまり派手に暴れると正体バレるから、初級クラスを狩るか」
四人の美女と小さな子供のパーティは、派手に暴れなくてもかなり目立っていた。
このとき限りの一回だけのパーティだったが、冒険者たちの間ではずっと話題になっていたみたいだ。
***
魔法と剣術の訓練は死ぬほど辛かったが、それでも俺は、この時間がずっと続いてくれるといいと思った。
同年代の友達はいなくて、俺にとっては、先生たちが友達だった。
だが、どの世界にいても時は過ぎて行くし、人はずっと同じ関係ではいられない。
だんだんと八歳の誕生日が近づいて来た。
八歳になると、男の教師陣に総入れ替えするらしい。
俺は八歳の誕生日の前日にここから逃げ出すことを決意した。
今の教師陣とはどのみちお別れだ。
ママとアンリは悲しむだろうが、俺の精神が持ちそうにないし、またもう一人、弟か妹がもうすぐ産まれるから、大丈夫だろう。
魔法と剣術は自主練を続けるつもりだし、勉強は一生続けるものだと思う。
ベルンを先生なしで続けるのはちょっと難しいかもしれないが、ベルンはちゃんと持って行って、毎日練習する。
せっかく先生たちが俺に教えてくれたのだから、無駄になんて出来ない。
でも、ごめんなさい。
先生たちと一緒じゃないと、この辛い教育には耐えられそうもない。
昨日、最後の授業を泣きながら受けた。
先生たちも皆泣いていた。
ミラ姉が泣いていたのは意外だったが。
俺は夜中に起き出して、課外授業のときの衣装に着替えて、ベルンと少しの荷物を持って、王宮をそっと抜け出した。
見張りがあまり厳しくなくて、呆気ないほど簡単に行ったが、俺がいなくなって王宮は大騒ぎになるだろう。
俺は抜け出した足で王都を出て、隣町の商都リコザまで歩いて行くつもりだった。
リコザには、年齢に関わらず、子供でも仕事が出来、寝場所も提供してくれるところが一か所あるからだ。
俺はリコザの商業ギルドへと向かった。
妹が生まれ、ママとアンリの愛情が、妹の方に向いてしまって、面白くなかった。
大人の精神でもこうなるってことは、子供には一大事だと思う。
魔法と剣術の特訓で毎日が死ぬほど苦しいが、美女たちに囲まれて、何とかモチベーションを維持していた。
今日から座学と奏楽が追加される。
座学は要するに読み書き算術のお勉強だ。
奏楽はベルンという弦楽器を習う。
予想通り美女が教師として派遣されてきた。
認めよう。
先生が美人だから続けられるのだ。
座学は算術は楽勝だったが、歴史と古文書の解読が難しかった。
しかし、座学の教員のマリア先生が超セクシーで、胸も大きく、正解すると膝の上に乗せてくれて、頭を撫でてくれるので、必死になって勉強した。
ベルンのモナリザ先生は、清楚で消え入りそうな女性で、俺が上達しないとすごく暗い表情で下を向いて、唇を噛んでいたりするので、先生を悲しませたくない一心で頑張った。
六歳になってから、月に一度、課外授業というのが追加された。
俺はこの授業が大好きだった。
教師陣たちと庶民の格好をして、城下町に繰り出すのだ。
お祭りに連れて行ってもらったり、芝居を観に行ったり、食事をしたり、毎回違うイベントを用意してくれていた。
精神的には大人の俺だが、異世界の町でのこういった時間は楽しかったし、俺を可愛がってくれる教師陣に感謝し、この世界と人々を好きになって行った。
一年ほどして町に慣れてくると、冒険者組合に登録して、5人で魔物狩りもした。
王国には森が多く、森には魔物が住んでいる。
「シルフィ、魔法の実戦訓練に魔物退治はもってこいなんだぜ」
「あら、ミランダ様、剣の実戦訓練にももってこいです」
「作戦の立案訓練にも役立ちますわ」
「シルフィ様、ベルンにも魔物退治に使える秘技があるのです」
実は先生同士はあまり仲が良くなかったりする。
「あまり派手に暴れると正体バレるから、初級クラスを狩るか」
四人の美女と小さな子供のパーティは、派手に暴れなくてもかなり目立っていた。
このとき限りの一回だけのパーティだったが、冒険者たちの間ではずっと話題になっていたみたいだ。
***
魔法と剣術の訓練は死ぬほど辛かったが、それでも俺は、この時間がずっと続いてくれるといいと思った。
同年代の友達はいなくて、俺にとっては、先生たちが友達だった。
だが、どの世界にいても時は過ぎて行くし、人はずっと同じ関係ではいられない。
だんだんと八歳の誕生日が近づいて来た。
八歳になると、男の教師陣に総入れ替えするらしい。
俺は八歳の誕生日の前日にここから逃げ出すことを決意した。
今の教師陣とはどのみちお別れだ。
ママとアンリは悲しむだろうが、俺の精神が持ちそうにないし、またもう一人、弟か妹がもうすぐ産まれるから、大丈夫だろう。
魔法と剣術は自主練を続けるつもりだし、勉強は一生続けるものだと思う。
ベルンを先生なしで続けるのはちょっと難しいかもしれないが、ベルンはちゃんと持って行って、毎日練習する。
せっかく先生たちが俺に教えてくれたのだから、無駄になんて出来ない。
でも、ごめんなさい。
先生たちと一緒じゃないと、この辛い教育には耐えられそうもない。
昨日、最後の授業を泣きながら受けた。
先生たちも皆泣いていた。
ミラ姉が泣いていたのは意外だったが。
俺は夜中に起き出して、課外授業のときの衣装に着替えて、ベルンと少しの荷物を持って、王宮をそっと抜け出した。
見張りがあまり厳しくなくて、呆気ないほど簡単に行ったが、俺がいなくなって王宮は大騒ぎになるだろう。
俺は抜け出した足で王都を出て、隣町の商都リコザまで歩いて行くつもりだった。
リコザには、年齢に関わらず、子供でも仕事が出来、寝場所も提供してくれるところが一か所あるからだ。
俺はリコザの商業ギルドへと向かった。
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